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消費者セグメントと次元毎に変化するアイデアル・ポイントを持つブランド選択モデルによるジョイント・スペース分析
杉田 善弘
T はじめに
消費者はさまざまな理由で購買するブランドを決定している。多くの消費者は,好きなメーカーが作ったブランドというように好みや価値で選択するブランドを決めているだろう。一方,価格が安いという理由でブランドを選択する消費者も多い。たとえば,ビールひとつを選ぶにしても,切れや味の好みで選ぶ消費者もあれば,価格を中心に商品選びをする消費者もある。つまり,消費者のブランド選択には異質性が存在する。加えて,ひとりの消費者がブランドを選択する理由も常に一定とは限らない。たとえば,価格の魅力で発泡酒を買っていた消費者が,たまたま値引きをしていたので,品質が高いビールを購買し,消費すると,今までと考え方が変わってしまい,価格で選択を決定するのではなく,品質で商品を選ぶようになってしまうかもしれない。つまり,過去の商品選択が今の選択に影響を与えたのである。
杉田(2009)は,このように多様な消費者のブランド選択をモデル化した新しいモデルを提案し,実際のデータでモデルを検証した。検証の結果は一応満足のいくものであったが,不十分な部分も残った。杉田(2009)のモデルは,一般的なブランド選択モデルにジョイント・スペース(それぞれの次元が消費者のブランド選択の基準である多次元(軸)上でのブランドの位置,いわゆるプロダクト・マップと消費者がそれぞれの次元で理想とする位置である,アイデアル・ポイント(理想点))を導入したものである。この研究のオリジナリティーは,アイデアル・ポイントが過去の複数の購買に依存して,家計毎にダイナミックに変化する点である。そこでは,過去の購買の理想点に対する影響はどの次元に対しても同じであると考えた。この仮定はモデルをなるべく簡単なものにして,分析の簡素化を図るという意味では有用なものであるが,必ずしも現実的とは言えない。例えば,ビールのメーカーに対する信頼度と割安感というふたつの軸では,割安感は過去のより多くの購買に影響され,品質の方が最近の購買の影響が大きい可能性がある。本研究の目的のひとつは,次元毎に影響が異なる可能性があるモデルを構築し,データ分析を行ってモデルを検証することである。
また,杉田(2009)のモデルでは,観測可能な過去の購買を用いて,家計間の異質性を過去の購買に依存して変化する理想点という形でモデル化した。つまり,消費者のブランド選択は,過去の商品選択という,消費者が置かれている状況の違いに依存すると考えたのである。ただし,消費者の異質性は,理想点の違い以外にも存在する。たとえば,消費者の価格に対する反【356頁】応の程度は人それぞれであろう。この研究のもうひとつの目的は,こういった消費者間の観測可能な変数によらない異質性をモデル化し,データで検証することである。
この論文のこれからの構成は次のようなものである。まず,実際の購買データから消費者のブランド選択を記述しようとするモデルの展開をレビューする。そして,本研究で提案されるモデルを紹介し,モデルをスキャンパネル・データに適用した結果を報告する。最後に,今後の課題について議論する。
2 スキャンパネル・データを用いたブランド選択の分析
市場が企業のマーケティング変数に如何に反応するかを実際のデータから確認しようとする市場反応分析に関する研究は,その重要性から,当然ながらマーケティング・サイエンスの分野で主要な地位を占めてきた。特に,1980年代以降入手可能になったスキャンパネル・データは,市場全体ではなく,それぞれの家計が如何に製品を購買していくかを記録した詳細で,膨大なデータを提供するようになった。そこで,各家計のブランド選択を,価格やその他のマーケティング変数を要因として分析することが,市場反応分析の主流を占めることになる。
多くの商品カテゴリーでは,各家計が一回の購買で買う商品の数は一個ということが普通なので,家計毎の分析では,売上個数ではなく,ブランドを選択する確率を分析することが必要になる。そこで,各家計のブランド選択確率は,その家計がブランドに対して感じている効用(効用はマーケティング変数に依存する)に比例するとした確率モデルであるロジット・モデルを,このスキャンパネル・データに適用するようになった(例えば,Guadagni and Little1983)。
しかし,実際分析を行ってみると,家計が感じるブランドの効用をマーケティング変数だけではうまく説明することが出来ない。そこで,モデルの説明力を向上させるために,ブランド・ダミー(各家計に共通なマーケティング変数では捉えられないブランドの価値を表すブランドに固有な定数項)を用いるようになった。それに加えて,前回当該ブランド購買ダミー(前回購買ダミー)などのブランド・ロイヤルティー変数も用いられるようになった。ブランド・ロイヤルティー変数は家計間でのブランド価値の差と家計の好みの時間的な変化を説明する。前回購買ダミーの場合は,前回購買したブランドがより価値を増すこと(ロイヤルティー)によって,家計内での好みの変化と家計間のブランド価値の異質性を捉える。
