生命活動を担う、最も基本的な分子であるタンパク質の構造と機能を研究しています。特に、Gタンパク質共役受容体、高親和性コリントランスポーター、タンパク質分解酵素とその阻害剤を主要な対象として、その構造、機能、機能調節、発現調節を明らかにすることを目標とします。

Gタンパク質共役受容体(GPCR)の高次構造  
 Gタンパク質共役受容体の高次構造を解明し、受容体の作用機構を知ると同時に理論的創薬の基礎を作ることを目標とします。ムスカリン性アセチルコリン受容体を対象として、大量発現・精製系を確立し、3次元結晶化・X線解析を目指しています。
 
Gタンパク質共役受容体の機能調節  
 Gタンパク質共役受容体にアゴニスト(ホルモンや神経伝達物質)が結合するとGタンパク質共役受容体キナーゼによってリン酸化され、その結果受容体が脱感受性になります。この機能調節、特にアゴニスト依存性細胞内移行の分子機構、ムスカリン性アセチルコリン受容体の細胞内第三ループの役割の解明、細胞内移行に関わる新しいタンパク質の同定、などを目指しています。
 
オーファン(孤児)受容体の内在性リガンドの検索  
 ヒトには約1000種類のGタンパク質共役受容体(GPCR)があり、多くのGPCRはその内在性リガンドが分かっていません。これらをオーファン受容体(孤児受容体)と呼びます。新規のオーファン受容体をヒトゲノム情報から検索したので、その内在性リガンド(新しいホルモンや神経伝達物質)を検索しています。検索系として受容体・Gタンパク質融合タンパク質を使用します。また、この融合タンパク質を用いて、受容体とGタンパク質の相互作用の様式を解析します。
 
高親和性コリントランスポーター(CHT1)の構造と機能  
 アセチルコリンは典型的な神経伝達物質です。シナプスで放出されたアセチルコリンはコリンと酢酸に分解されます。神経細胞はコリンを生合成できないので、細胞外のコリンを取り込んで再利用します。われわれは、このコリン輸送を担う高親和性コリントランスポーターを同定しました。現在、その構造と活性の関係(取り込みに必要なアミノ酸残基の同定)、機能調節(細胞内移行あるいは活性調節に関わる部位および相手の同定)、発現調節(コリン作動性神経特異的発現の機構)などを研究しています。
 
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