礼経会元

書誌情報

宋葉文康公禮經會元 四巻 / (宋)葉時 撰 (清)陸隴其 点定 (清)許元淮 節本 / 乾隆五十二年 / 刊行 書業德 / 刊本 / 4冊 / 9行20字 / 左右双辺 / 界有 / 白口 / 単魚尾 / 断句無 / 縦24.0 cm×横15.2 cm / 框高19.2 cm / 框高16.5cm / 旧蔵印「紫微萼龕藏書」 / 澤口東洋文化研究所旧蔵

解説

『礼経会元』は南宋の葉時によって書かれた周礼の研究である。当時は周礼に批判が集まり、多くの学者が周礼を劉歆の偽作だと考えるようになっていたが、葉時は周公の作だと考え、独自の解釈を行っている。葉時は周礼が曲解されるようになったのは鄭玄の誤読に始まるとして、鄭玄説を批判している。

葉時は、字は秀発、銭塘石馬兜人、官は吏部尚書に至る。点定者の陸隴其は、字は稼書、浙江平湖人、康煕九年の進士、官は四川道監察御史など。朱子学者として有名である。節本者の許元淮は乾隆五十四年の進士。本書の他にも『左伝事緯』清許元淮刻本の序などにその名がみられる。節本とは要点を抜き出し書物の分量をコンパクトにすることである。

本書は題簽に「書業德記發兌」という印記があるため山東省東昌の書肆である書業徳の印刷したものであると考えられる。

本書は全編にわたり文字の不鮮明な部分や誤字脱字などに対して朱筆で校勘が行われている。末尾には「光緖八年小暑何桂芳校讀」という朱筆の書き込みがみられる。咸豊二年の進士で順天府府丞などを務めた何桂芳のものである可能性もあるが未詳である。また、本書には旧蔵者のものと見られる「紫微萼龕藏書」という朱印が捺されているが、これも未詳である。

本書はもと学習院大学教授 澤口剛雄(1902~1995)の旧蔵書。澤口は中国文学研究者で、唐宋の詩や楽府の分野で大きな功績をあげた。その蔵書は澤口東洋文化研究所として埼玉川口の旧宅に収められていたが、平成24年(2012)遺族により、本書を含めた一部が学習院大学の東洋文化研究所に移された。

(石原)

 

参考

  • 劉豊「葉時『礼経会元』与宋代儒学的発展」『中国哲学史』  2012年02期
(表紙)

(表紙)