Answer
どんな進路があるの?
どんな仕事をするの?
- 弁護士、検察官、 裁判官だけではありません。
-
企業法務、研究者、教育者、官公庁など
幅広い分野で活躍できる人材を輩出しています。
Answer
Columnコラム
それまで、事業会社で人事系コンサルタントや財務・経理担当として働いた後、不動産業務を営む会社を設立、経営してきました。このような社会人経験を通じて、会社を経営する上でも、取引先との契約を交わす上でも、時に権利主張の根拠として、或いは活動を制限する理由として、法律に触れてきました。そのような経緯で、私が経営する会社が軌道に乗り、時間に余裕が出たときから、法律を一から体系的に学んでみたいという気持ちになり、その思いが蓄積されていったのです。そうして、どうせ法律を学ぶならば形に残したいと考え、法曹資格取得に挑むべく、40歳代になったことを契機に2017年の本学入学に繋がるのです。ご存知の通り、司法試験に合格後、1年間の司法修習期間を経て、二回試験に合格すると、法曹資格を得ることができます。司法修習後の進路としては、ほとんどの方が弁護士を選択します(令和2年度司法修習生の進路状況;終了者1,458人の内、裁判官73人、検察官72人、弁護士1,136人、その他177人)。弁護士になった方の多くは、法律事務所に勤務することになると思います。そこでは、渉外案件や企業法務、労働事件、IT関連事件、知財関連事件、離婚等の家事事件、刑事事件といった様々な事件を幅広く扱う事務所もありますし、専門分野に特化している事務所もあります。弁護士になる方が自らの志向と諸条件を加味し、勤務先の事務所を選択することとなります。法律事務所でのアソシエイト弁護士にならない弁護士も少なくなく、司法修習終了後、すぐに独立開業する弁護士も一定数いますし、最近では、企業内弁護士(所謂「インハウス」)も増えています。また、行政サービスの多様化に伴い、自治体が弁護士を採用するケースも増えています。以上が、弁護士としての活動として法律事務に携わるための主な進路先ですが、弁護士資格の価値は、単に業として法律事務を取り扱えるだけではありません。その社会的信用性の高さも、弁護士資格の持つ価値のひとつだと思います。
ある日、刑事事件の弁護人をしたときに知り合った、ある簡易宿泊所のオーナーの方からご連絡をいただきました。その簡易宿泊所で、共同洗面所等を土足で利用するなど、問題行動ばかりを起こす利用者の方がいて、宿泊費を支払っていただけないので退去してもらいたいとの相談でした。退去請求の訴訟を提起することは簡単ですが、その前に一度ご本人にお会いしようということになりました。その方にお会いしてみると20代前半で瘦せ型、一見、優しそうな青年に見えました。心療内科に通院しており幻覚妄想等に悩まされているというお話で、長時間の労働ができず、お金がないという事情を抱えているとのことでした。生活保護を受給しているとのことだったので、区の生活保護課の担当者の方にも連絡をとり、お話をして、この青年のこれまでの生活史やご親族には連絡が取れないことなどをお聞きしました。この青年には同情できるところは多々あるものの、生活保護費で滞納している宿泊費は支払ってもらったとしても、問題行動もあって簡易宿泊所としてはやはり退去してもらいたいとのこと。そこで、退去を請求されているこの青年から受任した上で青年の母親の住民票を取得してみると転居先が判明し、直接ご自宅に行ってみました。一度目はお会いできなかったのですが、お手紙を郵便受けに投函して数日待っていると、ご連絡を頂戴し区の生活保護課の担当者の方ご同席の上、母親にお会いすることができました。この母親も様々なご事情を抱えていて、この青年を扶養することはできないものの、母親のご実家が同居に応じてくださるとのことでした。経済的なことを相談すべく、区の担当者の方にもご協力いただきながら、ご実家のある市の生活保護課の担当者の方とお話をすると、市からの生活保護を受けながら、母親のご実家で生活できることになりました。そうして、この青年に当初の簡易宿泊所から退去してもらうこととなったのです。
