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ドイツのコーポレート・ガバナンス・スコアリング
小山 明宏
1.コーポレート・ガバナンス・スコアリングについて1
1.1 スタンダード・アンド・プア−ズによるコーポレート・ガバナンス・スコアリング
アメリカの格付け会社,スタンダード・アンド・プア−ズは,2002年以来,企業の依頼によって,コーポレート・ガバナンス・スコアを提供している。これは,コーポレート・ガバナンスのスコアリングの試みとして,最も初期からの,そして注目される試みである。
スタンダ−ド・アンド・プアーズのコーポレート・ガバナンス・サービスの手法では,企業の経営,取締役会,株主とその他財務的利害関係者間の相関関係について分析を行う。スタンダード・アンド・プア−ズのコーポレート・ガバナンス・サービスでは,以下に述べる4つの要素に基づくガバナンスの包括的な基準について評価を行っている。
1 株主構成
2 財務的利害関係者との関係
3 財務の透明性と情報開示
4 取締役会の構成とプロセス
1.2 コーポレート・ガバナンス・スコアの規準と定義
スタンダード・アンド・プア—ズは,コーポレート・ガバナンス基準のための評価手法を開発した。この手法の開発は,1998年より行われており,多くの国際機関およびコーポレート・ガバナンスの専門家によって提案されたコーポレート・ガバナンスを実践する上での原則を統合したものである。その定義は次の通りである。
「コーポレート・ガバナンス・スコアは,優れたコーポレート・ガバナンス・プラクティスの規約および指針を現時点で企業がどの程度まで採用し,遵守しているかに関するスタンダード・アンド・プアーズの見解である」。
コーポレート・ガバナンス・サービスの見解において,企業がどの程度までコーポレート・ガバナンスのベストプラクティスの規約および指針に適応しているかは,「CGS—1」(最低)から「CGS—10」(最高)までのコーポレート・ガバナンス・スコア(CGS)によって表わされる。当初はこのスコアは,更に小数点以下第1位までの数字で表されていたが,現在では一般的なクレディット・レーティングにならってか,+,フラット,−の3記号をこれらの数字【296頁】に付加して使用されている。
さらに,これらのスコアは,下記の4つの要素の詳細な内訳を検討した結采,それぞれ与えられ,それぞれが総合的なCGSの要素となる。
1 株主構成
株式所有者の透明性
株式所有の集中および影響
2 財務的利害関係者との関係
株主総会の規定の容易さ,アクセスの容易さおよび情報開示
議決および株主総会の手続き
所有権(所有権の登録と譲渡および公平性)
3 財務の透明性と情報開示
情報開示の質と内容
開示のタイミングと開示情報へのアクセス
監査法人の独立性および地位
4 取締役会の構成とプロセス
取締役会の構成およびプロセス
取締役会の役割および有効性
社外取締役の役割および独立性
取締役および経営陣の報酬,評価および承継方針
このようなスコアリングを用いて,コーポレート・ガバナンス・エバリュエーションが行われる。スタンダード・アンド・プアーズのコ−ポレート・ガバナンス・エバリュエーションは,コーポレート・ガバナンスにおける強みと弱みを明らかにしたいと希望する企業に対して行われる非公開の診断サービスである。また,このサービスは,企業が既存の基準を,コーポレート・ガバナンスの,実践のためのガイドラインをベンチマークとして比較対照させる一助ともなるであろう。投資家の要望があれば,特定の企業に対してカスタマイズした調査を非公開に実施することも可能である。
2.ドイツ企業のコーポレート・ガバナンスのスコアリング
2.1 ドイツにおける「コーポレート・ガバナンス」という用語の意味・解釈
ドイツでは,コーポレート・ガバナンスという用語は「企業における,請求権者グループ(ステークホルダー)すべての間に,最適な利益の配分調整を行うことを確保するための指揮およびコントロールする組織のことである(Peter Witt
[2000, Zeitschrift, Führung und Organisation])」2というものが大方の解釈となっている。これは,我が国におけるコーポレート・ガバナンスという用語に関する実に幅広く多様な解釈と比較すると3,誠にシンプルなものと思【297頁】われる。
そして,我が国のコーポレート・ガバナンス論との,もうひとつの大きな違いは,ドイツでのコーポレート・ガバナンス論では,「良いコーポレート・ガバナンス・システムとは何か」という議論の対象が,一足飛びに「監督役会(Aufsichtsrat)の『質』」,すなわち「すぐれた監督役会(qualifizierter
Aufsichtsrat)」とは何か,という考察が中心になってしまうことである。こうして,コーポレート・ガバナンスのスコアリングという議論でも,ドイツのそれは「監督役会の質の計測(Qualitätsmessung
