法学部卒業生_デジタルブック
16/20

困や紛争などの問題を理解するには、環境を知ることが必要だと視野が広がりました。この経験が、今、私が研究する環境とコミュニティ作りのテーマにつながっています」地球レベルの環境問題と向き合い解決策を考える 環境への問題意識を深めた小倉さんは、大学卒業後、米レズリー大学への大学院進学を決心する。専攻したのは環境教育に関する研究科。フィールドワークを通して生態学や環境教育について学んだ。 「とにかく毎日が刺激的でした。特に印象的なのは、ネイティブアメリカンの居留地が点在するアリゾナ州での2カ月間のキャンプ生活。豊かな生態系のなかで、彼らがどう暮らし、どんな問題を抱えているかを調査してクラスの仲間と議論を繰り返す。大自然に触れながら問題に向き合う貴重な経験ができました」 大学院修了後は、インドの環境系研究機関「ATREE」の客員研究員として1年間、ヒマラヤの村に滞在。経済発展が著しいインドの辺境で、自然破壊や、人と自然の関係の急速な変化を目の当たりにした。 「100年前まで焼き畑をしながら狩猟採集生活を送っていた人々が、今では携帯電話を使って生活しています。また、ヒマラヤのぜい弱な生態系にダム建設が行われ、大きな災害につながるのではないかと懸念されています。今はこの、近代化がもたらした問題について研究成果をまとめているところです」 そして2013年秋、再び米国に渡り、カリフォルニア大学バークレー校で環境デザインを学ぶ予定だという。地球レベルの環境問題に取り組み、解決策を推し進めるには、フィールドワークだけでなく、学術的な研究も必要と考えたからだ。 自ら日本を飛び出し、問題を直視するスタイルを貫いてきた小倉さんの原動力は、人との出会いだという。 「大学卒業後、直前になってレズリー大学への進学を決めた私のために、たった3日間で推薦状を書いてくださったゼミの村主道美先生、さまざまな局面でサポートいただいている野中尚人先生をはじめ、学習院の先生方のお力添えがあったから、その後の道が開けました。どんなときでも、先生方は惜しみなく応援してくださり、友人たちは温かく送り出してくれる。それが今も私の支えになっています」レズリー大学大学院へ留学中に、2カ月間アリゾナでキャンプ生活を経験。大自然に触れられた「すばらしい日々だった」と小倉さんヒマラヤの魅力を伝える冊子を自ら制作自然と共生するヒマラヤの姿を伝えようと、1年の滞在中に見た村の人々の暮らし、現地の魅力を自らの文と写真、挿絵で記した冊子『ヒマラヤからの便り』を制作。高校生の頃、美術関連の大学進学を考えたこともある小倉さんの表現力が存分に発揮されている。ColumnGRADUATE'S VOICE学習院の先生方や仲間が活動を後押ししてくれるVoice海外のさまざまな土地で過ごした経験を、スケッチブックに文章と絵で綴っている昔ながらの生活が残る一方で、急速な経済成長によって変わりいくヒマラヤの村が抱えるさまざまな問題点に直面。ますます環境問題に取り組む気持ちを強くした063GAKUSHUIN UNIVERSITY

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です