ブランド・ロイヤルティー変数の代表格はGuadagni and Little(1983)の提案したものである。彼らは,ブランドを購買したことによって,そのブランドに対する愛着が増し,ロイヤルティーが形成されるが,そのことは前回購買の場合のみに限ったことではなく,それ以前の購買もブランドに対する評価に好影響を与えると仮定し,ブランド・ロイヤルティー変数を次のように定義した。
ブランド・ロイヤルティーhjt=ρ・ブランド・ロイヤルティーhjt−1+(1−ρ)・dhjt−1
=(1−ρ)・Σmρm−1・dhjt-m
ただし,h=家計,j=ブランド゙,t=期,dhjt-1=前回ブランドj 購買ダミー,0≦ρ≦1
つまり,ブランド・ロイヤルティーは過去すべての購買の加重和であり,重みは前回購買が一番高く(1−ρ)で,一回遡るにつれ忘却のため,ρずつ減っていくのである。したがって,【357頁】ρは記憶パラメターであり,Guadagni and Little のブランド・ロイヤルティー変数は,前回購買ダミーより一般的なブランド・ロイヤルティー効果を測定することができる。このブランド・ロイヤルティー変数は,家計がひとつのブランドを買い続ければ,そのブランドに対するロイヤルティーの値がロイヤルティーの上限である1になり,他のブランドに対するロイヤルティーは下限の0となる。一般的には,ロイヤルティー変数は当然上限と下限の間の数値を取ることになるが,それは最近の購買により高い重みをつけた家計毎のブランド・シェアである。ρが大きいと,ブランド・ロイヤルティー変数はブランド・シェアに近くなり,逆にρが小さいと,前回購買ダミーの値に近づいていく。
確かに,ブランド・ダミーとブランド・ロイヤルティー変数を用いるとモデルのフィットはかなり良くなるが,ブランド・ダミーによって表されるブランドの価値やブランド・ロイヤルティーの内容を理解することが難しく,マーケティング戦略に対する示唆には乏しい。
そこで,モデルの説明力を向上させるために,ブランド・ダミーに代えて,ジョイント・スペース(多次元でのブランドの布置,いわゆるプロダクト・マップと消費者のアイデアル・ベクトルあるいはアイデアル・ポイント)を導入し(片平 1990,井上 1996,Erdem 1996など),加えて消費者の購買状況に依存してアイデアル・ベクトルあるいはアイデアル・ポイントを変化させることによって,ブランドの価値とロイヤルティーの変化を理解しようとする試みが行われるようになった(里村 2004,杉田 (1998,2005,2009)など)。
これらのモデルから得られたプロダクト・マップ上のブランドの布置を見ることによって,マップのそれぞれの次元が何を意味しているかを推測することが出来,消費者がブランドに対して感じている価値の基準を理解することが出来る。また,アイデアル・ベクトルからはそれぞれの軸の重要度を,そしてアイデアル・ポイントからはそれぞれの軸での理想の水準を読みとることが出来る。プロダクト・マップは,一般には,アンケート調査からのデータを因子分析や選好回帰などによって分析し,作られることが多いが,スキャンパネル・データにジョイント・スペースとマーケティング変数を組み込んだモデルを適用して得られるプロダクト・マップは,実際の購買データから得られたものであることとマーケティング変数の影響を除去したきれいなマップが出来ることが特徴である。
3 ジョイント・スペースとマーケティング変数を組み込んだブランド選択モデル
ここでは,ジョイント・スペースとマーケティング変数を組み込んだブランド選択モデルの初期の代表的なものとして,まず片平(1990)のモデルを紹介しよう。それは,ロジット・モデルにアイデアル・ベクトルを用いたジョイント・スペースを組み込んだブランド選択モデルであり,このモデルでは,家計が各ブランドに対して感じる確率的効用は,ブランドの布置とアイデアル・ベクトル,マーケティング変数,そして誤差項に依存すると仮定する。ブランド選択確率は確定的効用=確率的効用- 誤差項に比例し,以下のようにロジット・モデルによって定式化される。
選択確率hjt=exp {確定的効用hjt}/Σexp{確定的効用hit}
ただし,h=家計,j=ブランド゙,t=期
確率的効用hjt=確定的効用hjt+誤差項hjt
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=Σ(アイデアル・ベクトルhm・布置jm)+Σβhk・マーケティング変数hjkt+誤差項hjt
ただし,m =軸,一般には軸の総数は2,k = k 番目のマーケティング変数,βhk=家計hにとってのマーケティング変数k の重要度。
つまり,一般に言われているアイデアル・ベクトルとはマップ上での軸の重要度(ただし,負の符号を持つこともある)のことであり,このモデルでは,(正の符号で)重要視している軸上で布置が大きいブランドほど確定的効用が大きくなり,選択される確率が大きくなるということである。このモデルから,上でも述べたように,マーケティング変数の効果を除去したブランド価値の構造を理解することが出来るプロダクト・マップが得られ,ブランド価値を形作る基準とその重要度,マーケティング変数への反応とこれらの家計間での異質性を理解することが出来る。ただし,このモデルの欠点は,モデルが複雑なことで,特に厄介なのは,家計間の異質性を表現するためにモデルのパラメターであるアイデアル・ベクトル,ブランドの布置,マーケティング変数の重要度のうちで,アイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度が個々の家計に特有のものになっていることである。つまり,データに100家計があれば,100組のアイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度を推定しなければならないことになる。これは現実的ではないので,共通のアイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度を持った少数のマーケット・セグメントの存在を仮定し,推定の簡素化が図られている。
