朝鮮社会経済写真集(善生永助蒐集写真)

解説

善生永助(1885~1971)は、朝鮮総督府嘱託として同府刊行の調査資料の編纂に携わった人物である。明治43年(1910)に早稲田大学専門部を卒業したのち、雑誌記者などを経て大正12年(1923)7月より朝鮮総督府官房調査課嘱託となり、昭和10年(1935)まで調査活動に従事した。彼が調査および執筆を担当した資料の多くは、「調査資料」シリーズに収録されている。代表的なものに『朝鮮の市場』(大正13年〔1924〕)、『朝鮮人の商業』(大正14年〔1925〕)、『朝鮮の物産』(昭和2年〔1927〕)、『朝鮮の市場経済』(昭和4〔1929〕)、『朝鮮の生活状態調査1~3』(昭和4〔1929〕ー昭和9年〔1934〕)、『朝鮮の聚落 前・中・後篇』(昭和8〔1933〕ー昭和10〔1935〕)などがあり、現在でも植民地期朝鮮の社会経済状況を知るうえで大変貴重な資料とされている。友邦文庫には、彼が調査活動の一環として蒐集したとみられる写真が合計132点収蔵されている。「朝鮮社会経済写真集」と題が付されたこの写真群(請求記号602-21)は、被写体別に港湾・鉱工業・商業・寺院・葬式・農業・民家・風俗・村落・婚姻・交通の11種類に分類され、それぞれ小封筒に収められている。写真の裏面には被写体に関する簡単な説明文が書かれており、一部は数枚の写真をつなげてパノラマ化されている。

(辻弘範)

大邱市街