パキスタンの反核ビデオの日本語版制作に協力を

原水禁では、パキスタンでこの夏に完成したばかりの反核ビデオ 『核の影に覆われたインドとパキスタン(仮題)』(35分)の日本語版の制作を 進めています。

米国に対する同時多発テロ事件以来、印パの核実験に対する国際的制裁措置が消え てしまい、世界は両国の核の危険を忘れてしまったかのようです。しかし、制裁から 逃れた両国の核軍拡競争の危険は以前よりも高まっており、アフガン状勢のために、 核を持ったパキスタンの政情が不安定化するという新たな危険も生じています。

『核の影に覆われたインドとパキスタン』は、印パの核の持つ危険性を両国民に伝 えるために、パキスタン人の反核活動家で物理学者のジア・ミアンとペルベーズ・フ ッドボーイの2人が中心になって制作したもので、英語版とウルドゥー語版がありま す。私たちは、日本語版を制作し、日本における印パの核問題についての理解を高め るのに利用するとともに、日本語版を販売して得た利益を印パ両国でこのビデオを配 布するために役立ててもらおうと考えています。

制作者の一人フッドボーイがピースデポの招きで2月末に来日することが決まって います。それまでに日本語版を完成させ、できれば何本かの売上金を彼に持って帰っ てもらおうと突貫作業を進めています。

日本語版の制作に約50万円かかります。是非カンパをお願いします。
(振り込み先)
1. 郵便振替 口座名「原水爆禁止日本国民会議」 00120-4-51154
    * 反核ビデオカンパとお書き下さい。
2. 中央労働金庫 8662997

 なお、フッドボーイがテロ事件の直後に発表した文章の翻訳を http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/hoodbhoy/index-j.html で読むことができます。 これは、2001 年 9 月 27 日の朝日新聞朝刊(全国版)に掲載された 「理性で根源に立ち向かえ」の完全版です。

下にあるのは、もう一人の制作者ミアンが送ってくれたビデオの説明です。 お読みに なって、日本語版作成とその上映・販売にご協力頂けるようお願い申し上げます。

問い合わせは: 原水爆禁止日本国民会議 まで
 tel: 03-5289-8224 fax: 03-5289-8223 email: gensuikin@jca.apc.org
 〒101-0062 千代田区神田駿河台3−2−11総評会館5F


核の影に覆われたインドとパキスタン(仮題)

エクバル・アハマド財団のビデオ・ドキュメンタリー
監督:ペルベーズ・フッドボーイ
スクリプト:ジア・ミアン

2001年にパキスタンで作られたこの独立の画期的なドキュメンタリー(35分) は、インドとパキスタンが1998年5月に行った核実験によって南アジアに発生し た重大な核の危機について批判的に分析している。パキスタンとインドの人々を対象 とした作品で、さまざまなインタビューや、画像、過去の映像などを使って、両国が さらされている核の危機の緊急性を明確なかたちで描いている。

ビデオの中では、インドとパキスタンの軍部指導者達が、南アジアにおける核実験 の影響と戦争の可能性について語っている。イスラムの宗教団体や戦闘的グループの 代表たちが、核兵器にどんな希望を見いだしているか、なぜ核兵器がイスラムを強化 すると考えるかを説明する。指導的な平和活動家は、核を持った南アジアが不安定、 軍拡競争、貧困の深化、意図的及び偶発的両面での核戦争の脅威の増大への道を急激 に進んでいると主張する。

インドとパキスタンにおけるこのような啓蒙活動の必要性は、2001年9月11 日の米国に対するひどい攻撃の結果、いままでにもまして緊急のものとなっている。 互いに対する敵対関係を反映するかたちで、インドとパキスタンは、それぞれ、自国 に都合のいいように9月11日後の状況を利用しようと試みた。インドは、直ちに、 米国に対し、そのタリバンとの紛争において政治的・軍事的に支持すると表明すると 同時に、パキスタンの支持を受けてカシミールで戦っているイスラムの闘士を、米国 によるテロに対する攻撃の対象に加えるよう呼びかけた。インドはまた、米国の例に ならって、パキスタンにある戦闘訓練キャンプ・基地を攻撃するとの脅しをかけた。 そして、不吉な展開があった。インドが、10ヶ月に渡る実質的な休戦に終止符を打 ち、カシミールを分ける境界線を越えて、パキスタンの部隊に砲撃を加えたのである。 パキスタンは、米国からの大きな圧力の下で、米国と協力することにしたが、カシミー ルで戦っている闘士の支援は続けている。

同時に、米国は、アフガニスタン周辺での政治的支持と軍事基地の提供を得ようと して、インドとパキスタンに対する制裁措置を中止し、経済的・軍事的援助を申し出 ている。この結果、インドとパキスタンは、通常兵器と核兵器の両面での軍拡競争を、 精力的に再開することになるかもしれない。両国とも、その核弾頭の開発の速度を上 げるかもしれない。新たな、以前より危険な、印パ紛争の舞台が整いつつある。  9月11日が起きてしまったいま、核軍備撤廃を主張する議論は、いままでにもま して、南アジアで広く共有される必要がある。ウルドゥー語と英語の両方で作られた このビデオは、印パ両国の各地の平和団体、環境保護団体、その他の市民社会や NGO部門を形成するグループに配布できれば、このキャンペーンにおいて重要な 貢献をするだろう。


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