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概要

◆成長しつづける美術史学専攻

学習院大学大学院の美術史学専攻は、前期学生の1学年定員10名、後期学生の1学年定員3名に対して、美術史学の研究者である専任教員5名を擁し、密度の濃い美術史学の教育を行なっています。
独立した美術史学専攻としての発足は2008年4月ですが、哲学専攻の一部としてはすでに半世紀の歴史を持ち、多くの修了者が各地の国公私立美術館で学芸員として活動したり、母校をはじめとする諸大学で教育にあたったりしています。一貫して変わらない方針は、「専門的知識・見識をもって美術と人々との橋渡しとなる人材」を育てるということです。美術館の学芸員、研究員、大学の教員はもちろん、画廊で働く、美術書の出版に関わる、といった仕事も考えられますし、仕事とは別に、ボランティアとして美術館の教育活動に携わることも専門を生かす道といえます。
美術史学専攻としての独立に際しては、新たに二つの方針を打ち出しました。一つは、これまで大学で専門的に教えられることの少なかった工芸史の研究拠点を作るということで、そのために、教授陣に陶磁史の専門家を加えました。もう一つは、美術館の学芸員あるいは美術館の教育・普及の専門家の養成を重視するということで、具体的には、美術館とは何か、どうあるべきかという問題についてさまざまな角度から考察する「美術館学」の講義を開講しました。5名の専任教員のうち3名は美術館の学芸員、文化財研究所員として長年活動してきましたし、他の2名も美術館教育や美術館史を重要な研究対象としていることから、本専攻は、美術館の専門家を育成するために最適の環境を用意できると自負しています。
学習院大学大学院美術史学専攻は、伝統を踏まえながら、新たなスタート地点に立ち、これからも、美術史という学問と美術の現場の橋渡しをすべく、皆さんと共に成長してゆきたいと考えています。

◆専攻の特色

本専攻では、日本東洋美術および西洋美術を対象とする美術史学を専攻領域として、専門的な研究と教育を行い、「専門的知識・見識を生かして美術(史)と人々を仲介する人材」の養成をめざしています。
学生は学部レベルで培った知識や関心を土台として、教授陣の細やかな指導のもとに、さらに自身の研究を深めることができ、同時に、専攻内の多様な研究活動に接して、広い視野を養うことができます。特に日本東洋美術史の領域では、自国におけるこの分野のエキスパートをめざす諸外国の留学生も学んでおり、国際性に富む環境となっています。

◆専攻の構成

本専攻は、博士前期課程と後期課程からなっています。前期課程では、美術史を学部レベルよりもさらに深く学びたいと希望する学生を広く受け入れており、学習院大学哲学科(美学・美術史系)からの進学者に加えて、他大学からの入学者や社会人としての経験を積んだ入学者もいます。前期課程の勉学の集大成として修士論文を書くことになりますが、特に優れた成果をあげれば、美術史学会などで発表をすることもあります。
前期課程を修了した段階で一般企業に就職する学生もおり、美術館など専門を生かせる場に職を得る学生もいますが、さらに高度な研究活動を志す少数の学生は博士後期課程に進み、諸学会での研究発表を重ねながら博士論文の作成をめざします。しかし、後期課程を中途退学して美術館学芸員となる、あるいは特に西洋美術史専攻の学生の場合、欧米の大学院に留学して博士論文を書く、など、関心に応じて多様な選択肢があります。