漢魏詩乗 (澤口東洋文化研究所旧蔵)

書誌情報

漢魏詩乘 二十巻 附 呉詩 不分巻 / (明)梅鼎祚 撰 / 萬暦11年(1583)序 / 刊行者不明 / 刊本 / 8冊 / 10行20字 / 左右双辺 / 有界 / 白口 / 単魚尾 / 断句無 / 縦26.9cm×横17.3cm / 框高19.4cm / 旧蔵印「裴養大家藏」 / 澤口東洋文化研究所旧蔵

解説

『漢魏詩乗』は、明・梅鼎祚(1549~1615)の撰による、漢・魏の詩を収めた総集。漢から隋までの詩を集めた『八代詩乗』の一部である。前半十巻には漢の詩を、後半十巻には魏の詩を収め、最後に孫皓・韋昭の作とされる「呉詩」が附されている。自序によれば、馮惟訥(1513~1572)の『詩紀』(嘉靖39年/1560刊)を下敷きとして、その遺漏を補うべく制作されたという。しかし、『四庫全書総目提要』は、この書が作者・時代の不確かな詩も収めていることを指摘しており、その評価はあまり芳しくない。

梅鼎祚は、字は禹金、号は勝楽道人、宣城(現在の安徽省)の人であり、文学・戯曲・小説に明るかった。大変な愛書家としても名高く、「私にとっての本とは、魚にとっての水のようなものである。一瞬でもこれを失えば、すぐさま死んでしまう(吾与書若魚之于水。一刻失之、即无以為生)」という言葉を残している。

本書は、もと学習院大学教授 澤口剛雄(1902~1995)の旧蔵書。所々に朱筆・鉛筆による書き入れが施されているが、これは澤口の手によるものであろうか。澤口は中国文学研究者で、唐宋の詩や楽府の分野で大きな功績をあげた。その蔵書は澤口東洋文化研究所として埼玉川口の旧宅に収められていたが、平成24年(2012)遺族により、本書を含めた一部が学習院大学の東洋文化研究所に移された。また本書には、別の旧蔵者のものと見られる「裴養大家藏」の朱印が捺されているが、未詳である。

(江波戸)  

参考

  • 『四庫全書総目提要』巻193・集部46(総集類存目3)

(表紙)