毛詩振雅

書誌情報

毛詩振雅 六巻 / (明)張元芳、(明)魏浣初 撰 /天啓四年(1624) / 刊行 傅昌辰版築居(南京)/ 刊本 / 6冊 / 8行14字 / 四周単辺 / 無界 / 白口 / 魚尾無 / 断句無 / 縦26.9cm×横16.0cm / 框高13.0 cm / 旧蔵印「青邑甯氏仲子鑑藏書畫印」/ 澤口東洋文化研究所旧蔵

解説

『毛詩振雅』は明・張元芳(完樸)、明・魏浣初(仲雪)の撰による詩経の注釈書である。上・中・下三格に分かれており、上格に詩の解釈など、中段には経文および伝など、下段には鍾惺の評語の節録が記載されている。『毛詩振雅』の注は簡潔でありながら要点をおさえたもので、たとえば『続修四庫全書総目提要』では「わずか数語で、飾り気のない文章であるが、よく詩人の本意をとらえている。(雖寥寥数語、不落言詮、而深得詩人之本旨。)」と高く評価されている。また本書は経文の横には朱で批・圏点が施された朱墨套印で刷られており、南京で出版された套印本の中では最も初期のものに属する。紅印の部分では大圏・小圏・三角形・横線など様々な記号が使い分けられている。現存している『毛詩振雅』の版本は非常に少ない。この傅昌辰版築居刊『毛詩振雅』は『第一批国家珍貴古籍名録図録』にも収録されている極めて貴重な書である。

著者である張元芳は、字は楊伯、号は完樸、通州の人で万暦四十四年(1616年)の進士。魏浣初は、字は仲雪、常熟の人で万暦四十四年(1616年)の進士。著書には『詩経脈』などがある。

本書はもと学習院大学教授 澤口剛雄(1902~1995)の旧蔵書。澤口は中国文学研究者で、唐宋の詩や楽府の分野で大きな功績をあげた。その蔵書は澤口東洋文化研究所として埼玉川口の旧宅に収められていたが、平成24年(2012)遺族により、本書を含めた一部が学習院大学の東洋文化研究所に移された。

(石原)

 

参考

  • 詹福瑞主編『第一批国家珍貴古籍名録図録』 国家図書出版社 2008年
(表紙)

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