学習院大学 東洋文化研究所The Research Institute for Oriental Cultures

研究プロジェクト

一般研究プロジェクト

政治文化の視点に基づく21世紀における日韓共生の構図(1997-1998年度)

 

構成員
代表研究員 田中靖政
研究員 田中伸英 窪田誠 城所弘泰
客員研究員 別府庸子 平野浩 中尾美智子 朴紀正 田中豊
(1)研究の目的・意義

この研究は、行動科学の見地から「21世紀における日韓共存共生」の政治文化的基盤を模索することを目的としたものである。この目的の達成のために、この研究では以下の実証的調査研究を実施する計画である。
 (1)21世紀における日韓関係の緊密化の可能性
最近の北朝鮮に対する米韓日共同の「軽水炉」供与の試みに見られるように、環太平洋諸国との関係を視野に留めながら、日本と韓国の双方から両国に共通する政治的、産業・経済的、社会的課題を析出し、21世紀の日韓協力関係の緊密化の可能性を考察する。
 (2)21世紀の日韓協力関係の緊密化を可能とする制度的ならびに心理的要因
過去の歴史に根ざす強い情緒的反応が一朝一夕に払拭しがたいことは、宗教紛争や民族紛争の多くに見られるところである。この研究においては、「スポーツ」の領域はもちろん、国際関係、先端技術、文芸等の広い範囲にわたって、「対立」に対する「協力」、「孤立主義」に対する「国際主義」などの政治文化的諸価値が、21世紀の2国間関係においてどの程度重視されるか、あるいは、いかにして実現可能となるか、をアンケート調査によって問い、日本人および韓国人の心理的適応性を分析する。

(2)研究内容・方法

この研究では、下記の〔研究1〕と〔研究2〕を同時平行的に実施する。
 〔研究1〕有識者を対象とした面接調査
(手続き)随時、日韓関係に詳しい日本人および韓国人外交官、経済人、学者、ジャーナリスト等を講師として招いて意見聴取のけんきゅうかいを催し、(1)「21世紀における日韓関係の緊密化の可能性」、ならびに(2)「未来(21世紀)の日韓関係の緊密化を可能とする制度的ならびに心理的要因」に関する意見を聴取する。また、これとは別に、韓国有識者に対する意見聴取(ソウル)も計画している。(旅費等は個人研究費から支出)。
 〔研究2〕大学生およびその父母を対象としたアンケート調査
(手続き)(1)「21世紀における日韓関係の緊密化の可能性」、ならびに(2)「21世紀の日韓関係の緊密化を可能とする制度的ならびに心理的要因」に関するアンケート調査を実施する。文化、年齢、性との相互作用を明らかにするため、日本(東京)と韓国(ソウル)で、それぞれ男女学生300名、父母600名、総計1,800名を調査対象とし、収集したデータは日本でコンピュータ処理を行う。また、多変量解析法を用いて「未来志向」および「日韓関係の緊密化」に係わる態度象限(構造)を析出、態度の交差文化的一般性と文化的独自性を明らかにして、両国の被験者の「未来への適応性」を考察する。韓国調査は、1995年の東洋文化研究所研究プロジェクトと同様、東亜日報ソウル本社の協力のもとで実施する。

(3)研究の成果

田中靖政、窪田誠、城所弘泰、林雄介、萩原豪、別府庸子、平野浩、中尾美智子、田中豊『政治文化の視点に基づく21世紀における日韓共生の構図(調査研究報告No.50)』(学習院大学東洋文化研究所、2001年)

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