法学部卒業生_デジタルブック
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然『日本人か!?』と呼び止められて握手を求められたり、そのまま家に招かれて食事をごちそうしてもらうなど、とても温かく迎えられました。友人もたくさんできて、今でも第二の故郷だと思っています」 その後、在英国大使館、本省で条約交渉官などを経て、現在は国際法局で社会条約官として、諸外国との条約交渉・締結業務を担当している。 「日の丸を背負い、国益を見据えて相手国と交渉したり、国際ルールを作る業務に重い責任を感じる一方で、国際法を作り上げる醍醐味を日々味わっています。現在は日本勤務ですが、どこにいても、外交官として外国の方と接する際には、相手国の方々を惹き付ける人間的魅力が問われます。政治的な問題はもちろん、文化や芸能まで、あらゆることを日本の代表として伝えられるように、常に好奇心をもって日本のことを知ろうとする努力が、外交官としての幅を広げていくのだと感じています」外交官を目指す仲間と共に学んだゼミの1年間 学生時代、外交官を目指していた勝亦さんのモチベーションが最も高まったのは、4年生の時に受講した「外務公務員ゼミ」での1年間だ。 「通常のゼミと異なり卒業単位にはなりませんでしたが、熱い先生方が、規定の授業の後、毎日のように講義をしてくださいました」 このゼミは、国際法担当の故波多野里望教授や政治学担当の故香山健一教授、経済学担当の故島野卓爾教授、英語学担当の荒井良雄教授といった有志の教授陣が集い、「学習院から外交官を輩出しよう」と開講したもの。教授が個人的に交流のある外交官を招いて学生との意見交換の場を設けたり、試験前に模擬面接を行ったりと、枠にはまらないリベラルな講義が行われた。 教授陣は、政府の委員会や人権関連の国際委員会のメンバーなども務めていて、現場感覚を活かした講義も興味深かったという。 「外交官になるという目的のために集まった仲間からも多くの刺激を受けましたし、先生方とゼミ生との一体感もあり、とても充実していました。先生方の意識や志がとても高いのは学習院大学の魅力の一つでもありますが、そうした先生方との出会いが、外交官となった今も私の力になっています」「伝統的な条約交渉に加え、地球環境問題やビジネスに関する交渉など、業務範囲は年々広がりを見せるだけにやりがいがある」と語る好奇心をもつことが外交官としての幅を広げるVoiceGRADUATE'S VOICE新人時代の赴任先だったトルコは、勝亦さんにとって第二の故郷。当時の大統領や首相とも、通訳として面会する機会があった。「憧れていた外交の場にいるのだと実感しました」学生時代から苦楽を共にしてきた相棒丈夫さと形に惚れこんで、高校時代から現在まで愛用しているかばん。大学時代はゼミなどの資料を、外交官になってからは外交交渉の書類や条約集を詰め込んでいる。故竹下登首相のイタリア訪問時に同行し、宿泊したホテルのステッカーを今も記念に貼っている。Column055GAKUSHUIN UNIVERSITY

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