学習院大学 法学部 | 法学科|政治学科

法学科Department of Law

ゼミレポート

商法演習小塚 荘一郎 教授

 コロナ禍は日本の企業にとっても、テレワークへの対応や経済不振、消費者の行動変化など、大きな試練となりました。そうした中「ポストコロナ」の時代にどう対応していくか、いろいろな模索が始まっています。
 商法演習では、こうしたその時々の社会の状況を鑑みながら、コーポレートガバナンスについて学んでいきます。文献資料や上場会社が公開している資料、株主総会の議案などを通じ、皆で検討・検証を行います。

日本の経済を肌で感じて、大人になる

本物の株主総会議案

 商法演習では、企業の経済活動(ビジネス)にかかわる商法、会社法といった法律を勉強します。その際には、「作り物」ではなくナマの資料を扱うということを大切にしています。毎年、必ず取り上げるのは株主総会の議案で、6月ごろ、現実の世界でも多くの会社が株主総会を開催する時期に、インターネット上で公開されている招集通知を読み、自分たちが株主や投資家だったとしたら、賛成するか、反対するかということを考えています。そのほかに、上場会社が証券取引所に提出する「コーポレートガバナンス報告書」を読んで比較したり、日本の上場会社の取締役の中に女性や外国人がどれぐらい任用されているかを調べたこともあります。
 学生時代には、経済活動といっても、アルバイトや就職活動の実感しかない人が大半でしょう。ところが、大学を卒業すると、翌日から「コーポレートガバナンス」や「ESG(環境、社会問題、ガバナンス)経営」といった言葉が当たり前に飛び交う大人の社会に放り込まれます。商法演習が、学生から大人になっていくための準備の場になってほしいものです。

検索OKの「アクティブ・ラーニング」

 授業では、同じ素材を2週間かけて勉強することがあります。これは、「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる仕組みをアレンジして取り入れたものです。具体的には、1回目に、全員が教室内で資料を読み、小グループごとに論点と考え方をまとめます。授業中ですが、スマートフォンやパソコンから検索をしても問題はありません。大人の世界ではどのような情報を参照することも自由です。むしろ、一人ひとりが検索をして、違う情報を見つけてくれば、議論はその分だけ活発になります。
 2回目は、担当者を決めて掘り下げた報告をしてもらいます。時間をかけて準備すること、ほかの参加者にわかりやすく発表(プレゼンテーション)することは、大切な経験です。調べてきた学生は一生懸命でも、聞いている方は、どこか他人事のようで意見も感想も湧かないということがありますが、同じ素材を1回目は「浅くとも全員で」、2回目は「担当者が深く」と2週間にわたって取り上げると、2回目に発表を聞くときも、1週間前にグループごとで議論をした記憶が残っていて、理解が深まっていきます。

つながることと楽しむこと

 学生どうしもOB・OGとも、LINEで緩くつながっています。また、新しい学年の皆さんが演習を選択する時期には、インスタグラムのアカウントを通じて、商法演習の内容や参加メンバーの紹介などを発信します。2020年と2021年は授業にZoomを使い、教室と自宅からの受講を選択できるようにしました。就職活動中でも、時間が少しでもあればZoom接続できるといったメリットもあるのですが、「ほとんど会ったことのない同期」が何人もいるという現実もあります。半年に一度は弁護士事務所や企業を訪問し、ゼミ合宿にも毎年行っていた日常が戻ってきてほしいものです。一生に一度しかない学生時代ですから。

この演習に参加した理由は?

 僕の実家は自営で、文房具業を営んでいます。小さなころから祖父母や両親が働く姿を近くで見てきました。もちろん個人商店ですので株主総会などがあるわけではありませんが、一事業主の家族として、経営学的な視点からコーポレートガバナンスについて知りたいと思い、小塚先生のゼミを履修しました。
 講義の中の「株主が企業を見る視点は就職活動にも共通する」という小塚先生の言葉がとても印象に残っています。株主はその会社の過去、現在、未来を見ており、就職活動の面接官も、僕たちが今までどんなことをしてきて、今何をがんばっていて、将来何がしたいのか、ということを見ているとおっしゃっていました。株主の視点を学ぶことは、僕たちがこれから何かを選択したり判断したりするときの視点を学ぶことにもつながっているのではないかと感じました。

この演習のオススメはここ!

 最近ではコロナに関連した事象について学ぶなど、時代に合った学びをすることができます。コロナ対策においても絶対的な正解は無いと思いますが、正解の無い中でどう解決策を見出していくかを考えることがとてもおもしろいです。

先生に一言!

 僕は1・2年生のときには小塚先生の授業を履修したことが無かったのですが、ホームルームで先生の人柄に触れ、この先生の元で勉強したいと強く感じました。ちなみに小塚先生の著書、『AIの時代と法』(岩波新書)はとてもわかりやすくて高校生の皆さんにもオススメです!

法学科3年(2021年10月現在)
森 一平Ippei Mori