生命科学科

生命の謎を解き明かす現代の学問

2009年より新設。生命科学の中心となる分子細胞生物学を主軸とし、
タンパク質の構造、細胞の活動、脳の形成、動物・植物の個体発生、
がん化・老化の機構などを研究しています。
この新学科で「知の興奮」を体験してください。


専門科目

【生化学】【動物科学】【植物科学】【発生生物学】【野外生命科学】
【生命科学演習】【生物物理化学】【分子細胞生物学】【生命科学研究法】

生命科学分野の研究成果は、医療や創薬などに貢献する可能性が大きいことから、社会による関心と期待も日々高まりつつあります。

病気の研究を通じて、日本の医療に貢献したい。

生命科学科2年生

現在の日本は少子高齢化社会という重大な問題を抱えており、それに伴って必ず問題になるのが医療です。私は将来、病気の研究で医療を支えたいと考えています。

以前は、将来ガンの研究に携わりたいと思っていました。私がこのように思ったきっかけは中学での経験にあります。授業の職業体験で病院に行った際、初めてガンを患っている方に出会い、病気について調べ、ガンが日本人の死因において最も高い割合を占めていることを知りました。ガンが自分にとっても身近なものに感じ、興味を持ちはじめ、特にDNAの損傷が原因のガンについて研究をしたいと思いました。そしてDNA損傷の修復におけるメカニズムや、それに関わる様々な生命現象を学びたいと思い、生命科学科を選択しました。

今は、ガンに限定せず、もっと視野を広げて将来の進路を決めたいと思っています。卒業までの残りの授業や実験で、より多くの生命科学に触れ、自分の進路についても考えていきたいです。

学習院大学は、第一線で活躍されている先生方から直接学ぶことができ、貴重な経験ができる環境だと感じています。

自ら考え、行動し、将来の夢に近づく。

生命科学専攻 修士課程2年生

幼い頃から、将来は食に関する仕事に就きたいと思い続けてきました。食べる事は生命維持には欠かせず、生物が生きる仕組みを更に学びたいと考え、本学科を専攻しています。

大学院に進んで良かったと思うところは、自身で考え、行動し、何度失敗しても諦めない癖がついた点です。

学部の時は、勉強に時間をかければかける程良い点数に繋がりました。しかし、研究はなかなかそうもいきません。それでも、結果から原因を幾度も考え、実験に取り組み、成功を収めた際の喜びはひとしおです。

また、大学院ならではの責任の大きさも感じています。

学部時代は研究室に所属して、右も左もわからず、ひたすら先生方に質問しながら研究をしていました。それが大学院へ進学すると、自ら研究内容を考えて実行する事も多くなる一方、後輩の指導や研究室の環境整備等、周囲へ視野を広げる事も出来るようになり、責任が増したのを実感します。

卒業後は、化粧品や健康食品等を扱うメーカーの総合職として勤務する予定です。そして将来は、健康食品の商品企画に携わることを夢みています。

多種多様な人とのコミュニケーションが可能な、ワンキャンパス。

生命科学科 卒業生

在学中の思い出として研究室旅行が印象に残っています。幹事として十数人分の旅行を手配しましたが、旅程を考えたり、悪天候時の対策を練ったり、準備はいろいろとありました。大変そうに見えて、いざ担当してみると日々の実験の予定を立てるよりもむしろ簡単に感じられたのを覚えています。

研究の内容はもちろんですが、研究にまつわる様々な活動は、社会生活の中で全て役に立つことばかりだと痛感しています。

もともと人とコミュニケーションをとるのが好きだったので、現在は医療関係者に医薬品をプロモーションするMRという仕事に就き、充実した日々を送っています。

学習院大学は、他学科も全て一つのキャンパスに集まっているため、理学部だけでなく多種多様な人とのコミュニケーションが可能でした。そんな環境も現在の仕事に就く一つのきっかけだったのかもしれません。

  • 2014年3月学習院大学理学部生命科学科卒
  • 2016年3月学習院大学大学院 自然科学研究科生命科学専攻
    博士前期課程修了
  • 2016年4月全薬工業株式会社入社
生命科学科/教員紹介department of life science
  • 阿形 清和
    アガタ キヨカズ教授[再生生物学]
     
    少年サッカーの監督で一年中日焼けしているので、京大から来た教授と紹介されても、ピンとこない。しかし、プラナリアやイモリを使った再生研究の世界の第一人者であり、発生生物学会や動物学会の会長を歴任している生物・生命科学分野の有名人である。岩波書店から出版した科学絵本『切っても切ってもプラナリア』は理科少年・少女のバイブル的存在。サイエンス・トークも巧みで、高校生・大学生からもカリスマ教授として絶大なる人気を得ている。日本動物学会賞、文部科学大臣賞を受賞
  • 安達 卓
    アダチ タカシ教授[発生遺伝学]
     