このケースは、関係者間の連絡の間に弁護士が介入することで、お相手の警戒を解くとともに、能動的なご協力を促すことで、関係者の善意のもと、結果的に、当初ご相談をいただいた簡易宿泊所のオーナーが望む結論を、青年の安定した生活を奪うことなく、得ることができましたというものでした。すなわち、簡易宿泊所や青年の母親やご実家、区や市の生活保護課、心療内科病院等、関係者間を弁護士が繋ぐ上で、弁護士資格の持つ高い社会的信用性が有用性を発揮した例だと思います。
弁護士の中には、契約書レビューサービス等のIT技術を開発提供する会社や弁護士費用保険商品を開発提供する会社を設立、経営されている方もいらっしゃいます。私も、不動産業務を引続き行っていますが、相手方の不動産会社との交渉の際にも、金融機関との折衝の際にも、私が弁護士であることを言えば多少なりとの取引に前のめりになっていただけるようです。実際、ある地方信用金庫の担当者の方のお話では、融資を審査する際に弁護士であるということは与信に大きくプラスに働くとのことでした。
この弁護士資格が持つ高い社会的信用性は、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命」(弁護士法1条1項)とする職責を背景に、先人の先生方が誠実に職務を行ってこられたことの蓄積によって形成されたものだと思います。このような資格を持つことができれば、法律事務を取り扱う上ではもちろん、社会貢献活動を行う上でも、ビジネスを行う上でも、その可能性は大きく広がると思います。そして、今後は、弁護士資格を有する方々の活躍のフィールドは益々、多岐に亘っていくものと思います。既成概念に囚われないアイデアを持って社会にアプローチして自己実現を行っていく上で、弁護士資格は大きな武器になるものと思います。
Interviewインタビュー
大学進学の際に、法学部を選んだのは偶然でしかありません。特に法律を勉強しようと思っていた訳ではありませんし、大学3年生の秋までは体育会のサッカー部に所属し、サッカーの練習に明け暮れていました。期末試験前に一夜漬けを繰り返すような学生だったのです。しかし、刑法の授業を受けていた際に、故意という基本的な概念であるにもかかわらず、統一的な解釈が定まっておらず、高名な大学教授達の間で様々な学説が主張されていることに興味を抱きました。当時は、自分が使っていた基本書で説明されている内容に納得がいかない場合、別の基本書や文献を調査などせずに、好き勝手に自説を考えて、基本書の説明を論破した気になっていました。
4年生となった後、ゼミに所属するようになり、思い付きの根拠のない自説では周囲を説得することができないことに気付き、ゼミで知り合った新たな仲間と、いつの日か岡本説を通説にするんだというふざけた話をしながら勉強をしている間に、法律を解釈することについての奥深さと楽しさに目覚めてしまい、法科大学院への進学を決めることにしました。ですから、当初は研究者になりたいという気持ちも持っていました。
学習院大学法科大学院で出会った友人らと共に事務所を立上げ、共同代表弁護士として日々業務に励んでいます。徐々に事務所を拡大することができており、現在は8人の弁護士が所属する事務所となりました。1つの目標としていた10人の弁護士が所属する規模の事務所とするのに、あと一歩のところまできています。私達の事務所は、所謂「街弁」として、幅広い業務を取り扱っています。しかし、単なる「何でも屋」ではなく、一人一人が異なる専門分野を有するプロフェッショナルになれるように志しています。
私も、一般民事事件から労働事件や企業法務等、幅広い法律分野の案件に携わる中で、元々興味をもって勉強をしていた刑事事件については、弁護士になった当初から一つの専門分野として力を入れてきました。昨年(2023年)は裁判員裁判を3件担当させていただきましたし、少年事件や控訴・上告の事件も多く担当してきました。また、私は、アメリカ合衆国からの帰国子女でもありますので、英語力を活かして、外国籍の方が被疑者・被告人となる事件も多く担当しています。
1番は友人に恵まれたことです。弁護士は、人々の紛争に関与する仕事ですから、ストレスを感じる機会も数多くあります。活気のない職場で仕事をすると、ストレスを抱え込んでしまうことになりかねません。学習院で出会った気心の知れた10年来の友人と共に立上げ、一緒に働ける仲間を徐々に増やして作り上げた職場だからこそ、日々前向きに楽しく業務に励むことができていますし、心配事や不安は直ぐに共有することができています。他の友人も、職場は違えど、卒業して10年以上が経過した今でも、定期的に会って話していますし、変わらない関係性を築けています。同様に、先生方に恵まれたことも学習院で学んでよかったと心から感じていることです。
