選択科目について

高等科では、中等教育と高等教育、それら二つの段階が円滑に結びつけられることを望んでいます。生徒たちが自分自身の資質を見究め、進むべき道を定めるのに役立てるよう全員が共通に学ぶ必修科目と選択科目の枠とを別に設け、豊富な内容を提供しています。少人数での編成も行っています。授業を通じて大いに「背伸び」をして、より上の段階を目指すべく意識を高く持つことを期待しています。

学校とは、生徒・教職員が自分の中に潜んでいるものを探り出し、新たな可能性を作り出していく場です。そのために現在何が欠けているのかを自覚する場でもあります。それがまさに「知性を磨く」ことなのだと考えます。したがって、できるだけ様々な分野に対して幅広く関心を抱いて取り組んで欲しいと思います。

とかく大学進学のことのみに集中してしまいがちですが、遠い将来に活かす素地を築いていくことの方がやはり大切です。高等科の選択科目の制度を利用しながら、自分がどのような専門に向かうのか、将来への見通しを心の中で思い描くことができるとよいでしょう。

たとえ未来の先行きが見えず、どのような困難が待っているか予測がつかないとしても、悠然と人生を歩んでいく人物になることが理想です。自らの中に確固とした「中心軸」を備えて、その上で自在に手足を動かすことのできる柔軟性を持つ、それが高等科における学びの究極の目標です。

選択科目の例

2年生から始まる、選択科目の一部を紹介します。

音楽1

ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスから一種類を選択し、一年かけて弦楽合奏を行う。コーチによるレッスンを受けるので、楽譜の読み方など最低限の知識は必要だが、弦楽器未経験者も歓迎する。なお、楽器を所有していない生徒には学校の楽器を貸し出すが、履修人数によっては一台を数名で使うことになる。

ドイツ語1

ドイツ語に関する基礎知識を学び、それをもとにした情報の受信・発信能力の基礎を習得することを目的とする。英語等との比較も行いつつ、ドイツ語を「読む」「書く」「聞く」「話す」ことについての基礎的・実践的トレーニングを行なう。時間に余裕があればドイツ語圏の文化・社会事情も扱いたい。総合のドイツ語と併せての履修も効果的。

暴力の倫理学

皆さんは「暴力」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?戦場での兵士の悲惨な死、頻発する自爆テロ、ホロコーストや原爆といった大量殺戮といったところでしょうか?あるいは、いじめや教師による体罰、ドメスティックバイオレンスなどと呼ばれる家庭内での暴力でしょうか?いずれにせよ、あまりかかわりたくないものでしょうが、私たちが生きる社会が、暴力と無関係に存立しえないのも現実です。

この授業では、安易に「暴力反対!」と叫ぶことで議論を終えるのではなく、社会と不可分な関係にある暴力とどのようにつきあってゆくべきか、あるいは暴力をどのように記憶し後世の人々に語り伝えてゆけばよいのか、具体的な例を取り上げながら(ホロコースト、原爆、人道的介入、少年犯罪、いじめ、DV、貧困・環境問題といった事象を扱う予定です)、参加者みんなで考えてみたいと思います。人類がどのように暴力を捉え語ってきたか確認するために、暴力を描いた映像(2019 年は「天気の子」も観ました)もたくさん鑑賞してもらいます。
また、暴力の裁き方を考えるために裁判傍聴や弁護士とのディスカッションを行います。
授業は、私の講義や皆さんによる発表、そしてみんなでの議論で構成します。みんなと話をするのが好きな人、人間や社会のあり方に興味のある人、なんだかわからないけどとりたい科目のない人、歓迎します。是非参加してみてください。

博物館を知ろう

皆さんは「学芸員」という職種について、聞いたことはありますか?博物館や美術館で働く専門家のことです。学芸員は様々な業務を担っており、史資料の収集や保管、調査・研究、展覧会の開催、教育普及など多岐にわたっています。実は学芸員は、専門的な知識や技術が豊富でなければこなせない仕事です。
この授業では、歴史系・美術系の博物館に勤める学芸員はどういった知識が必要であるのかを学びます。主に、絵巻、屏風、掛軸、仏像、刀剣、鎧甲冑、茶器などの美術・工芸品についての基礎知識を学んだうえで、実際に博物館や美術館へ行って展示を見学します。
絵巻や掛軸、茶器については、実際に手にとって取り扱いを実習したり、絵巻の詞書(くずし字)を読んだりしていきたいと思います。また、独自の展覧会(ミニ展示)を企画し、発表する予定です。座学中心の授業でなく、大学史料館と協働で運営する体験的授業で外部施設に行ったり、専門的な知識を学ぶことに関心ある人はぜひ参加して欲しいと思います。

体脂肪を燃やそう

近年はダイエットブームでさまざまなダイエット法がありふれている。しかしながら極端なダイエットも問題であり、健康で太りにくい体をつくることが大切である。そのために体の構造を探求し、自らの生活習慣や食生活を見直す。そして総合的(ウエイト、スピード、プライオメトリクス、バランスなど)なトレーニングで、しなやかな筋肉をつけ基礎代謝を上げることにより、脂肪を燃焼させる。
様々な観点から、体の構造を探求して自らの生活習慣や食生活を見直す。総合的なトレーニングによって効率的に筋肉をつけ代謝をあげ、脂肪を燃焼させること学ぶ。食事、トレーニング記録とともにレポートの提出を課す。

演劇入門

スマホやゲームなどのデジタルメディアが普及した現在では、わざわざ劇場に足を運ばなければ見ることのできない演劇は、時代遅れのメディアのように思えるかもしれない。たしかに、デジタルメディアによりわれわれの生活は大きな変容を遂げた。だれもが簡単に情報を発信でき、またその情報をいつでもどこでも再生し、誰かと共有できるようになった。しかし、変容したのはメディア環境の方であって、人の営み自体は、実は太古の昔からそれほど変わっていないのかもしれない。
演劇は、特定の時間と空間を共有する見る側(=観客)と見られる側(=演者)の緊張関係を前提としている。そして、同じことを二度とは体験できないという一回性が演劇の魅力の源泉である。おそらく人は文字を発明するよりも前から、この演劇のもつ緊張関係や一回性に魅了され、演劇的な行為を見たり行ったりしてきた。これら演劇の魅力は、決してデジタルメディアでは味わえないものである。
この授業では、見る側と見られる側の両方から、演劇という古くて新しいメディアにアプローチする。見る側としては、映像資料を使って過去の公演を鑑賞する。また数回は実際に劇場に足を運ぶ機会を作りたい。見られる側としては、演劇の公演を企画したり映像作品・ラジオドラマなどの創作を行うことで、表現することの面白さを体験してほしい。
1単位分に対する対応: 授業への参加度、レポートなどで総合的に評価する。

生物2

1年、2年次で学習したことをもとに、実験を毎時行い、レポートを作成することで学習する。動物や植物の組織の染色と観察、細胞の構造と機能の学習、微生物の観察、光合成色素の分離、DNAの抽出実験、マウスの解剖と組織標本の作製、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質「GFP」の大腸菌への遺伝子組換え実験、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)による遺伝子の解析等から選択して実験を行う。高校生物でできる限りのハイテク実験を体験する。

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