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数学:物理を学び楽しむために

更新日 2018 年 3 月 17 日

(半永久的に)執筆中の数学の教科書の草稿を公開しています。どうぞご活用ください。著作権等についてはこのページの一番下をご覧ください。

本書を紙媒体で出版する計画が少しずつ進んでいます(出版社は決まりました)。ただし、出版後もネットでの無償公開を続けることになっています。

これは、主として物理学(とそれに関連する分野)を学ぶ方を対象にした、大学レベルの数学の入門的な教科書である。 高校数学の知識を前提にして、大学生が学ぶべき数学をじっくりと解説する。 最終的には、大学で物理を学ぶために必須の基本的な数学すべてを一冊で完全にカバーする教科書をつくることを夢見ているが、その目標が果たして達成されるのかはわからない。 今は、書き上げた範囲をこうやって公開している。
詳しい内容については目次をご覧いただきたいが、現段階では
  ■ 論理、集合、そして関数や収束についての基本(2 章)
  ■ 一変数関数の微分とその応用(3 章)
  ■ 座標、ベクトル、線形代数(6 章、7 章)
  ■ 常微分方程式(5 章、8 章)
  ■ ベクトル解析(9 章)
の各テーマについては、ほぼ完成しており、市販されている(優れた)教科書に匹敵する品質になっていると考えている(一変数関数の積分の 4 章は半分くらいできたところ)。 これらの分野について学習する方、また、講義や演習を担当される方は、本書を教科書・参考書として用いることを検討してみていただきたい。(前書きより)
「物理をやりたくて大学に入ったのに、どうしてこんなに数学をやるんだ」という声を、毎年のように大学一年生から聞く。 われわれの答は、決まっている。 「必要だから。」
物理を語るための言語が、物理を学び研究するための基本の技術が、物理を楽しむための基礎体力が、数学なのだ。 凡庸(ぼんよう)なたとえだけれど、数学という基礎技術なしに物理の世界に入りこむのは、登山の技術ゼロで高い山に探検にいくようなこと、あるいは、水泳経験ゼロで大海原に泳ぎ出すようなことである(脚注:たとえ登山技術ゼロでも、実際に山に行って試行錯誤をつづければ、いずれは登山に必要な体力もつくし、登山の方法を独自に編み出せるはずだと反論する人がいるかもしれない。 それは完璧に正しい。 人類は、まさにそうやって試行錯誤しながら物理や数学を発展させてきたのだ --- 猛烈に長い時間をかけて。)。 だから、数学を学ぼう --- 物理を学び、語り、そして、楽しむために。(1章の冒頭より)

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改訂のたびにファイル名は変わります。リンクしていただく場合は、ファイルにではなく、このページにリンクをはってください(最終更新日 2018 年 3 月 17 日)

最近の主要な更新履歴:
一年ぶりの(新学期に向けた)改訂。大きな加筆はないけれど、それなりに色々とやった。 TeX のシステムを入れ替えて一年して、pdf の仕様を少し現代的に変えたのが外見としては最大の変更だろうけれど。

7.7.1 節のペロン・フロベニウスの定理(定理 7.48)の証明に誤りがあることがわかり、それを修正できたのが、個人的にはもっともうれしい。誤った証明を公開していた時期があったことを思うと本当に申し訳ない(し恥ずかしい)。誤りが発覚してから(本業が忙しくてずっと時間が取れず)修正するまでの時期は本当に居心地が悪かった。虫歯があるのに歯医者さんに行かずに放置してるみたいな、そんな感じ。
偉そうに書いているが、これができたのは井汲景太さんのおかげです。 そもそも井汲さんが誤りを指摘してくださった上に、その後、ぼくの本の流れの中で(ジョルダン標準形など難しいことを使わず)どうやって正しい証明をすればいいかもぜんぶ考えて教えてくださったのだ。深く感謝しています。 他にも井汲さんには色々と記述の不備や証明の手際の悪いところなどを指摘してもらった。

懸案の積分を扱った 4 章も少し進んだ。4.1.3 節の積分の性質を書き上げたので、これで積分の基礎の 4.1 節は(ほぼ)完成。実践編の 4.2 節も少し書いたけれど、これは時間切れ。 この部分を書くにあたって向田寿光さんに色々と教えてもらった。向田さんは学習院の物理の一年生にまさに微積分を教えてくれているので文字通り最適のアドバイスがもらえた。
積分の部分が少しずつ進んでいることに関連して、他の部分をあっちこっちちょろちょろ書き直したりもした。

あとは、高校で行列を教えなくなったことへの対応をようやくすませた。
行列の導入なんかはちゃんと 7 章に書いたのだけれど、6 章の座標のところなどに回転行列が登場していたのをそのままにしていた。だって、回転を考えたら行列で書くのが自然じゃない。しかし、これは今の教育課程では許されないので、7.2.3 節で回転行列をまとめて扱うことにした。ま、まとまっていた方がいいのかもしれないけれど、なんとなく面白くない気もする。そうこうしているうちに、また、高校数学に行列が復活したりするのだろうか? そうなっても、こっちは元の形には戻せないよなあ。

そして、何と言っても、もっとも目立つのが、LaTeX のドキュメントクラスを奥村先生の jsbook に変更したこと。 これで見た目が格段と向上し、ずっと読みやすくなったと思う。

さらに大きいのが、ようやく hyperref のパッケージを導入したこと。 これで、文書の中での相互リンクが使えるようになった。たとえば、目次の各項目をクリック(あるいは、タップ)すれば該当の箇所に移動するし、式番号や定理の番号を引用していると ころをクリック(あるいは、タップ)すれば元の式や定理に移動する。下手に使うとわけがわからなくなるけれど、上手に使えば便利なことこの上ない。
hyperref を使ってほしいという要望は昔からあったのだけれど、ぼくの TeX のシステムが古すぎてずっと使えなかったのだ。お恥ずかしい。一年前に TeX のシステムを一新したあとも、いくつかトラブルがあってうまく使えなかった(セクションのタイトルの中の数式が悪さをしていた??)のだけれど、今回、ようやくできたというわけだ。
よかったよかった。
(2018 年 3 月)

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田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
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