学習院大学の就職力
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63 これだけ整った資料環境があることは、学内外を問わず広く認知されており、「学芸員をめざすなら学習院大学」とオープンキャンパスを訪れる高校生や、学芸員をめざして入学してくる学生も少なくない。博物館の実務と最新情報を現場の学芸員に学ぶ 学芸員課程を運営するのは、学芸員経験者を含む学内の教職員で構成される学芸員課程委員会。さらに、授業を担当するのは博物館で働く現役学芸員を中心とした講師陣だ。「学芸員課程で学ぶ内容は、博物館で働くための基礎知識・基礎技術です。こうした知識や技術は、長く受け継がれてきたものもあれば、日進月歩するものもあります。また、実習の学内授業は、資料の扱い方、道具の使い方など実践的な技術指導を多く含みます」 このため、教員側も現場に精通していることが求められる。その意味でも、現役学芸員や経験者が実際の授業を指導する学習院大学の学芸員課程は大きなアドバンテージをもっている。充実の館園実習サポート体制 学芸員資格を取得するために、博物館の現場での館園実習は必須となっている。しかし、実際に業務が行われている博物館へ行き、業務の時間を割いて指導してもらうのだから、希望者すべてが受け入れられるわけではない。枠は限られ、実習館の確保は課程をもつ大学にとって大きな課題だ。「本学の場合は、学習院大学史料館が学芸員課程の窓口を担当しつつ、実習の受け入れ先博物館としても機能しているという、実習館確保のための強力なサポート体制があります。史料館は大学博物館として、本学と学習院女子大学から年間50〜70人の館園実習生を受け入れています。さらに、学生の専門や募集条件などの情報をマッチングし、学外の博物館にも多くの実習生を受け入れていただいています。連携を結んでいる館や、博物館同士業務上のつな学習院大学史料館の学芸員・吉廣さやかさんがりがある館、卒業生の勤務館などは、実習生の受け入れについての理解を得やすい場合もありますが、多くは公募制です。その際に、まず実習生として受け入れていただけるだけの知識や技術、仕事への理解が身につくよう、授業やガイダンスでは徹底した指導が行われます」 こうして訓練を積んだ学生の評判が、学習院大学の教育に対する全国の博物館からの信頼となり、次の学生の実習受け入れにつながるのだ。学びの両立が就職の要 晴れて学芸員の資格を取得しても、就職して実際に学芸員として仕事がはじめられるとは限らない。 学芸員の公募は、修士または博士課程修了を応募資格としていることが多く、学部卒では学芸員としての就職は難しいのが現実だ。採用の際、最も重視されるのは、調査・研究能力であるといわれ、学芸員課程と学科・専攻での学びはどちらも欠けてはならない車の両輪となっている。「資格取得者からの就学内にある身近な歴史と伝統に触れる「キャンパスまるごとミュージアムツアー」4学部が支える就職・資格取得支援職率が1%未満ともいわれる中で、学習院大学は平均で約5%の数字を保っています。特に、美術史学専攻の学生は近年の活躍がめざましいです。同学年で何人も就職が決まることがあり、本学では非常にレベルの高い学芸員の卵が育っていると自負しています」 博物館以外でも、文化庁や市区町村の文化財関連、民間では出版・教育業界など学芸員課程で学んだ知識・技術を生かせる職種は多岐にわたる。

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