司法試験に合格するためには、学説同士の争いに時間を割いて勉強する必要はないといわれてきましたし、私も特に異論はありません。しかし、学説の争いに魅力を感じて法律を学び始めた私にとっては、遠回りではあっても、学説の対立点や対立が生じる経緯についてまで深堀りして学習できる環境でなければ、2年もの間、全力で学び続けることはできず、途中で勉強に飽きてしまったと思います。司法試験に直結しないような些細な問題点であっても、質問することができ、実際に正面から答えてくれる先生方の存在は、間違いなく学習院の魅力だと思います。
法律を学んで一番良かったのは、やはり現在弁護士として働けていることです。弁護士として事件に関与する場合、その解決のために、紛争の表面ではなく、その背景事情も聴取する必要があります。また、自分の考えを正確に理解してもらうために、依頼者の方も、普段であれば他人に話すのが躊躇われるような、自分の奥底にある本音を弁護士に話してくれます。限りある人生の中で、実際に接することのできる人の数は限られていますし、その中でも強固な信頼関係を築くことのできる人の数は、より一層限られていますから、本来であれば、そのような他人の本音に直接関与できる機会は多くないはずです。弁護士として働くことによって、多くの方々と深く交わることができます。
更に、多くの方にとって、弁護士を依頼するような紛争は、人生の分岐点にもなり得る一大事です。ですから、そのような紛争を無事に解決できた場合、弁護士としてはそこまで大変な仕事ではなかったとしても、直接感謝してもらうことができます。依頼者や依頼者の両親から涙ながらに頭を下げられ握手を求められるようなことは決して珍しい訳ではないのです。魅力のある弁護士としての仕事に就けたことは、最大の幸せだと感じています。
私は、法律を勉強した上で司法試験に合格でき、弁護士として働けていることに、大きな喜びを感じています。また、弁護士以外にも、検察官や裁判官だけでなく、企業の法務部として働かれている方や、立法に携わる仕事をしている方もいらっしゃいます。私自身は弁護士としてしか法律に携わることができていませんが、学習院法科大学院で学んだ内容は、様々な業務に活かすことが可能です。また、司法試験に合格することを目的に勉強に励む場合、客観的に最も効率的と思われる方法はあるのかもしれませんが、楽しみながら学ぶこと以上に、学んだ知識が身につきやすい方法はないように感じています。司法試験を意識しつつも、自分が最も楽しめる方法で勉強に励んでいただけるといいかなと思います。
また、数学等と異なり、法律の勉強は正解が一つに定めっていないものも多く存在しますし、勉強を始めたばかりの方々にとっては、司法試験を受験するまでの時間は短いようでもあり、長く感じられてしまうこともあると思います。1人で最後まで走り続けることは非常に困難です。できるだけ、一緒に議論のできる友人と共に、切磋琢磨しながら学習院での時間を過ごしていただけるといいかなと思います。
Interviewインタビュー
親族が弁護士をしており、幼い頃からその姿を見てきたことから、いつしかその方と同じような弁護士になりたい、と思うようになりました。それが法律を勉強したきっかけです。法律の勉強をしていくうちに、私は紛争解決や依頼人の保護というよりも、ビジネス社会に貢献しながら法律に携わる仕事がしたいと思うようになりました。その結果、現在は学んできた法律の知識を生かし、企業の法務部(コンプライアンスを含めた管理部門を兼務)で働いています。
現在は投資会社の法務部で働いています。日々の業務としては社内規程の整備や反社会的勢力審査やKYC(顧客確認)などの審査業務、そして秘密保持契約書をはじめとした契約書のチェックなどを行っています。また、毎年1回行われる株主総会での対応、そして3ヶ月に一度(いわゆる四半期報告)行われる決算書の数値確認を行った上で所属する団体へ報告する報告書の作成、金融庁への事業報告書の作成補助などの業務を担っています。
