学習院大学の就職力
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64教員になる覚悟はあるか学生自身に考えさせる 学習院大学の教職課程では、中学校と高校の教員免許が取得できる。全学部全学科の学生が履修可能で、1年次の登録者は約450人にのぼるという。その人気の理由を教職課程の担当教授である諏訪哲郎教授はこう話す。「経済状況の悪化に伴い、安定を求めて教員資格を取ろうと考える学生が増えているのだと思います。中には、教師になりたいという気持ちもなく受講している学生もいますから、1年次の必修科目として、教育が担うべき役割や職務内容、教育の歴史などについて学ぶ教育基礎、教育概論を設定し、本当に教員になりたいのか、適性があるかということを自分自身に問いただしてもらうようにしています」 その結果、2年次も続けて教職課程を履修する学生は300人前後となり、4年次に教育実習に参加する学生は多くて170人だという。「課題や取らなければいけない授業が多く、ハードなことに違いはありません。しかし、この課程を乗り越えれば、教員として必要な学力はもちろん、コミュニケーション能力やする力とプレゼンテーション能力が必要なんです。討論型の授業は、それらを鍛えるための欠かせない要素です」 また、座学だけでなく、教育現場で、今どんな問題が起こっているのか、どんな生徒がいるのかなど現状を知るためのプログラムもある。「毎年、夏に現職の教員のOB・OG十数名を招いて教職合宿を行っています。そこでは、教育現場で起こっている切実な問題について話をしてもらっています。たとえば、一昔前であればモンスターペアレント、今は発達障害についてなどですね。教員にとって大変なことや苦労する体験について話してもらうことで、学生が想像しきれない現実を文学部教育学科 諏訪哲郎教授教員採用試験合格者数( )は該当年度以前の卒業生平成23年度平成24年度国語5(1)国語4(1)社会1社会1地歴2地歴4公民1公民1数学8数学14(1)理科4英語3英語3ドイツ語1計24(1)計28(2)人前で話す力も身につきますから、実際に教育現場に入ってからも大きな苦労はないでしょう」討論型の授業で表現力を鍛える 学習院大学の教職課程の特色としてあげられるのがグループディスカッションやグループ発表などの討論型・発表型授業の多さ。双方向型の講義を取り入れているのには狙いがある。「これからの時代、教員に求められるのは、ただ知識を伝えるだけではなく、生徒に考える力をつける教育法です。そのためには、まず生徒に疑問をぶつけなければいけません。そこで、教員には生徒と話し、問題点をあぶり出し、その疑問をわかりやすく伝える力が必要になります。つまり、話を聞き出し、それを理解 学習院大学の教員養成には教育学科の新設前から定評があった。その中心となっているのが中学校・高校の教員免許が取得できる教職課程だ。毎年約30人の学生が教員採用試験を突破しているという学習院大学の教職課程の強みと特色に迫った。双方向型の講義で考える力を持った教員を育てる中・高の教員をめざす教職課程

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