方格規矩鏡

資料情報

史料館番号:史料館170/『標本原簿』名称:記載なし/『標本原簿』番号:-/製作地域:中国/製作時期:漢時代/銅製/径11.8cm×厚0.9 cm/数量:1点

解説

方格規矩鏡〔ほうかくきくきょう〕とは漢代から魏・晋代にかけて流行した銅鏡の一つ。中央の鈕〔つまみ〕を方格(方形の区画)が囲み、その外側にT・L・V字形の文様がある。この文様をコンパス(規)と曲尺(矩)に見立てて名付けられた。

本品は「凹帯複波縁文 方格規矩渦文鏡」と呼ばれる鏡で、背面の文様は半球状の円鈕(つまみ)を中心に方格と規矩文によって分割された内区と、2本線の三角文がめぐる外区に分かれる。鏡の直径は11.8cmで内区の直径は8.0cm。内区には8個の小乳が配され、その間を唐草状の渦文が埋めている。全体に暗青緑色を呈するが、鏡表の大部分は鱗状の錆で被われ、周縁には細かい欠損がある。

旧制学習院歴史地理標本室の原簿には記載がないため、出土地・入手経路とも不明である。中国・陝西省千陽県の新代の墓(紀元後1世紀前後)から酷似した背面の文様を持つ鏡が出土しており、本品も同様の時期の製作と考えられている。

(村松)