落ち着いた学生が多く、自然豊かなキャンパスがあるところです。また、先生方の質も高く、静かな環境で勉学に励むことができました。初等科から学習院にお世話になっておりますが、キャンパスや校舎のある駅で降りるといつも帰ってきた、という感覚になります。学生の数は多くはないですが、図書館の資料も豊富で、施設が充実しているところも魅力の一つです。法科大学院の入っている中央教育研究棟は建物が新しく、休憩室からみえる校舎の緑を眺めながら授業や法律について語り合ったことは今でも大切な思い出です。
人間社会の全てのルールは法律に基づいて決められていると言っても過言ではありません。法律を学ぶことで、ふとした瞬間にこれは法律ではどのような行為に該当し、どのような決まりがあっただろうか、と頭の中で考えられるようになり、世界が広がり、そうすることで自ずと思考や行動も変わってきます。会社でも社内規程という社内の「法律」に基づいて社員は忠実な行動を行うことが求められます。社会生活を営む上で法律は必要不可欠なんだと今改めて感じる毎日です。
法律は難しく、勉強を進めると大変なことも多いかもしれません。法律を学ぶということは覚悟のいることかもしれません。それでも、臆することなく勉強を続けてください。「自分に打ち勝つことが最も偉大な勝利である」というプラトンの言葉のように、自分の欲望に打ち勝ち、勉強を続けるうちに分かることが増え、視野や世界が広がります。皆様が法律を学び、そこから何かを得て、世界に羽ばたいていかれることを心から願っています。
Interviewインタビュー
総合商社の子会社で法務をやっています。具体的には、契約審査や下請法違反などにならないかの調査、株主総会の準備、投資案件のサポートなどを行っています。
能見先生や水野先生、岡先生など著名な教授から、民法や判例の深い理解や実務的な論点などのアカデミックな学修を通じて、どの法学ひいては仕事にも通底する(共通して生かすことできそうな)論理的思考力を養われる指導を受けれたことが良かったです。
ロジカルシンキングが社会人では常に要求されますので、その力の素地ができたことが良かったです。普段のメールの内容や上司への説明などでは、分かりやすく説得力のある話し方などが求められます。また、難しい問題があっても逃げずに、ロジカルに調査したり議論したりすることで、新たな理解や発見が得られます。そして、それらをうまく説明できると、達成感なども得られ、自身の成長を感じることもできます。加えて、普段から説得力や分かりやすさ、ロジカルであることを意識することにより、他部署の方の信頼も得られ、先方との取引を円滑に進めたり、当局から目を付けられたりしないように会社を守ることができるので、法律を学んでよかったと感じます。
Interviewインタビュー
一番最初のきっかけは、小さいころに観たドラマや映画への憧れだったと思います。本格的に勉強しようと思ったきっかけは、少々ネガティブな理由ですが、進学した経済学部の勉強が思ったよりも性に合わなかったので、昔の憧れを思い出して始めてみた、という感じです。
企業からの依頼が主ですが、今のところ私が担当している案件は訴訟案件が比較的多いです。もっとも、訴訟といっても色々あるので、それなりに仕事の幅は広いかなと思います。
少人数ゆえの先生方との距離の近さかと思います。例えば、偶然ですが、私を含めて学生と先生が2:2で行うことになった講義があり、毎週ざっくばらんに議論ができて非常に楽しい経験ができました。今でもその時の先生とは時々食事に行くくらい仲良くさせてもらっています。
単に法律が知れるだけでなく、論理的思考力が磨けるところです。物事を分析して論理的に考える技術を身に付けられることが、どんな場面でも役に立つ一番のメリットではないかと思います。
法律や法曹というものは、色んなメディアを通して誰でも薄っすらは知っている世界です。しかし、実際に学ぶのと、薄っすらと知った気になっているのとでは雲泥の差です。もしかしたら、今の世の中では、法律や法曹に対してネガティブな情報に触れることの方が多いかもしれませんが、興味があるなら一度飛び込んでみても良いんじゃないかなと思います。
Interviewインタビュー
