学習院大学の就職力
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52そして自分の考えをまとめるといった授業が全14回。そこには「自分を知る」「他者を知る」「社会を知る」「仕事を知る」という4段階が設けられ、キャリア・デザインの考え方を体系的に学ぶ。 秋場教授は、違う学科・学年の学生となるべく多くコミュニケーションをとるように指導している。それによって、より異質な発見があるという。授業内容1ガイダンス「キャリア・デザインとは何か」主体的な人生を送るために 2なぜ今、キャリア・デザインなのか 企業・社会の変化3キャリア・デザインにとって必要な自己理解(1)自己理解とは4キャリア・デザインにとって必要な自己理解(2)他者との関係を通じて自分を知る5キャリア・デザインにとって必要な自己理解(3)目標に向かって進むための自己理解6キャリア・デザインにとって必要な能力開発(1)社会人基礎力7キャリア・デザインにとって必要な能力開発(2)コミュニケーション能力8キャリア・デザインにとって必要な能力開発(3) リーダーシップ、ストレス耐性9モチベーション 充実した人生を送るために10仕事の場を考える(1)職業理解 私の輝きの条件11仕事の場を考える(2)職業興味検査12仕事の場を考える(3)ストーリー性のある仕事選び 13中長期のキャリア・プラン ライフ・キャリア・デザイン14総括「キャリアをデザインするということ」夢の目標化15自主研究 「キャリア・デザイン」講義全14回の概要「どう生きたいかは人それぞれですから、正解も一般論もありません。参加型の授業ですから、学生の意見すべてが教材です。時に予想もつかない方向へ転がることもあり、進め方は毎回違います」充実した大学生活を送ってほしい 何をやりたいかがはっきりすると、何をすべきかがわかるようになる。たとえば、商社を志望する学生なら英語を頑張ってみようという目標ができ、勉強のモチベーションも上がる。自己理解を深めると少しずつ学生に変化が表れるのだという。 異なる学科・学年の人とも自然と話すようになり、触発されてサークルに入ってみよう、アルバイトをはじめてみようと、新たな行動を起こす学生も少なくない。「大きなことではないかもしれませんが、大学生活を充実させるために、苦手なことでも半歩踏み出してやってみませんかというのも、この授業のテーマ。授業参加をきっかけに日常を充実させられるようになれば大変うれしいですね」 大学生活の充実化こそ、秋場教授がこの授業で一番伝えたいメッセージだ。行動を起こせば成功や失敗をたくさん経験するようになり、結果的に面接で話せるエピソードも豊富学生一人ひとりにマイクを向けて意見を引き出す参加型の授業になるというわけだ。親を説得できるくらいの力をつけて キャリア・デザインを考える上では、親との関わりも重要と話す秋場教授。「親の意見をしっかり聞くようにとよく指導します。世の中は他者との共生で成り立っていますから、どういう生き方がしっくりするのかがわかっても、それを自分の中だけで完結させていたらダメです。親に説明できないようなら、面接でも説明できないでしょう」 違う意見にも耳を傾け、自分の意見を大切にしながら、互いにいかに歩み寄るかという力をつけるために、書いてみる、話してみる、聞いてみる、という練習が繰り返し行われている。「親御さんには、ご自身のいわゆる内的キャリアの話をお子さんにしてあげてほしいです。自分はなぜその仕事をしているのか、その趣味をなぜ続けているのか、などです」 さらに、学生が多様な価値観が許される時代に生きているということを保護者が理解し、共有することが大切と訴える。「仕事はつらいというイメージが強いかもしれないけれど、実はめちゃくちゃ楽しいということを授業で伝えたいですね」 ライフキャリアについて考え、イメージを持っておくことが、結果的にエントリーシートや面接の時に生きてくる。3年次からの本格的な就活がはじまる前に、しっかりとした下地づくりをしていることが学習院大学の就職力を支えているのだろう。
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