(1) 介護給付費実態調査によると,訪問介護受給者数は介護保険開始後,順調に増加していたが,2005年11月をピークに減少を始めている。他方,訪問介護請求事業所数は受給者数が減少に転じたあとも増加を続け,ピークは2007年11月~12月頃であり,その後微減となった。なお,本稿で分析する調査が実施された2006年10月時点の訪問介護受給者数は964,000人,訪問介護請求事業所数は25,636である(いずれも予防給付は除く)。
(2) 分析にあたり,東京大学社会科学研究所附属日本社会研究情報センターSSJ データアーカイブから個票データの提供を受けた。記して謝意を表する。調査票, 調査実施概要の詳細ならびに単純集計結果は,SSJ データアーカイブのホームページ(http://ssjda.iss.u-tokyo.ac.jp/)を参照されたい。 お,本稿の使用データは,介護労働安定センターから個票データの寄託を受けたSSJデータアーカイブならびに堀田聰子がデータクリーニングをおこなったものであり,介護労働安定センター(2007)の数値とは異なる場合があることを注記しておく。あわせて使用調査の作成および実施機会を与えてくださった介護労働安定センター「平成18年度介護労働実態調査」調査検討会にお礼申し上げる。検討会構成(所属は当時,順序は報告書のまま)は,座長:佐藤博樹氏(東京大学),委員:堀田聰子(東京大学),田中雅子(日本介護福祉士会),渋谷洋子(加島看護婦家政婦紹介所),坂口卓(厚生労働省),野寺康幸(介護労働安定センター)である。
(3) この指標は,調査票の問23として,各従業員について尋ねられた項目から集計しなおして法人別に作成を行なった。
(4) 事業所内に20名未満の従業員しかいない場合には,全員分を記入することになっている。20名以上の場合には,「経験年数の長い方,短い方等平均的に選定」するように指示が書かれている。
(5) 厚生労働省(2005)(回答事業所1,950)によれば,訪問介護事業所における費用に占める給与費の割合は84.0%である。回答事業所が224と少ないが,2007年10月時点の経営概況を示す最新の厚生労働省(2008)においても,その割合は82.8%と報告されている。
(6) 年齢と年齢2乗,勤続年数,勤続年数2乗のみで説明する単純なミンサー型の賃金関数を用いる理由は,経営主体別に分割した場合のサンプル数を十分に確保するためである。