法学部卒業生_デジタルブック
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ュニケーション力が求められる。当初は、顧客からプライベートな内容を聞き出す業務に戸惑ったこともあるが、「相手のニーズを正確に聞き出さなければ、いいご提案はできない」と考えるようになった。 「さまざまなお客さまにお会いして経験を重ねた今は、お客さまのペースに合わせて人生に寄り添う気持ちで接することで、心を開いてくださるのだと思うようになりました。『中島さんにお願いしてよかった』という言葉をかけていただく時が、一番うれしい瞬間です」法律を学ぶことは生活を送るうえで強みに 弁護士になる夢を描いて法学部法学科を志した中島さん。しかし、大学生活を送るうちに一般企業に興味をもちはじめた。そこで就職も視野に入れ、「身近なものと法律のかかわりを学べる」と選んだのが、独占禁止法(独禁法)を研究する経済法(大久保直樹教授)のゼミだ。 「憲法や刑法など、既存の法律の研究は、決まった論点になります。独禁法の研究は時勢によって論点が変わる分野だったので、研究内容もすべて自分で探さなくてはいけない。私は学生服の販売価格や映画の鑑賞価格について論文を書きましたが、テーマを探すために世の中を見回すと、独禁法に触れる商品が溢れていることに気付き、広く社会を見る目が養われました」 自分のテーマについて調べを進めるほどに知りたい、学びたいという気持ちが高まった。「そんなとき、先生方は、その気持ちを受け止めてくれました」と中島さん。 「何か質問すると、答えを教えるのではなく、ヒントとなる本や資料を紹介してくれました。そこで、自分で学び、自ら動くことの大切さも学びましたね。社会人として働く今、お客さまの望んでいることを察して、最適な提案をする際に、自分で考える力が活きていると感じます」 法学部で法曹界を目指すだけでなく、法律を学びながら将来について考えても決して遅くないと、中島さんは、高校生へメッセージを送る。 「私たちは、普段何気なく過ごしていますが、さまざまな法律に囲まれて生活しています。法律を学ぶことは直接法律の専門家にならなくても、生きるための大きな武器になります。少しでも興味があれば、ぜひ学んでみてほしいと思います」現在は偶然にも学習院大学出身の後輩を指導する立場に。人に教える難しさを知るとともに、「いつかは支店長に」という夢も膨らむ大学時代の必需品はUSBメモリー学内には、学生が自由に使えるコンピューターが各所に設置されている。USBメモリーを常備し、「気付いたことがあれば、論文に書き足していました」と話すように、中島さんにとって、USBメモリーは論文の精度を高めるうえで、なくてはならないものだった。ColumnGRADUATE'S VOICEお客さまのニーズを察して最適な提案をしたいVoiceパンフレットを使い、わかりやすく説明していくなかで、顧客のニーズをつかみ、提案につなげていく法学科では、1年生の時に六法全書の引き方や法律用語について学ぶ基礎講義がある。この講義を通して、法律が身近な存在になっていったという051GAKUSHUIN UNIVERSITY
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