学習院大学生命科学シンポジウム/としまコミュニティ大学
『生命の秘密を解く鍵をもとめて』第4回
学習院大学では本年4月より大学院自然科学研究科に「生命科学専攻」がスタートしました。来年4月には理学部生命科学科が誕生します。
これを記念して生命科学シンポジウム(第4回)を開催いたします。
2008年10 月18日(土)14:00〜17:00
学習院大学 西5号館B1教室
(豊島区目白1−5−1、JR山手線目白駅(徒歩3分))
聴講無料、予約不要。多くの方々の御来聴をお待ちしています。
主催:学習院大学理学部生命分子科学研究所、学習院大学-豊島区
連絡先:学習院大学理学部生命分子科学研究所
馬渕一誠(Tel. 03-3986-0221 6421 Fax. 03-5992-1029)
HP: 学習院大学 http://www.gakushuin.ac.jp/univ/
理学部 http://www.gakushuin.ac.jp/univ/sci/top
『講演者』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「咲くべきか咲かざるべきか:モデル植物から見えてきた花芽をつくる時期を決める仕組み」
香川大学研究推進機構総合生命科学研究センター 清末知宏
花を見て華やかさや癒しを感じる人は多いでしょう。しかし、植物にとって花をつけることは、美しさを誇示するための手段ではなく、より多くの新しい子孫を残すための戦略の1つです。花をつけた後に枯死してしまうような植物の場合、花をつける時期を決めることは一世一代の決断なのです。咲くべきか咲かざるべきか、それが問題です。この講演では、モデル植物シロイヌナズナの研究から明らかになってきた花芽をつくる時期を決める仕組みについてお話しします。
「脳の部品」
学習院大学理学部生命分子科学研究所 芳賀達也
ヒトの脳では、約1万種類の部品、すなわちタンパク質が働いている。神経細胞を興奮が伝わり、シナプスで情報が伝達される仕組みが、タンパク質の働きとして理解できるようになってきた。細胞膜に結合した膜タンパク質が、分子からくりとでもいうべき巧妙な動きをする。興奮伝達を制御したり、情動などに関わる遅い情報伝達系の存在も明らかになってきた。いくつかの機能タンパク質を取りあげ、内外の研究例を紹介する。
「脳:見えないはずの物を視て聞こえないはずの音を聴く」
産業技術総合研究所脳神経情報研究部門 杉田陽一
人間は、五感を通じて得た情報を適切に処理し、身の廻りの事物を認識している。これら五感の情報は、それぞれ独立した神経経路で処理された後に統合され、明瞭な認識が形成されると考えられている。五感のなかで視覚系と聴覚系は、自分から遠く離れた場所にある事物の情報を与えてくれるので、円滑な日常生活をする上で極めて重要である。また、遠方の情報を処理するために高次な情報処理機構を必要としている。と言うのも、情報源が離れれば離れるほど不必要な雑音の混入が避けられないからである。大脳皮質は、雑音を含んだ不明瞭な情報から確かな情報を生み出すという極めて高度な情報処理を瞬時に行っている。
「ライフスタイルは寿命を決定するか」
大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座 森本兼曩
健康な長寿の秘訣は日々の生活のしかた、ライフスタイルにあります。
煙草を吸う・ストレスが多い・睡眠不足などの8つの生活習慣で総合的に評価したライフスタイルの悪い人は、良い人に比較して2倍も早く老化し、血液中の細胞(リンパ球)の染色体遺伝子変異が多く、体内のがん細胞を見つけて殺す免疫力(ナチュラルキラー細胞活性)も低下しています。また、森林の癒し効果などについても話します。