学習院大学の就職力
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18 「学習院大生には、おとなしい学生が多く、どうも面接が苦手……」、そんな評判を耳にした当時の就職部長と卒業生が、後輩のために一肌脱いでほしいと仲間に声をかけてはじまったメンタイ。当初は人事部に勤務する卒業生が集まってごく小規模にはじまったものだったが、その輪はどんどん他の卒業生にも広がっていき、さらに、 その評判は口コミで学内に広がり参加する学生が急増、今や就職を希望する学生の90%以上が参加するプログラムへと拡大していった。 メンタイに参加している卒業生は、直近の卒業生から50〜60歳代まで幅広い。後輩への面接指導は、卒業生にとっても、自分のキャリアを振り返るきっかけになったり、会社で部下を指導する際に生かされたりと、得るものも大きいようだ。メンタイは学生も卒業生もお互いが成長できる場となっている。 規模が大きくなるに従って、メンタイに関わるメンバーが共通認識を持って学生指導に当たれるよう、その理念をまとめた「面接対策セミナー講師心得」を作成。学生が「自分らしさ」を見つけることをサポートしよう、働きたい企業をよく調べ、足を使って情報収集することの大切さを教えよう、組織内で「人が敬遠することを率先してやろう」という積極的な気持ちを身につけさせよう、といった指導におけるチェックポイントが明記されている。 メンタイに関わるOB・OG講師たちは全員これを携え、そこに記されている理念に基づいて後輩指導に当たっている。 次ページからは、メンタイのスタート時から関わっているメンバーから、最近になって加わった若手メンバーまで幅広い講師陣にメンタイの進化について語っていただいた。先輩から受けた恩を後輩に伝える メンタイを通して卒業生から指導を受け、その伝統を後輩に伝えていくことが使命だと感じている学生も少なくない。4年生がサポーターとして後輩指導に加わり、その後、講師、リーダー講師と成長していくステップも構築されている。同窓会組織「桜友会」が人員確保と人材育成を担う OB・OG講師の人員確保や人材育成、指導方法の統一化などを、同窓会組織である「桜友会」が組織的に行っている。 メンタイ(面接対策セミナー)在学生キャリアセンター卒業生卒業生の母校愛と23年の伝統が織りなす究極の就職支援プログラム「メンタイ」 他大学にはまねできない学習院大学の就職力の核となる面接対策セミナー。23年の間にさまざまな試行錯誤と工夫が重ねられ、今日のメンタイへと進化していった。 メンタイ講師の理念を表した「講師心得」 テクニックを学ぶ場ではなく、社会人とは何かを考えさせる場 メンタイは、就職支援プログラムのひとつに位置づけられているが、単に面接のハウツーを学ぶのではなく、講師自らが生き様を語り、「社会人とは何か」「働くとはどういうことか」を考えさせることに狙いがある。
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