日記故事 【明版】 請求番号222.05/218

書誌情報

鼎鋟國朝史記事實類編評釋日記故事 四巻 / (明)樂莘逸士 編 / 明・萬暦 / 刊行者 南京・周氏 / 刊本 / 1冊 / 10行20字 / 四周 / 界 / 書口 / 魚尾 / 断句 / 縦25.5cm×横14.3cm / 框高21.9cm / 旧蔵印「山浦政直藏書」「萩原藏書」

解説

『日記故事』というのは、元末以降に発達した人物故事を中心に道徳を説いた啓蒙書の一種であるが、本書は各種の目録類には見えず海内の孤本といえる書である。明代万暦年間(1573~1620)になって、節略された『日記故事』の全相本などが広く作られるようになったが、本書も本朝(明代)の故事を分類収録し、教化に役立てようとしたものと解される。

封面は無く最初と最後の一葉は鈔補されたもので、巻頭第1葉表には大きな欠落がある。本文は上下2段で評点が付され、上段には評や語句の注釈がある。

巻首に「豫章楽莘逸士編輯」とあるが、豫章の楽莘〔がくしん〕逸士に関しては不詳。目録末尾に「萬暦歳新月吉旦/禮部春官纂」とあることから江西(豫章)出身の南京礼部の官僚であったと推定される。また巻首には「京陵周氏梓行」ともあり、南京の書坊周氏が明末の万暦年間(1573~1620)末年に刊行したものであろう。

目録の各故事の標題には年号の注記があり、万暦5年(1577)とあるのが最も遅い(巻4 貞烈類 史氏刺面)。目録の次に「婦人図」、巻2には「斥説仏老図」の半葉の挿図があり、当時の南京の刻本の水準の高さを窺わせる繍像本であり、『日記故事』としてはやや高級な部類に属すると目される。

旧蔵者に関しては未詳。2005年、古書店より購入。

(大澤)  

参考

  • 大澤顯浩「新収蔵資料紹介『鼎鋟國朝史記事實類編評釋日記故事』解題」『東洋文化研究』7号(学習院大学東洋文化研究所編) 2005年3月 561~569頁
  • 大澤顯浩「鼎鋟国朝史記事実類編評釈日記故事」『知識は東アジアの海を渡った――学習院大学コレクションの世界』(学習院大学東洋文化研究所 編)丸善プラネット 2010年1月

(表紙)