老虎灘






 老虎灘は大連市街の南方にある海水浴場で、路面電車を利用すれば市内中心部から30分ほどでアクセス可能であった。西方の海中に突き出た岩礁が、あたかも虎がうずくまっているかのように見えるため老虎灘と呼ばれたという。別荘も多く建てられ、賑やかな景勝地であった。千勝館、扇屋、嘯月などの旗亭が設けられていた。大連のもう一つの有名な海水浴スポットに星ヶ浦(dairen_geore_013など)があるが、両者の趣きの相違について田山花袋は『滿鮮の行樂』(大阪屋号書店, 1924)で「老虎灘は星ヶ浦に比べて全く感じが違っていた。こうも違うかと思われるほどだった。一つは砂浜であり、ひとつは徙崖しがいである。ひとつは明るく、ひとつは暗い。ひとつは晴れやかに、ひとつはわびしい。『成る程、これは好き好きだな?何方が好いとも言えないな』私もこう言わずにはいられなかった。それは運動会とか園遊会とかには星ヶ浦の方が好いだろう。しかし、舟を浮かべたり魚を釣ったりする興味は、向こうよりもぐっと此方の方が好いだろう。女と遊ぶにも前者は大勢を伴れて行くのに好く、後者は一人を撰んで恋の悶えをささやくのに適している。単に海としても、星ヶ浦の海と此処の海とが同じであるとは何うしても思えないくらいである。」と説明している。





dairen_geore_039:大連老虎灘ノ勝景


老虎灘の風光。

古絵はがき(表)

古絵はがき(裏)