スタッフ紹介

中嶋 真也(NAKAJIMA, Shinya) 教授
中嶋 真也(NAKAJIMA, Shinya) 教授
■略歴
千葉県生まれ。駒澤大学文学部教授を経て、2024年、学習院大学文学部日本語日本文学科に着任。

■専門分野
上代文学
[担当授業(2024年度)]
神話学講義T:『古事記』「神代」を読む  
神話学講義U:日本神話と土地  
日本文学講義U:『万葉集』巻第一・二を読む  
日本文学演習:『古事記』『日本書紀』を読む   
日本文学演習(院):『万葉集』巻第十九を読む  
[主要著書・論文] 『コレクション日本歌人選 大伴旅人』(笠間書院 2012年8月)
『大学生のための文学トレーニング 古典編』(共著 三省堂 2013年10月)
「古代文学の葛城」『駒澤國文』57(2020年2月)
■研究分野
 上代文学を主な研究対象としています。日本現存最古の歌集『万葉集』の読解を中心に、そこで用いられていることば、詠作の背景など状況を把握するために、『古事記』、『日本書紀』、『続日本紀』といった散文も読み進めています。また、歌の表現はどのように、後代につながるのか、またつながらないのか、という観点から、『古今和歌集』など平安時代以降の和歌の分析も重視しています。また、日本の上代文学作品は、仮名成立以前の成立であり、漢字のみで書かれています。漢字のみということで、漢文体の場合もあれば、日本語文を志向している場合もあります。その漢字をどう訓むのかということは、平安時代から課題となっており、院政期の歌学や近世の国学といった他の時代の作品も研究対象とすることがあります。そして、『万葉集』の研究は、近代以降、伝本の整理がなされていくことと相まって飛躍的に進展しました。その研究史を辿ることも、大きな意味を持ちます。 上代文学を読み解くことは、中古、中世、近世、近代と日本文学史を縦断するテーマともなるのです。  『万葉集』は読めば読むほど、深刻な内容ばかりではないことに気付かされます。古代の日常、男女のかけひき、上司と部下との関係、プチインテリ自慢などなど、現代の私達にも共感できそうな場面が浮かび上がってくることが多いのです。単なる教材ではなく、七面倒くさい教訓書でもなく、古代のエンタメとして、『万葉集』を楽しむ余裕も持ち合わせていきたいと思っています。
■私の授業
 演習形式のものは、学生の発表がしっかりしたものでないと、充実した演習にはなりません。そのための情報提供を丁寧に行うことをまずは心がけています。コロナ禍を経て、データベースの使用が以前より身近になりました。図書館などで資料を探し当てることも大切にしながら、古代文学の研究に、データベースなどweb上に存在する情報をどのように利用できるのか注視しています。また、発表、質疑応答といった授業内のやりとりがまずは極めて大事ですが、毎回課す授業後課題も重視しています。発表や質疑応答の過程で生じた問題の解明を目指すわけですが、時間をかけて調べたり考察しておきたい案件が少なくありません。発表者だけでなく参加者が皆、同じ意識で同じ内容を調べて、まとめていきます。翌週の授業にてフィードバックします。最初は初心者であった作品も、1年間の演習を通じて、高い水準で自ら問題設定をしながら読み解けるようになるのを理想としています。  講義形式のものは、受講生が受け身の姿勢で時間がただただ流れるのではなく、自ら考える場を多く設定していきたいと思っています。背景となる知識を確認しつつ、作品を精読していきます。文法や単語など大学入学までに学んだ知識でどこまで読めるのかを前提にしています。そのうえで必要に応じて新たな知識を共有していきます。また、『万葉集』をはじめとした古典作品は注釈書も充実しています。ただし、作品を虚心坦懐に読んで見ると、その注釈書の記述もすべては正しいのか疑問に至ることは少なくありません。最終的には受講生自らが素直な気持ちで正確に古典作品を読み解ける能力を持てることを理想としています。 どのような形態の授業であれ、丁寧に読み解くことを心がけ、受講生とともに古代を身近に感じられるようにしていきたいと思っています。

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