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対称性に保護されたトポロジカル相と場の理論

高吉慎太郎

異なる相はどのように特徴づけられるだろうか。伝統的なLandau理論では、自発的な対称性の破れとそれにともなう秩序パラメーターの発現によって相転移が記述されるが、非自明相であるにもかかわらず局所的な秩序パラメーターでは特徴づけることのできない状態が存在し、トポロジカル秩序相と呼ばれている。系に対称性を課すことによって初めて自明相とトポロジカル秩序相が区別できるようになる例として、トポロジカル絶縁体・超伝導体があり、これを含めて粒子間に相互作用のない場合については、対称性を課したときに現れるトポロジカル相の分類がわかっているが、「対称性に保護されたトポロジカル相(SPT相)」は当然相互作用のある場合についても考えることができる。本講演では最初に整数スピンの量子反強磁性鎖を例にとり、スピン量子数が奇数(偶数)のときにSPT相(自明相)になることを見る。特にこの系は、Haldaneが場の理論を用いて励起ギャップを持つことを予言した系であるが、同じ場の理論を用いてSPT相がどのように記述されるかを述べる。さらに2次元以上のvalence-bond固体状態(Affleck-Kennedy-Lieb-Tasaki状態)がSPT相かどうかについても、同様の場の理論を用いて考察する。

References:
[1] S. Takayoshi, K. Totsuka, and A. Tanaka, Phys. Rev. B 91, 155136 (2015).
[2] S. Takayoshi, P. Pujol, and A. Tanaka, Phys. Rev. B 94, 235159 (2016).