詩地理攷略

書誌情報

詩地理攷略 二巻 /(清)尹繼美 撰 / 同治三年(同治五年以降の後印本) / 刊行 永新尹氏鼎吉堂 / 刊本 / 2冊 / 10行24字 / 四周双辺 / 有界 / 白口 / 単魚尾 / 断句無 / 縦26.1 cm×横15.2 cm / 框高19.2 cm / 旧蔵印無 / 澤口東洋文化研究所旧蔵

解説

『詩地理攷略』は清の尹継美による『詩経』の地名研究である。末尾には緯度・経度を附した詳細な地図が収録されている。

尹継美は詩経研究に多くの成果があり、他にも『詩管見』を著している。また、山東省黄県の県令であった同治十年には『黄県志』を編纂している。

近年では復旦大学蔵の『詩地理攷略』(同治三年鼎吉堂刻本)が続修四庫全書に採用され、利用しやすくなっている。この復旦本は断口などから本研究所所蔵のものと同版であることが確認できるが、本研究所所蔵の版本には復旦大学の版本には無い「寿春祁相国與馬平王通政手札」が同治五年の尹継美の識語とともに凡例の後に挿入されている。このことから、本書は同治五年以降の後印本であると考えられる。ただし、本研究所所蔵のものは非常に版の状態が良く、続修四庫全書本では判読できない文字も本研究所所蔵の版本でははっきりと確認できる。

同治三年永新尹氏鼎吉堂刊本の『詩地理攷略』は日本では他に京都大学人文科学研究所が収蔵している。

本書はもと学習院大学教授 澤口剛雄(1902~1995)の旧蔵書。澤口は中国文学研究者で、唐宋の詩や楽府の分野で大きな功績をあげた。その蔵書は澤口東洋文化研究所として埼玉川口の旧宅に収められていたが、平成24年(2012)遺族により、本書を含めた一部が学習院大学の東洋文化研究所に移された。

(石原)

 

参考

  • 続修四庫全書編纂委員会編『続修四庫全書』経部詩類第74冊 上海古籍出版社 2013年
(表紙)

(表紙)