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◆ ご挨拶

生物を見たとき、「いかにも生物らしい」という特徴はたくさんあります。食べること(食作用)、増えること(繁殖)、自分の体を守ること(免疫機構)。そして何より、「動くこと」です。まるで意志を持っているかのように動くものを見れば、おや、これは生き物だなぁと素直に感じることができると思います。そして面白いことに、人間を含めた大きな動物だけではなく、たった一個の細胞でできている生物(大腸菌やミドリムシ、マイコプラズマなど)も、自在に動く機能を備えています。動物の体の中においても、体の中の大部分の細胞が、それぞれ動く機能を備えています。こういった動きをつかさどる主役が「分子モーター」です。ほとんどの分子モーターはタンパク質だけでできており、数個から、複雑なものでは数10個の部品で作られています(タンパク質の複合体において、それぞれの部品はサブユニットと呼ばれます)。この分子モーターの動く仕組みについては、1990年代より急速に理解が進んできており、代表的な分子モーターであるキネシンとミオシン、そして回転モーターであるべん毛モーターやATP合成酵素についてたくさんのことが分かってきました。生命科学専攻の西坂研究室では、独自に開発した特殊な顕微鏡を用いて、1個の分子が生み出す動きと化学反応をダイレクトに画像化する研究を進めています。

kinesin.png

キネシンの原子構造 (3KIN.pdb)

 

◆ 一緒に研究をする学生さんの募集

西坂研究室では、常時、修士課程と博士課程の学生を募集しています。物理学の知識と技術を使って生物を研究したい方、また細胞生物学、分子生物学に興味のある学生さんは、ぜひ西坂研を訪ねてみて下さい。
 近い将来、ホームページを充実させる予定ですが、今の版では研究の内容や成果など分かりにくくなっています(申し訳ありません)。実際にイメージをつかむには、研究室を見てもらうことが一番です。それ以外では、NEWSにある研究プロジェクトのHPを閲覧すれば、研究対象や手法などが分かってくるかも知れません。
 また、生物物理学の講義を聴講していただくのも良いかと思います。私の講義では、主にタンパク質科学の話をしますが、細胞運動や最新の研究手法などの話も織り交ぜます。『生物物理学とはどのようなものか』『西坂研究室ではどのような研究を行うことができるのか』雰囲気がつかめてくると思います。

一般向けの解説として、理学部の教員紹介のページをご覧下さい。

お時間のある方は、テレビ番組 サイエンスチャンネル「夢を語る研究者たち」で放映された、近年の西坂の研究成果をご覧下さい(約30分)。

専門的な研究内容に関する日本語の総説も見ることができます。

 

◆ 学習院大学から進学される方へ、ひと言:

さまざまな情報が簡単に手に入るように見える今の時代に、じっくり腰を据えて学問に取り組むことは、ともすると時代に逆行する作業に思えるかも知れません。しかし自然に対する本当の意味での深い理解、そして科学技術を支える基礎的な学問は、たゆまぬ勉強と研鑚という地道な作業からしか産まれ得ないと思います。検索を思索へと転じ、1つのことにひたむきになることを恐れず、魅力的な生物物理学という世界に足を踏み入れて欲しいと思います。