大学は理学部で卒業後は就職せずにフリーターをしていましたが、友人が法律問題に巻き込まれたことをきっかけに弁護士になることを志しました。
法律事務所や総務省での勤務経験を経て、現在はLINEヤフー株式会社でCPGO(チーフプライバシーガバナンスオフィサー)としてLINEアプリやYahoo!検索など、身近なサービスについてのプライバシー関連の法律問題全般を見るとともに、パーソナルデータを適切に管理するためのガバナンス構築を推進しています。併せて、法律事務所にも所属して弁護士業務も行っています。
優秀な先生方から少人数で法学教育を受けることができたことです。実務では司法試験の科目以外の様々な法令を理解し、仕事を行うことになります。はじめて触れる法令や判例を理解し、解釈を行うための基礎は学習院で身に着けることができたと思います。
振り返ってみると仲間と共に学習院で勉強に集中できた時間はとても幸せだったと思います。頑張っただけ目標に近づきますので、楽しみながら一歩ずつ前に進んで行っていただければと思います。
Interviewインタビュー
弁護士になった後、社会福祉士の資格も取得し、社会福祉分野の業務に力を入れています。児童、障がい者、高齢者の虐待問題、生活困窮者を対象とした相談活動、福祉事業者支援等の活動を行っています。弁護士会はもちろんですが、社会福祉士会にも加入し、横のつながりを広げることでいろいろな方と巡り合うことができます。その中で話をさせていただき、社会福祉分野での活動を行うことが出来ています。
私がいた頃の学習院は、院生の人数と先生たちの人数がちょうどよく、顔を覚えてもらえる環境でした。授業中も頻繁に指名され、議論を行うことになるために、法律学の考え方が叩き込まれたと今、振り返ると思います。大規模校になると学習院のような雰囲気を経験できる機会が減るように思います。あえて、小規模校の学習院で学ぶことで、自ら考え、発信する機会が増え、司法試験、そして、合格後の司法修習、実務での盤石な土台をつくることが出来ると思います。
私は、大学院に入学するまでの間、法律学を学んだことがほとんどありませんでした。このような私でも、現在、実務家になることが出来ています。それには、大学院時代の条文、判例、学説の大切さを丁寧に教えていただける機会があったからだと思っています。初めは、難しいこともあると思いますが、考えたことを話してみてください。先生方、先輩方は、議論に乗ってくれると思います。そうしていたら、いつの間にか法律学の基礎力が身に付き、どんどん楽しくなると思います。諦めたらそこで終了です。自分を信じて、学び続ければ、道は拓けると思います。
Interviewインタビュー
中学生くらいの頃から、理不尽な目に遭っている身近な人の話を聞いたり、酷いニュースを目にしたりするたびに、「許せない!」という気持ちが強く湧き、「自分に力があればきっとなんとかしてみせる…」などと強気で考えてしまうタイプでした。大人になりいざ進路を決めるとき、自分のそんな性質に改めて気づき、弁護士なら思っていたことができるかも、と思うようになり、目指すようになりました。また、何かと中途半端だった自分にコンプレックスがあり、文系一難関と言われている試験に合格して自信を取り戻したいという思いも強くありました。
今は、弁護士数60名くらいの事務所の、大阪の支店で、一般民事、刑事、企業法務など幅広く様々な案件に携わっています。離婚事件、相続事件、交通事故、子どもをこちらに引き渡すよう求める事件、賃料を支払わない賃借人に対する明渡し請求、SNS での誹謗中傷に対する損害賠償請求、国選弁護、私選弁護、企業の契約書レビューなどなど、本当に様々です。まずは、とにかく幅広く色々な案件に触れ、ひととおりどんな事件でもこなせるような知識と技術を身に付けたいと思っています。ゆくゆくは、自分がより深く探求したい分野を見つけて、専門性を身に付けていきたいと思っています。
私にとって学習院ほど良い環境は他になかったと思います。一流の教授陣、どこまでも親切にサポートしてくれる学習院出身の先輩方、快適な自習室、緑いっぱいの敷地内、言うことなしでした。特に、卒業した先輩方からあんなにも手厚いサポートを受けられる制度があることは、数あるロースクールの中でも極めて珍しいと思います。教授陣の教えからは、各法律の根幹の理解を得、先輩方からは、司法試験に立ち向かうためのリアルな戦い方を伝授してもらえます。また、同じ道を通った先輩方は、勉強の過程ですり減り続けるメンタルの回復方法も心得ていらっしゃるので、その辺りの助言も得られます。学習院は、長く辛い勉強生活で道に迷った際も、コンパスを貸し舵取りを手伝ってくれる、そんな学校です。
