穀粒文玉璧

資料情報

史料館番号:史料館176/『標本原簿』名称:玉璧/『標本原簿』番号:24/製作地域:中国/製作時期:戦国~漢時代/石製/外径16.3cm×内径4.3cm/数量:1点

解説

「玉〔ぎょく〕」とは美しい石の総称で、権力と財産の象徴である。玉製品のうち、玉璧は、円形で中心に小さい穴があり、内円の半径が外円の半径の半分以下のものをいう。天を祭る際に用いた。本品は緑色の石を素材として、表面に穀物の粒状の文様を施している。中国大陸で製作されたもので、その時期は不明である(漢代以前か)。

旧制学習院歴史地理標本室の原簿には「玉璧」とあり、江藤濤雄氏より大正11年(1922)に90円にて購入した。

江藤濤雄氏は大正から昭和にかけての骨董商で、西安の古玩街で日本や西洋の骨董商と交流していた。江藤氏を経由して日本にもたらされた中国大陸の骨董品は、たとえば、「十六国後秦弘始四年遼東太守呂憲墓表」(石碑、書道博物館蔵)、「仏三尊磚」(六朝造像磚、東京大学東洋文化研究所蔵)、「白釉花文枕」(磁州窯、東京芸術大学大学美術館蔵)などが知られている。旧制学習院歴史地理標本室資料の中国・朝鮮半島の文物教材の多くは、江藤氏を経由してもたらされたものである。

(村松)