学習院大学の就職力
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60 経済学部では、15年前から日商簿記検定を学内で受けられる授業を導入。手堅い就職実績につながっている。公認会計士や税理士といった資格取得の支援も手厚く、多くの学生の支えとなっている。時代に左右されない実力を養う教育方針「本学の経済学部の学生に関しては、景気が悪くなったからといって就職が厳しくなったという実感はありません。これも長年にわたり、時代の変化に惑わされない強みを持てるよう指導しているからでしょう」 そう力強く語るのは経済学部経営学科の勝尾裕子教授。 この成果を支える教育の一つが、日本商工会議所簿記検定2級、3級を学内で取得できる専門応用科目「経営学特殊講義(簿記入門Ⅰ・Ⅱ)」である。近年、こうした取り組みに動き出す大学が増えているが、学習院大学では15年前から導入しているというから、その先見性は群を抜いている。 授業内容は、専門学校と同等のボリューム。簿記検定といえば、数ある会計系資格取得の導入といえる資格で、国税専門官、税理士、公認会計士などをめざす学生が、まず最初に取得することが多い。それだけに、必修科目でないにもかかわらず、開講以来、経済学部のほぼ全員の学生が受講する人気講義だという。「簿記の資格を持っていること自体が就職活動で有利に働く側面もありますが、簿記のような実学を身につけることで、貸借対照表や損益計算書などの企業の会計報告からその経営状況を把握できるようになります。これは、公務員、民間企業を問わず、社会に出てから必要とされる技能といえます。そういった側面から考えて、経済や経営を学ぶ学生の基礎力を養うものといっていいでしょう」女性が一生働くための強い武器となる資格 会計系資格は、どちらかというと女性に人気だという。出産や子育てを機に仕事から離れても、資格を持っていることで、復職しやすいという強みがあるからだ。「保護者世代が若い頃は、一度家庭に入った女性が社会復帰するのは、かなりの無理を伴いましたが、今はそれほど難しいことではなくなっています。資格があればなおさらです」 実際、公認会計士の資格を持つと、出産、子育てといったブランク勝尾ゼミでは、いつも活発に意見が交わされる。一番奥が勝尾裕子教授資格を生かしたライフプランづくりを支援就職に有利な会計系資格
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