von Aufsichtsräten, quality measurement of Aufsichtsrat)」という問題意識が,まずやってくることになる。そして,以下に述べるWolfgang
Bernhardt (Universität Leipzig) らによる,,Die Corporate Governance-Scorecard’ の試みは,ドイツにおける典型的なコーポレート・ガバナンス論を中心に,ドイツなりのくふうを加えたものとして注目できる。
次に,ドイツにおけるコーポレート・ガバナンス原則についてであるが,このDVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコアリング初版に関しては留意点がある。すなわち,DVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコアが初めて公表されたとき,結果として「コーポレート・ガバナンス原則」にあたるものは4つ存在していたからである。それは次の4つである。4
@政府バウムス委員会によるもの
Aフランクフルト・グループによるもの
Bベルリン・グループによるもの
C政府クロメ委員会によるもの
この中でDVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコアリング初版が準拠しているのは,C政府クロメ委員会によるもの,である。
2.2 ドイツ企業に関するコーポレート・ガバナンスのDVFAによるスコアリング
2.2.1 DVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコア(初版)
DVFA(Deutsche Vereinigung für Finanzanalyse und
Anlageberatung,ドイツ財務分析・投資顧問連合5)は,スコアカードの開発によって個別企業のコーポレート・ガバナンスの良し悪しを具体化することを試みた。DVFAのコーポレート・ガバナンス・ワーキンググループは,このスコアカードをDVFA標準評価法として取引所に上場の企業のコーポレート・ガバナンス実務のために開発したものである。多くの作業と時間を節約する,このようなスコアカードの利用は,企業評価というますます重要となる分野において,企業の具体的な分析を支援するものとなる。
Wolfgang Bernhardt [2000] に基づく,,Die Corporate Governance-Scorecard’ の概要は,次の通りである。6
《目的》
コーポレート・ガバナンスは財務分析や投資の専門家にとって,現代の企業分析のための重【298頁】要な分析用具であり,従来の評価手続きに不足するところを補ってくれる。
コーポレート・ガバナンスでは意思決定に関する様々な委員会の専門的能力,コミュニケーション,コントロールなどを考察する。これらの「ソフトファクター」は企業の評価にあたり,非物質的な生産要素としてますます,重要な意味を持つこととなっている。
,Die Corporate Governance-Scorecard’ は,アナリスト,投資家,企業に,これらのファクターの評価のための,実務に耐える分析用具である。
《法的基礎》
執行役会(Vorstand),監督役会(Aufsichtsrat),株主の間の権限の分配については,多くの法律(たとえばGesetz zur
Kontrolle und Transparenz im Unternehmensbereich v.27.4.1998, KonTraGやKapitalaufnahmeerleichterungsgesetz, KapAEGなど,及びÜbernahmegesetzやFinanzmarktförderungsgesetzなど)の対象となっている。これらの株式・資本市場関係の法律の包括的な規制によって,実質的な,国際的に認知されたコーポレート・ガバナンス原則は基本的に考慮されている。
《資本をめぐるグローバルな競争には国際的なスタンダードが必要》
グローバル化とリスク資本をめぐる国際的な競争の激化によって,コーポレート・ガバナンス・システムの調和化へと進む。投資家はより良い投資パフォーマンスを求めて,企業に対して,注文(要求)の多いコーポレート・ガバナンス原則への転換を望んでいる。
《ドイツのコーポレート・ガバナンス原則》
こうして,資本市場を指向した企業は,もし資本をめぐる競争に耐えることを望むなら,法的な義務を上回る,注文(要求)の多いコーポレート・ガバナンス原則を満たさなければならない。実務に耐える,国際的に見て当該国に特有な原則への転換が不可欠である。このような課題はドイツでは「コーポレート・ガバナンス原則委員会(Grundsatzkomission
