*) 本稿の分析に当たっては,厚生労働省の「介護サービス情報の公表」制度にかかる公表データを利用した。データ利用を許可していただいた厚生労働省および各都道府県の担当部局に感謝を申し上げたい。
1) 先行研究に関するサーベイとして,Bartelsman and Doms(2000),Syverson (2011),深尾・宮川(2008),宮川(2018),森川(2014)が挙げられる。
2) 要支援者のケアプラン作成については,基本的には,地域包括支援センターが行うことになっている。
3) 実際問題として,特別養護老人ホームや老人保健施設には,利用者100人に対してケアマネージャーを一人配置する基準が設けられているので,このあたりが物理的な上限であると考えられる。ちなみに,居宅 介護支援事業所は利用者35人に対して一人のケアマネージャーの配置が求められている。
4) もう一つの対処方法としては,物理的指標を介護報酬ベースに直し,各種加算を加えることでサービスの質をアウトプットにある程度含めるということも考えられる。
5) もっとも,後でみるように,回帰分析の結果からは労働生産性22に関する(労働者数の)規模の利益は確認できず,むしろ規模の不利益があるという結果となっている。
6) 分析に先立って,記入日が2015年4月1日から2016年3月31日である事業所にサンプルを限定した。また,居宅介護支援は2000年4月1日からスタートした事業であるため,それ以前に開業したと回答している事業所についても(事業の準備ということで,介護保険開始前から事業所を設置している場合がある),2000年4月1日を事業開始日と定義して,操業期間を計算している。
7) 本稿では,同一法人が居宅介護支援と介護予防支援以外の兼業を全く行っていないということをもって独立系ケアマネと定義している。
8) 人口密度は高齢者人口密度と同様の性質があるため,省略した。
9) 無論,誘発需要などを生まないという制約のもとで兼業が行われる必要がある。ただし,近年は,ケアプランが同一の法人に集中しすぎないような工夫も政策的に行われている。