学習院大学の就職力
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9卒業生が後輩指導をする利点をこう説明する。「2日間、学生たちは先輩たちからたくさん叱られます。後輩たちに成長してほしいと思っている卒業生だからこそ、学生たちを叱ることができるんです」先輩だから「叱れる」、「叱られる」から心に響く 模擬とはいえ、他の学生たちが注目する前で自分のことを語らなければならない個人面接は、緊張でタジタジになるもの。中には、講師の厳しいダメ出しに、涙目になる学生も出現する。 それでも、講師たちは、体当たりで後輩たちに接していく。学生がこて先で考えた自己アピールや志望動機などは、いわば突っ込みどころ満載なのである。「講師の方に『結局、あなたは何をやりたいの?』と何度も言われ、たしかに自己分析について詰めが甘いなというのを反省させられました」(経済学部経営学科の女子学生) メンタイでためになるのは、講師の指導だけではない。他の学生の面接の様子を見ることで、多くの気づきを得られるのだ。自分に投げかけられたのと同様の質問に他のみんなはどのように答え、それに対して、講師がどんな指摘をするのかを観察で 学生たちは17~18人ずつ80班に振り分けられ、それぞれ割り当てられた教室に入るとすぐに三つのグループに分かれてのグループディスカッションがはじまる。テーマは「社会に出て働く上で大切なことは?」。突然の設問だったが、それぞれが果敢にチャレンジする。しかし、思うように要点がまとまらない、言葉に詰まるなど、いずれの学生も不本意な自分に気づき顔色を変える。このディスカッションで重視されていたのは、考えたことを言葉にすること、時間を守ること、積極性を持つこと。この時点では、そのどれも及第点に届く者はいなかった。要点がまとまらず、黙り込んでしまう学生も 面接は思い描いているほどうまくいかないもの。それを自覚してもらおうと男女1人ずつの学生を登壇させ、入室からあいさつ、着席までをやってもらう。壇上ということもあるが、動きは実にたどたどしい。普通ならここで笑いが起こるところだが、観衆となっている学生も我が身と重ね合わせているのだろう、とても笑うどころではないという面持ち。 そんな学生の所作をOGの講師が一つひとつチェック。ノックは2回もしくは3回、おじぎは4拍子で「よろしくお願い致します」と言ってから頭を下げるなど丁寧に指導する。手ほどきを受けるものの、二人ともぎこちなさが抜けない。一体、2日間のメンタイで学生たちはどれだけ成長できるのだろうか。メンタイは不安と期待のうちに幕を開けた。ぎこちない動作がメンタイでどう変わるのか先輩の言葉を一つも聞き逃さないようにします文学部 哲学科3年吉田真央さん 決められた時間の中で自分の思いを伝えることがこれほど難しいとは思いませんでした。話が長くなるばかりで気持ちが伝わらないことが多かったです。考えを整理しておかなければいけないと思いましたが、どうすればうまくできるのかわからないので、とにかくこの2日間、先輩の言うことを聞き逃さないようにしようと思います。学生の声チームで議論して、結論を導き出す。リーダーシップや協調性が問われる9:409:40~ グループディスカッション

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