1) この点については南部(1994)において,中世以来の共同体という視点からも論じたところである。または医療については南部(2010)で社会的共通資本としての持続可能性を高齢化・少子化という点から分析した。
2) 宇沢(1994)では,社会的共通資本のマクロ的・一般的特質として市民の基本的権利に関わるサービスでは「赤字」は資源のミスアロケーションを示すものではなく,市民の基本的権利の充足に不可欠であり,赤字は本質的な問題なのではなくて社会的費用の内部化を行うことが効率的かつ公正な資源配分をもたらすとされている。本稿は「市民」という概念に代わって集団的共同消費のメンバーという,より「ザッハリヒ」な視点から赤字と内部相互補助の関係を論じたが,趣意は同じくするところである。
3) この論争には当時の中心的な経済学者−ケインズ,ラーナー,ミードなども全面的に参加している。
4) この論文では電力の需給マッチングの「場」を中心に分析を行っている。それは電力の需給メカニズムは供給側と需要側とが遭遇する「電場」を中心にして考えなければならないからである。この点の解説は南部(2022)に詳しい。
5) このような視点からの最近の分析にはArmstrong and Vickers(2001)(2010)などがある。
7) 公益事業では古くから「レートメイキング」の問題として議論されてきた。北(1974)が有用である。
8) この問題については共役複素数,外積などの概念を用いて電力の需給均衡のメカニズムの分析と政策的含意について次の論文南部(2025刊行予定)で論じている。