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鈴木 健一(SUZUKI, Ken'ichi) 教授■略歴1960年4月、東京生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院博士課程単位取得退学。博士(文学)東京大学助手、茨城大学助教授、日本女子大学教授を経て、2004年4月から学習院大学文学部教授。 ■専門分野 江戸時代(近世)の文学、詩歌史(特に和歌と漢詩)、学問史、古典の享受史、文学と絵画、名所論、和漢比較文学など。 |
[担当授業(2023年度
)] |
日本文学史概説U:江戸時代の文学と動物 |
[主要著書] | 著書 『近世文学史論』(岩波書店、2023) 『佐佐木信綱 本文の構築』(岩波書店、2021) 『不忍池ものがたり 江戸から東京へ』(岩波書店、2018) 『天皇と和歌 国見と儀礼の一五〇〇年』(講談社選書メチエ、2017) 『江戸諸國四十七景 名所絵を歩く』(講談社選書メチエ、2016) 『古典注釈入門 歴史と技法』 (岩波現代全書、2014) 『日本漢詩への招待』(東京堂出版、2013) 『林羅山―書を読みて未だ倦まず』(ミネルヴァ書房、2012) 『江戸古典学の論』(汲古書院、2011) 『風流江戸の蕎麦―食う、描く、詠む』(中公新書、2010) 『古典詩歌入門』(岩波書店、2007) 『知ってる古文の知らない魅力』(講談社現代新書、2006) 『江戸詩歌史の構想』(岩波書店、2004) 『伊勢物語の江戸― 古典イメージの受容と創造』(森話社、2001) 『近世堂上歌壇の研究』(汲古書院、1996) 『林羅山年譜稿』(ぺりかん社、1999) 『江戸詩歌の空間』(森話社、1998) 編著 『東海道五十三次をよむ』(三弥井書店、2020) 『浸透する教養―江戸の出版文化という回路』(勉誠出版、2013) 『鳥獣虫魚の文学史』全四巻(三弥井書店、2011〜2012) 『江戸の「知」―近世注釈の世界』(森話社、2010) 『和歌をひらく』全五巻(共編、岩波書店、2005〜2006)など |
[所属学会] | 日本近世文学会、和歌文学会、和漢比較文学会、東方学会、日本文学協会など。 |
■研究分野興味を持っている研究テーマは、@近世(江戸時代)の文学、A詩歌の歴史(特に和歌と漢詩)、B学問史、古典の享受史、C文学と絵画、D名所論、E和漢比較文学などです。20代から30代の前半には、江戸時代の宮廷歌壇、とりわけ後水尾天皇の和歌サロンについての論文を主として書いてきました。天皇という政治体制も和歌という文学ジャンルも劣勢に立ちつつあったこの時代に、宮廷歌壇がなにを目的として、どのような活動を行ったのかをあれこれと考えてみたのです。30代には関心が広がり、詩歌のありかたを絵画(もしくは空間性)との関係から捉え直そうとしたり、古典享受のありかたをなるべく長い射程距離によって描き出そうとしたりしました。もちろん、後水尾天皇の研究も続けていますし、同時代の漢学者林羅山についても考えています。後水尾天皇や林羅山は江戸時代のはじまりにあって、総合性・実証性・啓蒙性といったこの時代の特質を粗削りながらよく備えており、そんな彼らの知的な探求心に少しでも多くのことを学びたいと思っています。目下の最大の関心事は、文学史をなるべく大胆に躍動的に把握したいということです。■私の授業演習では、江戸時代の詩歌を取り上げています。2020年度は「動物を詠んだ俳諧」、2021年度は「江戸の怪異幻想―動物編」がテーマです。講義では、怪異幻想、詩歌表現、名所、動物などさまざまなテーマを、本文をきちんと読みつつ、なるべく自由に扱っていきます。文学史では、詩歌や小説を丁寧に読んでいきたいと思っています。一首(一句)の詩歌や小説の一話の背後にも、ことばと美意識、話型の厚い歴史があって、それらを理解しながら詩歌や小説を読み解いていくのはとても楽しい作業です。多くの学生さんにそのことを知ってもらえればと願っています。そして、解釈していくなかでも微妙な部分では個人の好みが働いて、同じ作業をしても答が全員一致するとはかぎりません。それらをみんなと話し合うことで、自分の感じ方が相対化され、だからこそ自分のありかたも見えてきます。 江戸時代の文学は詩歌・小説・演劇といった多様な分野が有機的に関わり合って成り立っています。その中からみなさんが自分の好きなものを見つけて、熱中する。それが大事だと思います。この時代の文学には、おしゃれで知的好奇心いっぱいの作品がたくさん揃っています。それを面白いと思って、私はずっとこの時代の文学を研究しています。みなさんも一緒に勉強してみませんか。 |