とても心強い武器を得たと思えることです。法律は、基本的にはトラブルがなければ出番のないものではありますが、いざトラブルがあった際には、知っていれば助かり、知らないと損をしかねない、重要なものです。弁護士になってから、仕事上での相談者だけでなく、家族や友人からちょっとした法律相談を受けることも増えました。もともと理不尽な目に遭う人の助けになりたいと思っていた自分にとって、様々な相談に法律という心強い根拠をもって回答することができ、目の前の人に安心してもらえることを、とても喜ばしく感じています。勉強を始めたばかりの頃は、「法律を知っていたらなんか格好よくない?」という気持ちも大きかったですけれどね( 笑)。
法律を学ぶ、司法試験を目指す、それは素晴らしく有意義で、引き換えにものすごいエネルギーが必要な世界です。特に司法試験を目指すということは、生半可な覚悟では太刀打ちできるものではないと思っておいた方がよいでしょう。しかし、「絶対に合格するんだ!」という真の意思が芽生えているならば、迷わず扉を叩くべきです。正直、一部の天才を除けば、とても険しい道のりになることは間違いありません。ただ、時間をかけ、地道に続け、間違ってない勉強法を謙虚に模索し、プレッシャーに負けない体と心さえ作ることができれば、合格を掴むことは全く夢物語ではありません。辿る道は、合格したいという真の意思があれば、いくらでも修正できるし、たまに泣いて折れても、また何度でも戻ってくることができます。法律の世界は、頑張って掴んだ価値のある、とても面白い世界だと感じています。
Interviewインタビュー
学生の頃、友人が非行に走り、事件を起こしてしまいました。友人のしたことは悪いことですが、ニュースやネット上で、冷たい言葉で袋叩きに遭っている様をみて、自分は人を批判するより支える側に立ちたいと思いました。私は、その友人が、普段から、困っている人に積極的に声をかける良い面があることも知っていました。人は間違える生き物であり、きちんと謝罪をしてからやり直すチャンスがあってよいのではないか。その方が結果的には社会のためになるのではないか。その助けになりたいと思ったのがきっかけです。
私は、千葉県内で最も電車の乗降客数が多い西船橋という街で、いわゆる「街弁」として様々なジャンルのご相談を受けています。中でも刑事事件が好きなので、常に刑事事件に取り組んでいます。逮捕されている方のところへ接見に行き、お話を伺って今後の処分見込みを立て、釈放のため意見書を作成したり、示談対応をしたりします。裁判となった場合は、証拠提出、被告人質問や証人尋問の準備をします。
他にも、司法試験を受験した際は仕事にすることを想定していなかった分野でも、事務所に相談にいらっしゃる方がいれば調べて対応していく必要があるので、いつの間にかその分野に詳しくなっていることがあります。例えば、私は、高齢化に伴い問題視されている介護施設内での事故についての相談・依頼にも注力しています。
学生間の仲が良い点が、合格後に他のロースクール事情を聞いてとてもありがたいことだったのだといまは実感しています。学習院は人柄の良い方が多いので、皆で仲良く過ごすことができ、心を乱されずに勉強に集中できました。私は数人でゼミを組み、自分の考えを伝えたり、友人の意見を聞いたりする中で、自分が実はここをわかっていなかったのだと何度も気づかされました。
法律は話して学ぶものだよとかつての恩師に言われたことがあります。話せる仲間がいることはとても大切なことだと思います。学習院の授業はソクラテスメソッドで、自分の考えを伝える機会を沢山与えていただいたので、知識→脳内整理→具体的事実へのあてはめ→言語化という、司法試験の答案作成に直結する能力を身に着けることができました。