また,このモデルからは状況への依存性(過去に購入したブランドの影響)について知ることは出来ない。Erdem(1996)は,ジョイント・スペース上で前回購買ブランドと位置が近いブランドほど購買される確率が高くなるという慣性と,その逆で位置が近いほど購買される確率が低くなるバラエティー・シーキングをモデル化した。ただし,このモデルでは前回購買ブランドの影響の範囲がマーケティング変数の重要度にはおよばない。例えば,前回購買したブランドによって価格や広告の重要性が変わることはない。また,ジョイント・スペースへの影響も慣性とバラエティー・シーキングという現象に限られている。
杉田(1998)は,前回購買ブランドの影響が軸の重要度であるアイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度に影響を与え,変化させるとしたモデルを提案した。つまり,このモデルでは,ブランドの布置は状況の如何にかかわらず一定であるが,軸の重みとマーケティング変数の重要度が前回購買したブランドに依存して変化するのである。品質の高いブランドは,状況にかかわらず品質が高いブランドと認知されるが,品質を重視するかどうかは現在使っているブランドが何であるかによって変化する。
同時に,このモデルでは,消費者の異質性もその消費者が直面している状況によってかなりの部分が説明できると考えて,状況(前回購買ブランドの影響)によって消費者の異質性を説明し,同時に推定の簡素化を図っている。つまり,消費者は前回購買し,現在使用中のブランドによってセグメント化され,そのセグメント毎に一組のアイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度を共有すると考える。このことによって,セグメントの数はブランドの数となり,セグメントのサイズは当該ブランド前回購入者数となるので,セグメント数とセグメント・サイズの推定という厄介な問題を回避することができ,簡便性を確保することができる。欠点は,状況そしてそれに基づいた家計の異質性を,前回どのブランドを購買したかということのみによって表現していることである。
里村(2004)は,各家計のアイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度が購買毎に【359頁】ひとつのセグメントから他のセグメントのものに確率的に変化するとした片平モデルの拡張モデルを提案し,ベイズ統計学の手法であるMCMC 法を用いてパラメターを推定した。このモデルによって,片平のモデルでは出来なかった,家計が持っているアイデアル・ベクトルとマーケティング変数の重要度の変化を捉えることが出来るようになった。里村モデルは家計のセグメント間での移動に関して,杉田(1998)のモデルより一般的で複雑な現象を捉えることが出来る。ただし,このモデルでは,状況への依存性が明示的に組み込まれていないので,何故変化が起きたかは分からない。また,推定の複雑さも解消されたとは言えない。
また,里村も指摘しているように,アイデアル・ベクトルを用いたモデルに共通の弱点として,軸上で特定の値が好まれるという現象を表現できないということがある。アイデアル・ベクトル・モデルではブランドの布置が大きければ大きいほど,ブランドは消費者に好まれるからである。コーヒーの適度な苦みというような中間的な値が好まれるような場合は,アイデアル・ポイント・モデルを用いなければならない。逆に,大きな値が好かれる場合でも,アイデアル・ポイントの値が大きくなれば,大きい値ほど好かれるということを表現することは(近似的に)可能である。
杉田(2005)は,アイデアル・ベクトル・モデルより多くの現象を記述することが可能で状況に依存したアイデアル・ポイント・モデルを構築した。このモデルでは,前回購入したブランドに依存してアイデアル・ポイントとマーケティング変数の重要度が変化する。前回購入したブランドによる影響という考え方は,杉田(1998)のアイデアル・ベクトル・モデルと共通である。ここでも,消費者は前回購買し,現在使用中のブランドによってセグメント化され,そのセグメント毎に一組のアイデアル・ポイントとマーケティング変数の重要度を共有している。このことによって,セグメント数はブランド数となり,セグメントのサイズは当該ブランド購入者数となる。このセグメンテーションに関するアプローチの欠点も杉田(1998)と同様で,状況そしてそれに基づいた家計の異質性を,前回どのブランドを購買したかのみによって表現していることである。
