講義について

一般的なこと

(5/12/1999)
物理学は、幸運にも素晴らしい発展を遂げた学問だが、未だに完成にはほど遠い。 現実の自然界の複雑さを目の当たりにすれば、世界の様々な出来事から普遍的な本質を抽出しそれらを可能な範囲で論理的に記述しようとする物理学の営みは、まだ始まったばかりだといってよいかもしれない。 私自身も、非常に自由度の多い物理系の示す様々な面白い物理現象を理論的に解明することを主な目標にして、人類全体を少しでも賢くすべく、日夜必死で研究を続けている。

学部の講義では、長い間、専門の統計物理学を担当している。 他に、去年からは、熱力学、今年からは、解析力学を教えている。 言うまでもなく、最先端の研究と学部で教えるトピックとはかなり隔たっている。 しかし、物理学の研究を行っている我々が教育に携わる以上、物理学が現在も発展を続けている学問であるという事実を反映した講義をしようと心がけている。

熱力学(第2学年)

(5/12/1999)
百年間の間に方法が確立して古びてしまった熱力学の教育を革命するという超・大それた目標で始まった講義。 全く新しい構想に基づいた教科書の草稿を全員に配って 講義をする予定。 とにかく、こちらはものすごい気合いでやっているので、 どんどん色々な注文を付けて欲しい。

統計物理学(第3学年)

(10/30/97)
先日、「十年後をめどに、決定版的な統計物理学の教科書を書く!」と宣言した。 いったい、いつを起点に十年をはかるのかもよくわかってはいないが、現在の講義は、決定版に向けての試みと磨き上げのプロセスである。 講義を受けているみなさんからの様々な意見を大切したい。

解析力学(第 2 学年)

(5/12/1999)
前半は、剛体の力学。 ジターリングの力学もやった。 その後は、いよいよ変分原理によって物理を見るという新しい視点の導入。

英語による発表と討論の実践

(5/12/1999)
二年前に行った 大学院の講義で「英語による発表と討論の実践」を今年もやります。 基本的には、Feynman の力学の教科書の輪講なのだけれど、発表も、私のつっこみも、学生どうしの質問も全て英語で行う。 外国人相手のセミナー、国際会議での発表、あるいはもっと一般に英語で他人に何かを伝える機会があったときの心構えをしようという企画。 学部生も顔を出してくれれば歓迎する。(英語で。)
田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

hal.tasaki@gakushuin.ac.jp