やはり、資格を持つ強みがあると思います。現在事務所を立ち上げて、経営面も考えるようになりました。私は経営素人なので、例えばもし飲食店を開いていたら、今頃は他のもっと強い企業にお客さんをとられ、あるいは見向きもされずに潰れていたと思います。弁護士は、誰もができる仕事ではない参入障壁があるからこそ、合格後は伸び伸びと仕事をすることができます。他の事務所の弁護士同士や、検察官、裁判官でも、同じ法曹として仲間意識があるので、勉強会を開いて切磋琢磨しあうという慣習があります。また、もちろん仕事のやりがいがあります。
司法試験に合格した日の空はいつにも増して青いという言葉を聞いたことがあります。私は、合格日はもちろん、その後初めて無罪をとった日の空はさらに澄み渡る青色に感じました。別件で、争った末に実刑となってしまった方の件についても、その後刑務所で励んでいる旨のお手紙をもらうと、自分も少しはこの方の更生に役立てたのかもしれないと感じることがあります。
まずは合格する必要があります。私なりの勉強法は、学んだことのアウトプットとして、友人と議論をすることでした。友人がそばにいないときは、頭の中に小学3年生の弟がいると思い浮かべて、その弟から、なんでこうなるの?なぜこんなルールなの?と常に訊かれることをイメージしながら、それにわかりやすく答えられるかを試していました。こんなことを繰り返しながら、それがいつか依頼者へわかりやすく答える土台を作ってくれます。将来の理想の自分をイメージしながら、頑張ってください!
「裁判における弁護士の役割(
仮題)」「刑事裁判と弁護士(
仮題)」
無罪推定の原則があるといえども、起訴されただけで、被告人(依頼者)は、裁判の日まで居ても立ってもいられない日々を過ごします。無罪を目指す事件はもちろん、犯罪事実を認めて刑の執行猶予を狙う事件でも、やはり被告人は何をしたらいいのか全くわからないので、弁護人に頼るほかありません。
弁護人が何もしなければ、法律の素人である被告人を相手に、検察官が一方的に糾弾し、裁判は検察官のペースで進んでいきます。裁判官も、検察官の提出する証拠をうんうんと聞きながら、心証を固めていきます。そこに、ちょっと待ったをかける存在が弁護士だと思います。検察官が把握していない証拠を収集したり、証拠から見える事実の(検察官とは)異なる見方・視点を裁判官に提供したりする役割があります。認め事件でも、更生を期待できる事情を作ったりし(時には被告人を生まれ変わらせ)、検察と弁護人両者の意見を闘わせることで、より「真実」に近づきあるべき刑が定まるのだと思います。証拠と向き合うこと、被告人ととことん向き合うことが、この仕事の大変なところであり、醍醐味だと感じます。
Interviewインタビュー
子供の頃から、人の役に立ちたいという漠然とした思いがありました。ドラマやゲームで法曹が活躍する姿を見て、法曹に憧れを抱いたのがきっかけだと思います。長い人生、どうせ働くのなら、専門性を活かして、社会貢献できる職業に就きたいと思って、思い切って法曹を目指すことにしました。
今は、司法修習生として、法律実務に関する知識や技法について学んでいます。交互面接方式での和解協議や離婚調停のすべてを拝見できるのは司法修習生でないとできない貴重な経験だと感じています。また、法律相談にも同席させていただき、様々な案件を見せていただいています。
少人数なので、先生方が一人一人の生徒に目をかけてくださるのがとても良かったです。残念ながら、私は出来のいい生徒ではなかったのですが、先生方が見捨てることなく、熱心に指導してくださったのは、とても心の支えになりました。
法律と聞くと取っつきにくいイメージがあるかもしれませんが、私たちが生活する中で発生する様々なトラブルを未然に防ぎ、また解決する役割を果たしています。司法修習生として様々な事件を見せていただく中で、法律というものが想像している以上に私たちの生活にとって大きい役割を果たしていると実感し、法律を学んで良かったと思っています。
司法試験に向けた勉強から得られる知識や、その過程で得られる経験は、皆さんにとって必ず有益なものになるはずです。また、司法試験という目標に向かって一緒に勉強する仲間はかけがえのないものです。苦しい時もあるかと思いますが、仲間と共有しながら全力で頑張って欲しいと思います。
Interviewインタビュー
