学習院大学 東洋文化研究所The Research Institute for Oriental Cultures

研究プロジェクト

一般研究プロジェクト

アジア諸国における教科書と教育制度(1992-1993年度)

 

構成員
代表研究員 諏訪哲郎
研究員 斉藤利彦 赤尾和男 桜井啓子
客員研究員 石川啓二 王瑞来 越田稜 石渡延男
(1)研究の目的・意義

本研究は、アジア諸国(具体的には、日本、中国、韓国、タイ、イラン)がそれぞれに抱えている固有の社会状況が教科書にどのように反映されているのかを分析し、相互に比較することを目的とするものである。
研究を進めていく際には、アジア各国における学校教育が、新しい社会移動の手段となり伝統的な階層構造を弛緩させ、人々に新しい可能性を与える一方で、強力な国家管理によって、既存の権力構造を正当化させ、国家統合の名のもとに少数民族や宗教的少数派、土着の地域文化を弾圧する手段ともなってきたという現実に留意しながら分析をすることになるであろう。このような研究は、アジアの人々が置かれている教育環境に対する理解を深めるとともに、それぞれの社会が抱えている固有の問題も鮮明にすることができるであろう。

(2)研究内容・方法

まず教科書の内容分析以前に次のような作業を行なう。
第一に、各研究員が各国の教育制度及び教科書利用の実態を把握する。そのためには、現地での教科書収集や教育省との接解も必要に応じて行なう。第二に、アジア各国の学校教育がどのような問題を抱えているのかを考察する必要がある。そのために教育制度史、教育の国家管理、教育と社会階層、教育と社会変動などの観点から分析されている研究にあたり、問題点を整理する。第三に、教科書分析の方法論を検討するために、教科書を扱った先行研究に目をとおす。
最後に、これらの基礎的な作業をつうじて研究員各自が分析の方法や観点を明らかにし、それに基づいて各自が担当国の教科書の内容分析を行なう。

(3)研究の成果

諏訪哲郎・斉藤利彦・石渡延男・桜井啓子・高凌『アジア諸国における教科書と教育制度(調査研究報告No.43)』(学習院大学東洋文化研究所、1995年3月)

ページの先頭へ