教員紹介


下重直樹(しもじゅうなおき)准教授

[専門分野]
記録史料学(日本近現代)、記録管理制度論

[略歴]
学歴
 2004 年 3 月 筑波大学第一学群人文学類卒業
 2006 年 3 月 筑波大学大学院人文社会科学研究科(歴史人類学専攻)修士(文学)取得
 2008 年 4 月 日本学術振興会特別研究員(〜2009年3月)
 2009 年 3 月 筑波大学大学院人文社会科学研究科(歴史人類学専攻)単位取得退学

職歴
 2009 年 4 月 独立行政法人国立公文書館 公文書専門員
 2011 年 4 月 独立行政法人国立公文書館総務課 企画法規係長
 2014 年 4 月 内閣府大臣官房公文書管理課 公文書管理専門職
 2016 年 4 月 独立行政法人国立公文書館 公文書専門官
 2017 年 4 月 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻 准教授

[学会や社会における活動]
 歴史人類学会運営委員(2004〜2008年)

[主要業績]
著書
『近代日本公文書管理制度史料集 中央行政機関編』(岩田書院、2009年)(共編著)

論文
「「稿本井上馨伝」編纂事業についての基礎的考察―伝記資料の史料学的検討から―」(『近代史料研究』第7号、2007年10月)
「昭和財政史資料―戦前大蔵省における文書管理と財政史編纂―」(『北の丸』第42号、 2009年10月)
「公文書管理制度と近現代史学―政治史の対象と方法についての一考察―」(『近代史料研究』第12号、2012年10月)
「内閣府補助部局における記録管理の史的展開―政策形成とアーカイブズに関する試論として」(『北の丸』第46号、2014年1月)
「被災公文書等修復支援事業の成果について」(『アーカイブズ』第49号、2013年3月)
「SARBICA 国際セミナー「アーカイブズの災害管理及び復興:デジタル時代の解決策と課題」参加報告」(『アーカイブズ』第52号、2014年3月)

[アーカイブズ学専攻で学ぶ人たちへ]
  これまで国立公文書館や内閣府で記録管理政策に関わる専門職であるアーキビストとして働いてきました。日本では2009(平成21)年に「公文書管理法」という記録管理に関わる基本法がようやく整い、私自身もその施行準備や運用、改善を図るべく取り組んできました。授業や文献講読、研究活動を通じて得た知識を実際に現場へと還元し、直面する現実を実現可能なかたちで前進させていくことは極めて難しいことですが、そのリアリズムとの緊張関係が、この分野の面白さでもあります。
 国や社会全体で見れば、専門職としてのアーキビストに対する認知度やニーズ、組織活動におけるポジションは充分に確立しているとは言えませんし、要求される資源、すなわち専門性の裏付けとなる知識や技能、倫理の内容もこれから築き上げていく必要があります。
 他方、国家や民族といった既存の価値体系が崩れ始めるなか、情報社会の深化を「執拗低音」として、事実に基づかない意思決定や非合理な選択が私たちの権利や存在に脅威を与える時代を迎えつつあります。確からしい情報、記録の「記憶装置」であるアーカイブズが持つ使命もこれまでとは違ったものになるでしょう。
 新たな可能性をいまだ失っていないアーカイブズの世界と、その知的基盤の中核となるアーカイブズ学を学びながら、未来へと拡がっていく知のフロンティアに皆さんと一緒に歩を進めたいと願っています。

戻る