Mathematical Physics seminar at Gakushuin

学習院大学数理物理セミナー

Dmitry Yarotsky 氏が東京を訪れられる機会に下記のようなセミナーをしていただくことにしました。
スピン 1 の反強磁性ハイゼンベルク模型が、「ハルデンギャップ」というキーワードで総称されるさまざまな非自明で興味深い性質をもっていることが、80 年代、90 年代の多角的で精力的な研究で明らかになった。 AKLT 模型は、ハイゼンベルク模型に余分な相互作用を付け加えた S=1 の反強磁性体のモデルである。 AKLT 模型は、「乱れた基底状態」を持ち、エネルギーギャップ(ハルデンギャップ)をもつことが厳密に知られている。 ハルデンギャップに伴うさまざまな現象を調べる出発点の役割を果たしたモデルでもある。

AKLT 模型の基底状態の諸性質は微小な摂動に対して安定だろうと期待されるが、それを厳密に示すのは、非常にむずかしい問題であることが分かった。 Kennedy-Tasaki は従来のクラスター展開を改良することで、安定性を示そうと試みたが、けっきょくは並進対称性を故意に破ったモデルでしか証明することができなかった。

Yarotsky 氏は、独自に改良したクラスター展開を用いて、この難問を解決し、AKLT 模型の基底状態の安定性を厳密に証明した。 これは、数理物理的な色彩の濃い仕事ではあるが、AKLT 模型の物理的な重要性を確立するためには不可欠の、きわめて重要な結果である。


興味をもたれた方のご出席を歓迎します。

田崎晴明


Isotropic spin-1 chain near the AKLT point

Dmitry Yarotsky

We will review some recent results related to perturbation theory of frustration-free gapped quantum lattice systems with the AKLT model as the main example. Firstly, we discuss a general rigorous perturbation theory confirming the physical intuition that no thermodynamic phase transition occurs in a neighborhood of the AKLT model, and the phase is massive there. Secondly, we discuss the so-called commensurate-incommensurate transition in qualitative properties of large-scale correlations, which occurs in the AKLT model.

3:00-, Spetember 11 (Mon), 2006

Room 404-B, South-3 buliding, Gakushuin University

日時・場所

2006 年 9 月 11 日(月)3 時から

学習院大学、南三号館四階 404-B 号室 (変更になる可能性があります)

小規模なセミナーですので、参加される方は、少し早めに南三号館四階の理論物理研究室ティールーム(南 3-401)においでください。

山手線目白駅の出口を左に出て横断歩道を渡ると学習院大学の西門です。 南三号館は少し奥の方にあります。 こちらの道順を記した地図を印刷してお持ちになる、守衛所で場所を尋ねるなどしてください(上の地図はこちらのものを利用しました)。 この大学は建物の外側に番号が書かれていないので、わかりにくいかもしれません。 南三号館四階へは外階段からおいでください。 建物の三階までが工事中で立ち入り禁止ですが、四階へは行けます。


言うまでもないことかもしれませんが、私の書いたページの内容に興味を持って下さった方がご自分のページから私のページのいずれかへリンクして下さる際には、特に私にお断りいただく必要はありません。
田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

hal.tasaki@gakushuin.ac.jp