法学部卒業生_デジタルブック
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風呂が汚いという意見を聞き、会社とも協議し、合意のうえで独身寮に出向き、風呂場の写真を見せて会社という組織を巻き込む形で改善した。 書記長に就任した2012年は新日本製鐵と住友金属工業が合併した年でもある。会社の文化や組織体系の異なる2社による組合をどのように統合させるべきか苦心した。 「労働組合という組織が今まさに過渡期にあるのです。若い人は労組が何をやっているのかさえ、よく知らない。そんななかでどうやって労組の価値や役割を組合員に伝えていくか。労働組合の定義を変えていくことも必要だと思っています」チャレンジ精神がすべての原動力 大学時代は、全くの未経験から始めたトライアスロンに熱中した。浪人して太ってしまった体を引き締めたかったのと、せっかく大学に入ったからには文武両道で何かを成し遂げたいという思いからだった。 とはいえ、当時の学習院大学にはトライアスロン部はなく、愛好会すらなかった。「幸運にもオリンピックレベルの先輩が学内にいたため指導を受けられ、1年生の時には仲間とともに署名活動などを行ってトライアスロン愛好会を発足させました」 トライアスロンを通じて「競争が激しく、できるだけ厳しい環境に身を置いたほうが自分は成長できる」と自覚した小林さんは、その後もさまざまな分野で挑戦を続けてきた。就職活動でも厳しそうな製鉄会社を選んだ。労組役員に立候補したのもチャレンジ精神からだ。 法学部時代は、阿部克則教授の国際法のゼミに所属。「法学科では卒論を書く必要はなかったのですが、私は学生時代を通して学んだことを何か形に残したい、そんな思いから自主的に卒論を書きました」と振り返る。今もトライアスロンを続けるとともにビジネススクールに通っているというから、文武両道は健在だ。 学生時代に学んだ法律知識が業務に活かされることは少ないが、事実や原理・原則を知り、問題解決へと導くリーガルマインドは、大いに役立っていると話す。 「学習院には一人ひとりの学生に〝目的〞と〝意欲〞を与えてくれる校風があった。そのうえで〝目標〞を達成するための環境も整っている。私のチャレンジ精神は学習院時代に育まれたものなのです」労働組合の会議は、就業時間内ではなく、昼休み時間に昼食を食べながら行われることが多い。この日の議題は「女性が働きやすい職場環境」について。製鉄会社でも女性社員が増え、多様な人材活用は重要な課題の一つとなっているチャレンジ精神は学習院時代に育まれたVoice今も結束力の強いサークルの仲間たちColumnGRADUATE'S VOICE黙々と会議の準備を行う小林さん。書記長として、自分自身の企画力、運営力、自走力が組合活動にダイレクトに響くことにやりがいを感じているというトライアスロンに挑んだのは「3種目あれば逆に、初心者の自分でも他の人たちと競えそう」と思ったから。当時の仲間とは今でも定期的な交流がある。053GAKUSHUIN UNIVERSITY
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