杉田(2009)のモデルは,消費者の状況への依存を前回購買のみに限定せず,過去の多くの購買への依存に拡大した,プロダクト・マップとアイデアル・ポイントを持つブランド選択モデルである。このモデルでのアイデアル・ポイントについての考え方は以下のようなものである。ある家計がひとつのブランドのみを購買しているのであれば,そのブランドの位置とアイデアル・ポイントは一致していると考えて良い。もしふたつのブランドを半分ずつ購買しているので,ブランド・シェアが同一であれば,アイデアル・ポイントはふたつのブランドの位置の平均である中間に位置していると考えるのが普通であろう。下の表1は,ふたつの家計A,B どちらもが,ふたつのブランドを購買していると仮定した購買機会毎の架空のブランド選択を表にしたものである。
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どちらの家計もふたつのブランドを半分ずつ購買し,ブランド・シェアは各ブランド50%で同一であるが,家計A はふたつのブランドを頻繁にスイッチングしながら購買し,家計B は最近3回ブランド2を購買している。この場合,家計A のアイデアル・ポイントはふたつのブランドの中間にあり,家計B のアイデアル・ポイントの方は,最近ブランド2を続けて購買しているので,ブランド2の位置にぐっと近づいている可能性が高いと考えるのが自然であろう。つまり,家計内ブランド・シェアが同じ値(ここでは,50%)でも,購買履歴によって,アイデアル・ポイントの位置は異なると考えるのがより自然であり,これがダイナミックに変化するアイデアル・ポイントという考え方である。もし前回購買したブランドによってのみアイデアル・ポイントが決まると仮定すると,家計A のアイデアル・ポイントの位置を決定することは困難であろう。また,家計B は,購買機会3から購買機会4の間に大きくアイデアル・ポイントが変化したことになる。
先に紹介したGuadagni and Little(1983)のブランド・ロイヤルティー変数は,最近の購買により高い重みをつけた家計毎のブランド・シェアなので,これを用いれば,購買経験に比例して変化するアイデアル・ポイントという考え方をモデル化することができる。つまり,家計のアイデアル・ポイントをGuadagni and Little(1983)のブランド・ロイヤルティー変数によって重み付けられたブランドの布置の加重平均と考えればよい。表1のケースでは,家計A の購買は,記憶パラメターであるρを大きくすれば,過去の多くの購買に重みをつけることになるので,ブランド・ロイヤルティー変数の値はブランド・シェアに近づき,ブランド・スイッチャーであることがうまく表現できるようになる。つまり,ブランド・スイッチャーの理想点は,直前に買ったブランドの位置へ大きく近づくことはなく,過去買ったいろいろなブランドが少しずつ影響し,多くのブランドの布置の中間的な位置をとる。したがって,どのブランドがすごく好きということがない。逆に,家計B の購買は,ρが小さくなると最近の購買により多く重みがつくので,家計の理想点は一定のブランドの方向へ大きく動き,ロイヤルティーをうまく表現することができる。一般的にも,家計がブランド・ロイヤルであれば,同じブランドを買い続けるので,最近の購買を見れば,その家計がロイヤルであるブランドを知ることができる。
家計のアイデアル・ポイントをブランド・ロイヤルティー変数によって重み付けられたブランドの布置の加重平均とすることのメリットは,購買機会毎に変化し,過去の多くの購買に依存する家計のアイデアル・ポイントのモデル化を可能にするだけではない。ブランド・ロイヤルティー変数を用いることによって,ブランドの布置さえ推定できれば,家計のアイデアル・ポイントはそこから計算することが出来る。したがって,家計数がいくら増えようと,モデルのパラメターを全く増やさずに,家計毎に異なるアイデアル・ポイントを推定することが出来,これによって家計の異質性も捉えることが出来る。
上述のように,このモデルは,過去の購買のアイデアル・ポイントに対する影響はどの次元に対しても同じであると仮定したが,これは必ずしも現実的とは言えない。つまり,家計は次元毎にブランド・スイッチャー(過去の多くの購買に影響される)であったり,ブランド・ロイヤルであったりする可能性があるからである。また,消費者の異質性は,過去の購買に依存した理想点の違い以外にも存在する。表1の例のように,ρの値が次元ごとだけではなく,家計毎に異なる可能性があるし,マーケティング変数に対する反応も異なるかもしれないからである。今回の研究の目的は,このふたつの仮定に縛られないモデルを提案し,実際のデータで【361頁】検証することである。
4 消費者セグメントと軸毎に変化する理想点を持つブランド選択モデル
ここでは,本研究での提案モデルを基本的なアイデアル・ポイント・モデルから構築していこう。基本的なアイデアル・ポイント・モデルでは,家計が各ブランドに対して感じる確率的効用は,ブランドの布置とアイデアル・ポイント(理想点),マーケティング変数そして誤差項に依存すると仮定する。選択確率は,確定的効用=確率的効用−誤差項に比例するロジット・モデルによって定式化される。
選択確率hjt=exp {確定的効用hjt}/Σexp {確定的効用hjt}
ただし,h=家計,j=ブランド,t=期
確率的効用hjt=確定的効用hjt+誤差項hjt
=Σ−(布置jm−アイデアル・ポイントhmt)2+Σβk・マーケティング変数hjkt+誤差項hjt