法律を勉強しようと思ったきっかけは、東日本大震災でした。当時小学生であった私は、財産等を失った被災者を支援する弁護士の姿に憧れを持ち、弁護士になりたいと思い、法律を勉強しようと思ったのでした。法律を本格的に勉強する前は、すべての物事は法律さえあれば解決できると信じていました。しかし、実際に法律を勉強してみて、むしろ法律は穴だらけであり、その穴をどう埋めて問題を解決するべきかを考えていくことが法律家の役割ではないかと思うに至るようになりました。
現在は、司法修習生として法曹三者の職務を研修中の身分です。日本の制度として、志望にかかわらず法曹三者すべての業務を研修できるのは非常に貴重なことであると感じております。各修習中に立ち入る場所の中には、修習期間が終了後の進路によってはもう二度と立ち入ることのできないと感じる場所もあり、非常に有意義に時間を過ごしています。私自身、志望はまだ決めかねていますが、すべての立場からの考え方を学べることは、将来法曹三者いずれの職に就いたとしても糧になると思います。
法試験の勉強において重要なことは、疑問点を適時に解消することであると思います。翌日以降に持ち越した場合、私の経験上疑問点が解消されることはほとんどありませんでした。学習院大学法科大学院は、少人数制を利点として挙げています。より具体的には、授業が少人数で行われるため、疑問点が生じた場合にはその場ですぐに教授に質問することができ、その授業の中で疑問点を解消することができます。そのため、疑問点を適時に解消することができる環境が学習院にはあり、この点が学習院で学んでよかったと思う最大のポイントです。また、授業では担当の教授が執筆された基本書を用いることが多々あるため、「当該基本書の文言のここが分からない」などを著者である教授に聞けることもよいポイントであると感じます。
最後に、設備の点では、一人に対して一つ十分な大きさのロッカーが貸与されることがよかったポイントであると思います。司法試験の勉強には膨大な量の書籍が必要ですが、これらを毎日家に持って帰る必要がなかったのは大きなメリットでした。
法律を学んでよかったと思うことは、法的知識や考え方を身に着けることで自分や家族などの大切な人を守ることにもつながることです。法律を勉強し始めた当時私は、この勉強は専ら将来依頼者等の利益を守るための武器を身に着けるためであると考えていました。もちろん、この考えは正解です。しかし、これと同時に、自分や家族が法的なトラブルに遭った際の対処や、法的なトラブルを未然に防ぐための武器を身に着けられる(まだまだ発展途上ではございますが…)ことにも繋がると考えるようになりました。トラブルだけではなく、私たちは、日常的な取引や親族・相続関係など、法的知識が必要な事項に囲まれて生活をしています。家族から頼りにされ、家族にとって「身近なよき相談相手」になれることもまた法律を学んでよかったと思う部分です。
今にして思えば、このことは当然のことであるとは思いますが、これこそが、私が法律を学んでよかったと今一番に思うことです。
法学を学ぶことは、とても楽しいことです。知識が身につくことはもちろんですが、日々の生活で物事の見方が変わり、常に問題意識をもって行動できるようになるため、人生が豊かなものになったと感じております。とはいえ、法科大学院に入学して司法試験を目指すということは、膨大な時間と労力を勉強のためにささげることになることを意味します。そのため、生半可な気持ちで入学することは非常に危険であり、司法試験を受験するためには、日々の受験勉強はもちろんのこと授業の予復習に全力で取り組むなど、相応の覚悟が必要であると受験生時代には痛感しました。しかし、司法試験に合格して実務をさらに勉強することができている今、司法試験に合格した喜びとともに、心から法学を学んでよかったと思っています。特に、今後も法実務に法律の専門家として携わり、司法の助けが必要な人々の力になっていくことができることが何よりも嬉しいと感じております。そのため、司法試験を目指し、法科大学院に通いたいと思う受験生がいるならば、なぜ目指したいのかを熟考し、一度決めたのであれば全力で立ち向かってほしいと思います。
学習院大学法科大学院は受験環境に優れている学校です。その利点を最大限に活用し、一人でも多くの学習院大学法科大学院出身の受験生が合格されることを心よりお祈り申し上げます。