高等科 化学

教育目標

  • 物質の変化に伴う現象を、ミクロに、そして客観的に捉えられる素養を養う。
  • 周囲と議論しながら自己の認識を深める経験を積み、議論や、発表のスキルを高める。
  • 実験を通して操作や、塩梅を身に着けるともに、協力して取り組むことのすばらしさを味わう。

必修

高1
1学期 物質の構成と化学結合 周期表の見方を軸に、元素同士の性質の違いを連続的に捉えられることを目指す。物性のデータからグラフや、模型を作成することなどを通して、そこから読み取れることを議論し、法則性を導き出す経験をする。
2学期 物質量と化学反応式 日常の量の扱い方から、モルの本質的な意義に導入していくことで、モルが化学に限定的で難解な概念ではないことを理解する。化学反応式についても化学と離れた状況から考え、自然に扱えるようになることを目標として進める。
3学期 酸と塩基の反応 なぜ水素イオンが酸として特殊に扱われるのかという点に迫ることで、その本当の意義を理解する。pHを調整する実験から物質量の演習を行うとともに、実験結果からpHの意味に自ら気が付くことを目指す。それらを通して酸性・中性・塩基性という3つの性質の連続性を理解する。

選択

高2・高3(化学1)
1学期 酸化還元反応
電池と電気分解
化学反応式には現れない電子の受け渡しについて、ロールプレイングをすることで理解を深めていく。酸化数の変化により物質の物性が全く異なるものになることを理解する。半反応式についても取り扱い、その延長としての電池・電気分解を取り扱う。
2学期 無機化学
熱化学
見た目の似ている金属を見分けるという課題から、高校の教科書では扱わないようなイオン反応・錯体も扱い、楽しむ。非金属の化学は元素の環境循環や、生理活性など幅広い視点から学ぶ。熱化学は自発的な反応の進行とエントロピーについても言及する。
3学期 有機化学 立体化学など、有機化学に特有な考え方について分子模型を使いながら理解するとともに、見慣れない「水ではない液体」の物性を体感する。教科書にはないような物質を扱った官能基変換で有機合成がいかに大きな有用性を持っているかを実感する。
高3(化学2)
1学期 高分子化合物
物質の状態と平衡
高分子化合物の物性や、その製品に注目してそれぞれの違いを認識する。気体、水溶液、性質についてコンピューターシミュレーションを行ったり、パソコンのデータログ機能で大量のデータを取ったりすることで理解を深める。固体についてはアナログな模型を用いながら3次元的な構造についての理解を目指す。
2学期 反応の速さとしくみ
化学平衡
過酸化水素の分解反応の測定について正確に行うための方法を議論する。その操作、グラフの書き方による客観的な捉え方、実験誤差の裏にある本質的な問題などについて考える。その延長としての化学平衡は、pHの測定などを通して授業の内容を裏付ける。
3学期 発展的学習 その年の選択者の人数によるが、鈴木 - 宮浦カップリング反応を用いて、初期の液晶である5CB を合成する。これまで学習した有機化学や周期表の知識を使い、合成法の有用性について理解する。カラムクロマトグラフィーによる精製を行い、1 ピクセルの液晶素子を作ることを目標とする。
別の課題として、トイレットペーパーの芯を用いて自作の旋光計を作製し、一次の反応速度を計測して議論する年もある。
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