    「昆虫大好き少年がそのまま大きくなって生物学の研究を始めたんです」と人懐こい笑顔で語る安達教授。たしかに生き物が好きでたまらない無邪気な研究者という風貌だ。生命をあくまで「生き物らしく」理解するために、分子よりも大きな、細胞、組織、個体のレベルでの原理を解き明かすことをめざしているという。細胞の増殖、分化、そして死がどのように絡み合うかという「生命のパズル」を解明すべく、つねに数百系統のショウジョウバエを飼育し、突然変異体の探索や遺伝子解析をおこなっている。講義の途中で黒板にさらさらと描いてみせる研究のパートナー(?)のショウジョウバエの似顔絵は必見!
  • 岡田 哲二
    オカダ テツジ教授[構造生物学]
     
    ヒトの体内で働くタンパク質の約3割は、脂質二重膜の中に埋もれて存在する膜タンパク質である。水溶性のタンパク質と比べると膜タンパク質は研究が難しく、構造も機能も未だ多くの謎に包まれている。岡田教授は、われわれの視覚の鍵を握る膜タンパク質・ロドプシンの構造を初めて決定したことで世界的に知られる構造生物学の研究者だ。全身全霊をこめて最も困難なテーマに挑みつづける姿勢でつねに周囲をうならせてきた。新たな研究室では、X線回折や分光測定を駆使して、情報伝達に関わる膜タンパク質の構造と機能発現のメカニズムの解明をめざす。Thomson Scientific Research Front Award 2004、文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞
  • 岡本 治正
    オカモト ハルマサ教授[発生神経生物学]
     
    「趣味といえばクラシック音楽鑑賞とお酒を飲むことかな」と、気さくに語る岡本教授。気のいい近所のおじさんという雰囲気だが、神経発生を促す因子がFGFという分子であることを発見した発生学の世界的な第一人者だ。この発見によって、生物が単純な胚から出発して複雑な体を形作っていく際に脳神経系がどうやって発生するかについて、世界中多くの研究者を数十年にわたって悩ませてきた謎が解明された。今は、自らが特定したFGFの働きの詳細を解き明かし「脳の発生」という人類にとって最も重要な課題を理解すべく、アフリカツメガエルの胚などの実験材料を用い、分子・細胞生物学的手法での研究を進めている。
  • 清末 知宏
    キヨスエ トモヒロ教授[植物分子生理学]
     
    「研究を通じて養われる思考力と行動力、いわゆる問題解決能力は、社会に出てからも重要。一人ひとりの個性を互いに尊重し合い一緒に研究することで、学生とWin-Winの関係を築きたい」と話す清末教授。生命科学科で唯一植物を扱う研究室の教授だ。モデル植物シロイヌナズナのLOV光受容体の基礎研究と応用研究を展開。LOV光受容体LKP2とZTLが、短日条件での花芽形成を抑制していることを突き止めた。「研究は攻略本のないロールプレイングゲーム、知的な冒険」と語るその瞳には、未知への挑戦、ロマンを追い求める熱い情熱と輝きがある。日本植物細胞分子生物学会奨励賞を受賞
  • 小島 修一
    コジマ シュウイチ教授[タンパク質化学]
     
    小島教授の研究対象は生命の基本的な部品であるタンパク質だ。大腸菌などに目的のタンパク質を大量につくらせ、それらの性質を最新の物理的・化学的手法を駆使して調べる。さらに、アミノ酸置換などを導入し、天然にはない新しい構造や機能を持ったタンパク質を設計・合成する。「私が学生だった頃を思うと、このような手法を用いて研究できることは夢のようです」と小島教授は語る。生命科学が爆発的に進歩した時代を、タンパク質化学の分野の若手・中堅の研究者として駆け抜けてきた実感のこもる言葉だ。生命の部品の謎を解き明かすべく、今日も小島教授の研究はつづく。
  • 高島 明彦
    タカシマ アキヒコ教授[神経生物学]
     
    2016年に着任された脳神経学者の高島教授。アルツハイマー病の世界的な基礎研究者だ。大学生になって真っ先に「脳のことを知りたい」と思われたそうだ。アルツハイマー病は加齢と共に罹患率が増え、病気になると本人はもとより家族の負担も大きい。2025年までにこの病気を克服するとの宣言がG7でなされ、世界中で治療法の研究が行われている。高島教授は微小管結合蛋白質の一つであるタウに注目して研究を進めている。「認知症の治療は近い将来可能になるでしょう。でも、まだまだ脳が老化して行くのを止めなければなりません。」自分の脳を知り、老化を防ぐ研究を一緒に行ってくれる学生を大募集中だ!!Neuroscience Research Excellent Paper Awardを受賞
  • 菱田 卓
    ヒシダ タカシ教授[分子生物学]
     
    菱田教授は2011年春に着任した生命科学科の若手教授だ。研究への情熱にあふれ、いつも実際の年齢よりも若く見られるという。生命の設計図を担っているDNAが傷つけられてしまったとき、生物はどうやって正しい設計図をコピーするのか?数十億年の進化を経て編み出された驚くべき「損傷ストレス耐性機構」を解明するため、菱田教授は酵母や大腸菌を用いて慢性的な損傷ストレス環境を再現する独創的な実験系を開発した。ゲノム不安定性に起因する疾患の治療という未来をも夢に描きながら、メンバーが「楽しく、しかし、真剣に」研究に取り組める研究室を立ち上げたいと語る。日本遺伝学会奨励賞を受賞

※上記8名と西坂 崇之教授(物理学科)が大学院・生命科学専攻のメンバーです。