学習院大学の就職力
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65●コラム 教育現場で役に立つ! 模擬遠足プログラム●知って、その後の教育実習に備えてもらうのが狙いです」 諏訪教授は、教員志望でなくても、教職課程を受けることで学生が得られるものは大きいという。「教育現場の今を知ることは、社会がはらんでいる問題に関心を持つこ先生役と生徒役が入り交じってゲームを行う。生徒との距離を縮める絶好の機会を体験。この時は担当教授も一緒に遊んで交流とにつながります。また、教職課程を受ければ、人に思いを伝える力、そして、人の気持ちをくみ取る力が備わります。これらは、教員に限らず一般企業でも必要とされている力ですから、人生において役立つことは間違いありません」 学生が先生役、生徒役に分かれ、遠足の計画を立てるところからはじめ、最終的に実際に遠足を行う授業。 コース選びから班分け、当日の引率まですべて学生自身に考えさせるのが特徴で、担当教授は見守るだけで口出しはしない。遠足当日は、生徒役の学生が電車を乗り間違えたり、班内で仲間割れをしたりと、さまざまなハプニングが先生役の学生を襲う。実際に遠足を体験することで、先生の苦労、そして、生徒の気持ちに気づく。その気づきを出発点に学生たちは成長していく。 実際に教師になったOB・OGからは模擬遠足での経験が役に立ったという声が多く寄せられている。中には、新任にもかかわらず、修学旅行の引率がうまく、添乗員に驚かれたOBもいるという。関東でこのプログラムを実施しているのは学習院大学だけというから、入学してぜひ体験してほしい。 大学入学当時は、教員になりたいと思っていませんでした。教職課程は履修しましたが、将来の選択肢を減らさないためのあくまで保険というぐらいの気持ちでした。ところが、1年次にはじめた学習塾でのアルバイトが運命を変えました。自分が教えたことを生徒が理解した時の満足げな顔を見るのが楽しくなって、教員もいいかなと思いはじめたんです。 3年次には教職課程担当の長沼豊教授の自主ゼミに参加。ディベートや模擬授業、生徒役と先生役に分かれてのロールプレイなどを繰り返すうちに教員のやりがいも見いだせ、とても充実していました。 ところが、学部の研究も魅力的で、このまま教師になるか、それとも、大学院に進学するかでずいぶん迷っていました。そんな僕の背中を押してくれたのが、長沼自主ゼミの友人たちの存在でした。長沼先生の指導を受けながら仲間たちと切せっ磋さ琢たく磨まして身につけた力を試したいと思い、採用試験を受ける決意をしました。 本格的に教員採用試験の勉強をはじめたのは3年次の1月。夏から秋に勉強をはじめる人がほとんどなので、始動は遅かったのですが、長沼教授に個人指導をしていただいたり、4年次の夏合宿で、OB・OGの現役教員の方からもアドバイスをいただいて、なんとか試験を突破できました。 赴任して3年目に3年生を受け持ち、卒業式を迎えた時には思わず涙がこぼれましたし、学園祭で映画制作に取り組んだ時は生徒と達成感を共有できました。授業は、約40人を相手にするので、やりがいがある反面どう教えれば力を伸ばしてあげられるのか、理解できるのか悩むこともあります。生徒たちの困惑した表情を見てどうしていいかわからず、落ち込んだこともありました。 そんな気分を晴らしてくれるのが大好きな場所、母校・学習院大学です。今もたまに訪れていますが、キャンパスにはゆったりとした時間が流れていて、歩いているだけで心が軽くなっていくんです。今、思い返しても、学習院大学には自分のやりたいことを焦らずじっくり探せる環境がありますし、こぢんまりとしている分、同じ目標を持った仲間を見つけやすいという利点もあると思います。 また、教職課程には学部学科を超えて学生が集まっているので、理学部や法学部などの学生から視点の違う意見が聞けたのは刺激になりました。これは、学部学科を横断した教職課程のある学習院大学ならではだと思います。横浜緑ケ丘高校喜屋武翔太さん2010年文学部日本語日本文学科卒業OB・OGインタビュー(高校教員)4学部が支える就職・資格取得支援
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