ただし,アイデアル・ポイントhmtは第t 期の家計h にとってのm 軸上でのアイデアル・ポイントを表している。
アイデアル・ポイント・モデルでは,ブランドの布置と理想点との距離が少ないほうが効用が大きいと考えるので,確率的効用の式でのブランドの布置と理想点との距離には負の符号がついている。したがって,もしアイデアル・ポイントが大きければ,ブランドの布置が大きいブランドが大きな効用を持つことになる。逆に,もしアイデアル・ポイントが小さければ,ブランドの布置が小さいブランドが大きな効用を持つことになる。
上述のように,杉田(2009)モデルでは,家計のアイデアル・ポイントをGuadagni and Little(1983)のブランド・ロイヤルティー変数によって重み付けられたブランドの布置の加重平均と考える。したがって,家計のアイデアル・ポイントは次のように書くことができる。
アイデアル・ポイントhmt=Σ布置jm・ブランド・ロイヤルティーhjt
ただし,ブランド・ロイヤルティーjhjtjはGuadagni and Little(1983)のブランド・ロイヤルティー変数である。つまり,
ブランド・ロイヤルティーhjt=ρ・ブランド・ロイヤルティーhjt−1+(1−ρ)・dhjt−1
=(1−ρ)・Σρn−1・dhjt-n
ただし,dhjt−1=前回ブランドj 購買ダミー,0≦ρ≦1。
さらに,本研究の提案モデルでは,アイデアル・ポイントへのブランド・ロイヤルティー変数の影響は次元毎に異なる可能性を持つので,記憶パラメター(ρ)は次元毎に異なると考える。
ブランド・ロイヤルティーhjmt=ρm・ブランド・ロイヤルティーhjmt−1+(1−ρm)・dhjt−1
=(1−ρm)・Σρmn−1・dhjt-n
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アイデアル・ポイントhmt=Σ布置jm・ブランド・ロイヤルティーhjmt
ただし,0≦ρm ≦1である。
さらに,本研究では,家計の異質性は過去の購買によって変化するアイデアル・ポイントだけにはとどまらないと考え,消費者間の観測可能な変数(過去の購買)によらない異質性を潜在クラス・モデルによってモデル化する(Andrews et. al. 2002) 。そこで,市場には,S 個のそれぞれの記憶パラメター(ρ)とマーケティング変数の重要度を持つ(ベネフィット・)セグメントが存在し,家計はこれらのセグメントのいずれかに,データ期間を通して,確率的に所属すると仮定する。ρは次元毎に異なるので,全部でS ×次元数だけある。また,ρが異なるので,アイデアル・ポイントもセグメントごとに異なる。セグメントs に所属する家計h のブランド選択確率は次のようである。
選択確率hsjt=exp {確定的効用hsjt}/Σexp { 確定的効用hsit}
ただし,h=家計,i, j=ブランド,t=期,s=セグメント。
確率的効用hsjt
=-Σ(布置jm −アイデアル・ポイントhsmt)2+ Σβsk・マーケティング変数hjkt+ 誤差項hsjt
ただし,m=軸,m=2とする,k=k 番目のマーケティング変数。
アイデアル・ポイントhsmt=Σ布置jm・ブランド・ロイヤルティーhsjmt
ブランド・ロイヤルティーhsjmt=ρsm・ブランド・ロイヤルティーhsjmt−1+(1−ρsm)・dhjt−1
ここでは,ブランドの布置は,状況の如何やセグメントにかかわらず一定であると仮定する。ブランドの布置は一定と考えたほうが,プロダクト・マップをマネジリアルに解釈しやすいからである。家計はセグメントs に次のような確率で所属する。
セグメント所属確率hst=exp{セグメントs に固有の定数}/Σ exp{セグメントq に固有の定数}
それぞれのセグメントに固有の定数は家計がそのセグメントに全購買を通じて所属する可能性を表現している。
5 消実証分析
データは,食料品のパッケージ財一カテゴリーに関するスキャンパネル・データ1)で,70家計の5ブランドの購入に関するもので,全購買回数は742回である。ブランドの詳細は,表2の通りである。
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この製品カテゴリーには,他にも多くのブランドが存在するが,この2メーカーの5ブランドで市場全体の売上の多くを占めている。表2の中のシェアは,これらの5ブランドの中でのシェアを示している。表中で最もシェアが高いのが番号5のブランド(以下ブランド5と呼ぶ,その他のブランドも同様)で,シェアは約30%である。次に,シェアが高いのはブランド2であり,約24%のシェアを持っている。しかし,ブランド3とブランド4の違いはサイズだけであり2),この両者を合わせると,こちらも24%ほどのシェアを持っている。一番シェアが低い ブランド1でも,シェアは20%以上あるので,シェアから見れば,この5ブランドはかなり拮抗した競争をしている。
ブランド2とブランド5は,同じ製法で作られていて,メーカーによって普及ブランドと位置づけられている。これに対して,ブランド1,3,4は,ブランド2,5とは違う同一の製法で作られ,プレミアム・ブランドとして位置づけられている。実際売価の標準価格に対する比率である価格掛率3)を見ると,平均ではブランド1,ブランド2,ブランド5の掛率が低いが,平均だけでは読み取れないそれぞれのブランドの価格戦略が存在しているようである。
