理学部卒業生_デジタルブック
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物理学のなかでも流体力学に興味をもち、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に就職した徳川直子さん。現在は、次世代超音速旅客機の研究開発に取り組んでいる。超音速実験機と格闘の日々宇宙航空研究開発機構(JAXA) 徳川直子型超音速実験機『NEXST-1』が無事に飛んだ日は、これまでの人生で一番幸せな日の一つです! 研究所の人もメーカーの人も一緒になって、抱き合って喜び合いました」 日本の航空宇宙開発を担う宇宙航空研究開発機構(JAXA) 航空プログラムグループ超音速機チームで主任研究員を務める徳川直子さんは、こう振り返る。 NEXST-1は、JAXAが開発した次世代超音速旅客機の実験機で、東京-パリ間を6時間で結ぶマッハ2の飛行を想定して設計された。徳川さんの担当は、摩擦抵抗を低減する設計を検証するための計測だ。実験機に搭載されるセンサーやアンプの性能を検証する風洞実験もした。 小型超音速実験機のチームに入って4年目の2002年の7月、第1回目の飛行実験が行われた。だが、結果は失敗。ロケットで上空に打ち上げられてから切り離されるはずだった実験機が、打ち上げ直後に切り離されて大破した。「その年は、次の年の年賀状を書く気分にもならないほど、落ち込みました」。 徹底的に原因を究明するとともに、設計を色々と練り直して再度計画を立てた。しかし、一度失敗したプロジェクトの信頼性はやすやすと認めてもらえない。結局、再挑戦の機会を得るまで3年待たなければならなかった。 そして、2005年10月、第2回目としてオーストラリア・ウーメラNaoko Tokugawa●1967年生まれ。1990年、学習院大学理学部物理学科卒業。1995年東京農工大学大学院博士後期(博士)課程修了。東京大学大学院研究生、科学技術振興事業団科学技術特別研究員(派遣先航空宇宙技術研究所〈現JAXA〉)を経て1997年航空宇宙技術研究所に入所。2009年から現職。「小航空プログラムグループ 超音速機チーム 主任研究員024Faculty of Science
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