表3は,データ期間内の各ブランドの価格掛率の頻度分布を示したものである4)。ブランド1と5はほぼ定価(掛率が0.95−1.0)で売られていることも多いが,安い価格帯,特に標準価格の半値近く(掛率が0.55以下)で売られていることも多い。逆に,ブランド2は,ブランド1やブランド5ほど極端に安い価格帯では売られることは少ないが,安い価格帯(掛率が0.55−0.75)で安定的に売られていることが多い。ブランド3と4は他のブランドに比べ,標準価格近辺(掛率が0.75−1.0)で売られることが多く,値引きはそれほど極端ではなく,価格は安定しているようである。
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上のデータに対してふたつのモデルを適用して最尤推定した結果を比較した。推定には,購買回数が少ない4家計は除き,66家計のデータを用いた。初めのモデルは,価格掛率をマーケティング変数として持った本研究での提案モデルである。ふたつ目のモデルは,提案モデルの有効性を確認するためのベースラインである杉田(2009)モデルである5)。このモデルも同様に価格掛率をマーケティング変数として持つ。それぞれのモデルについて,セグメント数が1から始めて,複数のセグメントを持つモデルを推定し,結果を比較して最良のセグメント数を決定することにした。推定の際,ジョイント・スペースの次元は2次元とした。また,提案モデルでは,過去の各購買のアイデアル・ポイントへの影響度を測る記憶パラメター(ρ)はセグメント・次元毎に異なるが,一部のセグメントでは等しいとした制約を課したモデルも推定した。これは,次元毎に異なるρの推定値が似通っている場合にモデルをより頑健なものにするためである。推定されたモデルのデータへの適合度をAIC(赤池の情報量基準)とBIC(ベイジアン情報量基準)で比較したのが表4である6)。
表4から,AIC で比較してもBIC で比較しても,提案モデルの適合度が杉田(2009)モデルの適合度を上回っているのが分かる。AIC で見れば,最も良いのが,ひとつのセグメントではρが各次元共通である,2セグメントを持つ提案モデルで,2番目に良いのが,2セグメントの提案モデルである。BIC で見ると,ここでも最も良いのが,一つのセグメントではρが2次元とも共通である2セグメントを持つ提案モデルで,2番目に良いのが,1セグメントの提【365頁】案モデルである。したがって,どちらの指標でも最も良い結果を出したひとつのセグメントでρが2次元とも共通である,2セグメントを持つ提案モデルを採用するべきである。セグメント数が少ないモデルのパフォーマンスが良いのはマーケティング・データに適用された潜在クラス・モデルではよく起こることである。このデータでも3セグメントを持つモデルの適合度は2セグメントを持つモデルより劣っていて,それ以上のセグメント数を考える必要はなかった7)。この後は,採用された提案モデルの推定結果の解釈について議論を進めていく。採用したモデルから得られたパラメターの推定値は表5の通りである。
この表から,このモデルから得られたふたつのセグメントでは,価格への反応が大きく違うことが分かる。第1セグメントに比べ,第2セグメントの価格パラメターの値は半分以下である。ρの値はセグメント間で異なっているが,価格ほどは大きく異なってはいない。このことは,ここで得られたふたつのセグメントが価格への反応の違いによって特徴づけられていることを示している。それぞれのセグメントへの所属確率は,第1セグメントが75%で,第2セグメントが25%と差があり,多くの家計が価格志向であることが分かる。第1セグメントのρは第1軸が0.90で,第2軸が0.62である。つまり,第1軸はρの値が高いので,多くの過去の購買に依存し,ブランド・スイッチングが多い。これに対して,第2セグメントでは,ρの値はふたつの軸で共通であり,0.66と低いので,最近の購買の影響が比較的大きく,理想点が一定のブランドに近づいている。ブランドの布置について解釈をしやすくするため,図1にプロダクト・マップを描いた。
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図1のマップでは,ブランドの布置は◆で表してある8)。マップの下側にプレミアム・ブランドであるブランド1,3,4が位置し,マップの上側にお買得なブランドであるブランド2と5が位置している。したがって,2軸は製法の差(による味の好み)を表すと考えられる9)。これに対して,1軸は価格イメージの差をあらわすと考えられる。上述のように,ブランド5と1は定価と安売りの差(価格差)が激しいブランド,いわゆるハイ・ロー・プライシングを用いるブランドで,これがマップの左側に位置している。価格が割合安定しているブランド2,3,4は逆にマップの右側にある。消費者には,価格戦略に関して好みがあると考えられる。一部の消費者は価格が安定していることを好み,他の消費者はチェリー・ピッキングができるハイ・ロー・プライシングを好むと考えられるからである。
アイデアル・ポイント・モデルでは,アイデアル・ポイントから近い位置にあるブランドが好かれるので,アイデアル・ポイント・モデルを解釈するには,ブランドの布置とアイデアル・ポイントとの位置関係が問題になる。ある軸上でブランドの布置が近いブランドが,消費者から同じように知覚され,軸の意味を推測することが出来ても,それだけではどのブランドの布置が競争上優位なものなのかは分からない。ブランドの布置が負の値を取っていたとしても,それだけでは不利な位置とは言えないのである。図2と図3は,それぞれ第1と第2セグ【367頁】メントのブランドの布置と家計のアイデアル・ポイントの分布を立体的に示した散布図である。各家計は,セグメントへの所属確率が最大(2セグメントなので,確率が0.5以上)のセグメントに所属すると仮定して分布を計算した10)。
セグメント1には53家計が所属すると推定され,ここではアイデアル・ポイントがブランド5あるいはブランド3,4の付近とマップの中央に多く見受けられる。アイデアル・ポイントが散布図の中央に多いということは,ブランドの布置の重心(平均)近くにアイデアル・ポイントが位置しているので,ブランド・スウィッチングが多く起きているセグメントである可能性を示唆するが,価格感度が高いことと合わせて考えると,このセグメントはスィッチャーが多いセグメントであることが理解できる。また,上述のように,第1軸はρの値が高いので,最近の購買からのブランド・ロイヤルティー変数に対する影響は小さい。したがって,第1軸については,消費者のアイデアル・ポイントは簡単には移動しないので,価格戦略に対する消費者の好みはあまり変わらない。しかも,このセグメントにはもともと価格感度が高い消費者が多いので,第1軸上の位置にかかわらず,その時安いブランドが買われる可能性も高い。第2軸のρは比較的値が低いので,最近の購買の影響が大きい。つまり,製法に関する好みは最近のブランドに引っ張られやすいということである。これは,味の好みは今使っているブランドにより影響されやすいということであろう。
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セグメント2には13家計が所属する。このセグメントでは,アイデアル・ポイントの分布はそれぞれのブランドの位置のそばに偏っている。このセグメントのρは第1軸,第2軸とも0.66であるので,アイデアル・ポイントの位置は最近購買したブランドに影響される度合いが比較的大きく,しかも,もともと価格反応度が低いセグメントなので,今使っているブランドからのスィッチングの可能性は低く,ロイヤルなセグメントである。興味深いのは,どのブランドにも同じぐらいの数のファンがいることで,消費者の人気を集めて優位に立っているブランドが特に見当たらないことである。第1セグメントがブランド・スイッチャーが多いセグメントであることと合わせて考えると,マーケット・シェアが拮抗した市場であるのもうなずける。
表6は,ブランドの布置と家計のアイデアル・ポイントとの距離から,それぞれの家計のアイデアル・ポイントに最も近いブランドを,その家計が好きなブランドとして,ブランド毎にそのブランドが好きな家計の頻度を表にしたものである。この表からも,セグメント1ではブランド4そしてブランド5の人気が高いことが分かる。ブランド3とブランド4は位置が非常に近いので,ブランド3がアイデアル・ポイントから最も近いブランドになれなかったということで,人気がないというわけではない。セグメント2では,やはりそれぞれのブランドがファンを確保しているようである。それでは,5ブランドの価格が同一でも,このままアイデ【369頁】アル・ポイントの分布は将来的にも安定して,ブランドが拮抗している状態は続くのであろうか。あるいはどれかひとつのブランドが優位に立つのであろうか。この疑問に答えるために,ブランドの価格は同一と仮定して,各家計が5回購買を続けたとする,と仮定した購買シミュレーションを行った。偏った結果を避けるため,シミュレーションは100回おこない,家計のアイデアル・ポイントはアイデアル・ポイントの平均とした。
表7もブランドの布置と家計のアイデアル・ポイントの距離から,好きなブランドを選び出したものである。表6と同じ推定データでの結果が表の左側にあり,シミュレーションの結果をうけたものが表の右側にある。セグメント1では,シミュレーションの結果,ブランド4がさらに人気を伸ばし,ブランド1の人気がかなり減り,ブランド5も人気を少し減らした。ブランド4が人気を伸ばした理由は,ブランド4のマップ上での位置とそれぞれの軸でのρの値が関係しているようである。ブランド4の布置は,1軸で中間的な値を取り,2軸ではかなり低い値だがブランド1とは近い値を取る。1軸はρが大きく,アイデアル・ポイントはあまり動かず,アイデアル・ポイントが中間的な値に多いので,極端な値より中間的な値が好まれ,2軸ではρが小さく,アイデアル・ポイントの動きが大きく,極端な布置でもアイデアル・ポイントが近くに移動してくる。結果として,ブランド1と4は2軸では優劣がはっきりせず,1軸でブランド1が極端な値なので,ブランド4が優位に立つため,ブランド4に人気が流れる結果となる。この結果は,実際にはブランド4の価格が高くても,ブランド4がマーケット・シェアで不利に陥っていなかったことを考えれば,納得のいくものであり,他のブランドにとっては警戒しなければならない結果である。特に,ブランド1は価格イメージ軸である1軸で売価に価格差がありすぎると思われている可能性があるので,価格戦略を再考する必要があるかもしれない。セグメント2では,好きなブランドがほとんど変わっていない。これは,もともとこのセグメントの価格反応度が低く,価格には影響を受けにくいファンの多いセグメントであることが原因と思われる。
6 結果の要約と今後の課題
本研究では,消費者セグメントと家計毎にダイナミックに変化し,次元毎に記憶パラメターが異なる,アイデアル・ポイントを持ったブランド選択モデルを提案した。アイデアル・ポイントのダイナミックスは,次元毎に異なるGuadagni and Little(1983)のブランド・ロイヤルティー変数を用いることによってモデル化し,消費者セグメントは潜在クラス・モデルによってモデル化した。実証分析の結果から,本研究で提案されたモデルの適合度は,同様なメカニ【370頁】ズムを持つが,消費者セグメントと次元毎に異なる記憶パラメターを持たない杉田(2009)モデルの適合度を上回ることが示された。実証分析の結果は一応満足のいくものであると言えよう。
今回のモデルの実証分析は,過去の購買の影響は次元毎に異なる可能性があることを示している。ただし,実証分析の結果は,2セグメントのうち1セグメントについては異なり,もうひとつのセグメントでは同一であるというものであったので注意が必要である。影響が異なったセグメントでは,次元の解釈から,商品そのものに関する選好は,商品を使うたびに補強されるので今使っている商品の影響を受けやすいのに対し,価格戦略については家計に好き嫌いは少ないようで,ハイ・ロー・プライシングのブランドも安定的な価格のブランドも同じように購買されることが示された。
マーケティング変数への反応もセグメント毎に違うことが示された。特に,今回の分析では,価格反応度が大きく異なるブランド・スイッチャーとブランドのファン・セグメントが識別された。ただし,1セグメントしか持たない提案モデルがかなり良いパフォーマンスを見せたということは,消費者の異質性のかなりの部分が家計毎にダイナミックに変化するアイデアル・ポイントによってカバーされていることを示していると思われる。
今後の課題は多い。過去の購買の影響が次元毎に異なるということは多くのデータに共通なのか。また,アイデアル・ポイントによって家計の異質性がかなりの部分カバーされるのも多くのデータに共通なのか。そしてρの値と価格反応度にはなんらかの関係があるのか。これらに対する答えを得るにはより多くの実証分析を行うことが必要であるのは言うまでもないが,より精緻なモデルを構築して,ブランド間の競争をより良く表現し,モデルの理論的な分析を行うことも必要である。
[参考文献]
1.Andrews, R. L.., A. Ainslie and I. Currim(2002),“An Empirical Comparison of Logit Choice Models with Discrete Versus Continuous Representation of Heterogeneity,”Jounal of Marketing Research, 39, 4, 479-487.
2.Erdem, T.(1996),“A Dynamic Analysis of Market Structure Based on Panel Data,”Marketing Science,15, 4, 359-378.
3.Guadagni, P. M. and J. D. C. Little( 1983),“A Logit Model of Brand Choice Calibrated on Scanner Data,”Marketing Science, 5, 2, 203-238.
4.Ramsay, J. O.(1978),“Confidence Regions for Multidimensional Scaling Analysis,”Psychometrika, 43,241-266.
5.Tversky, A. and I. Simonson(1993),“Context-dependent Preferences,” Management Science, 39, 10,1179-1189.
6.井上哲浩(1996)「競争市場構造,消費者選好構造,マーケティング・ミックス効果を統合した離散選択モデル」『商学論究』(関西学院大学商学研究会)Vol.43,No.2,135-160頁.
7.片平秀貴(1990),「マッピングを伴う市場反応モデル」,『マーケティング・サイエンス』,36,13-27頁.
8.里村也(2004),「マッピングを利用した市場反応の動的分析」『マーケティング・サイエンス』,Vol.12,No.1・2,1-23頁.
9.杉田善弘(1998),「文脈効果とジョイント・スペースを組み込んだブランド選択モデル」,『消費者行動研究』,Vol.5,No.2,13-26頁.
10.杉田善弘(2005),「アイデアル・ポイント・モデルによるジョイント・スペース分析」,『経済論集』(学習院大学経済学会),Vol.42,No.1,21-32頁.
11.杉田善弘(2009),「ダイナミックに変化する家計毎のアイデアル・ポイントを持つブランド選択モデルによるジョイント・スペース分析」,『経済論集』(学習院大学経済学会),Vol.46,No.2,187-202頁.
12.柳井晴夫(1994),『多変量データ解析法』,朝倉書店.