CG),前述のフランクフルト・グループ」が引き受けた。彼らは ,Code of
Best Practice’ の中で,価値創造をめざした責任ある企業経営,コンツェルン経営の実現に資する原則を起草している。DVFAによる ,Die Corporate
Governance-Scorecard’ のサンプル(初版)を巻末資料1で示す。これは2000年6月にベルリン,フンボルト大学で開かれたドイツ経営学会第62回大会での資料による。そしてこれは,DVFAが作成したコーポレート・ガバナンス・スコアの初版となった。この時点でDVFAスコアが依拠しているコーポレート・ガバナンス原則は,DCG-Kodex(政府クロメ委員会)によるものであった。DVFAのスコアの算出方法の構成項目と配点(2000年初版)は次のように要約される:
コーポレート・ガバナンスへのコミットメント(15%)
株主の権利の保護(20%)
透明性(20%)
企業の管理体制(30%)
監査(15%)
この初版を公表したとき,DVFAはこの採点表を当該企業に配布し,自らの採点を依頼している。そしてその一方で,外部のアナリストによる採点も行い,その二つを一覧表にして掲げている。これは大変興味深く,そのズレに注目すべきである。
対象はDAX
30-Unternehmenの12社およびMDAX-Unternehmenの14社。このうちDAX100社(DAX 100-Unternehmen)のうちの26社の自己採点と外部採点の結果が別図の通りに示される。【299頁】第1図はX軸方向に企業番号,Y軸方向にスコアが記されている。このスコアは当該企業による自己採点のスコア(Selbstvaluation)である。第2図が,外部分析によるスコアリング(赤い柱)をも併記したグラフで,自己採点スコアリング(青い柱)と対比して観察することができる。
表1は,第2図におけるスコアの分布を要約したものである。自己評価(Selbst)の列の最大値は86,最小値は55であった。これに対し,外部分析者によるスコア(Extern)列の最大値は55,最小値は28である。Prozent1の列は,「外部分析者によるスコア(Extern)/自己評価(Selbst)」で,外部の客観的なアナリストによる評価が,内部分析によるスコアリングに対してどのくらいに当たるのかが,これによって理解できる。その最大値は77%,最小値にいたっては36%である。外部評価は内部評価のせいぜい半分程度(53%)であることがわかる。これに対し,Prozent2の列は,Prozent1の列の逆,すなわち,「自己評価(Selbst)/外部分析者によるスコア(Extern)」で,指標としては,自己評価がどの程度,「過大」評価になっているかを表すこととなる。その最大値が2.79,最小値でも1.30で,平均的には2倍程度の過大評価(1.93)となっていることがわかる。最後に自己評価(Selbst)と外部分析者によるスコア(Extern)の差違(Unterschied)の列を見ると,平均は35.7であるが,最大値が52で,自己評【300頁】価(Selbst)が81のところ,外部分析者によるスコア(Extern)が29というケースが見られる。このような過大評価の傾向は,自己評価の場合には内部データもその評価に生かされているという指摘も間違いではないであろうが,一般的に見て,アンケートなどによるコーポレート・ガバナンス・スコアリングが,非常にバイアスのかかったデータとなることを如実に表す典型的な証左であるということができる。
DVFAスコアの分布,すなわちDAX100社(DAX 100-Unternehmen)の結果が第3図の通りに示される。このスコアは,図の表記にもあるとおり,一般投資家が外部分析者の立場から,DVFAスコアリングカードの採点基準にしたがって採点した得点結果をDAXナンバーの順に【301頁】並べたものである。
このグラフから得られるインプリケーションはいくつかある。まず,ここに挙がっている企業のDVFAスコアが持つ意味を検討することができる。すなわち,これらは,内部情報を持たない外部の,これらの企業に興味を持った投資家たちによるスコアリングであることから,アンケートなどによる主観が入ったスコアとは異なるものと言える。すなわち,ここでのスコアは,そのまま,コーポレート・ガバナンスの良し悪しという尺度を経由した,市場(投資家)によるダイレクトな企業評価にあたっていると考えることができる。これにより予想されるのは,各当該企業の,たとえば収益性指標とこのスコアとの有意な対応関係である。この,2000年時点でのDAX100社に関する統計的な分析は,時間をかけて準備するところである。7
次に,これらのスコアの内訳に関する検討である。すなわち,これら100社については,あらゆる産業からの企業がピックアップされており,企業ごとの様々な特性と,このスコアとの関連が検討可能であり,また必要であろう。
2.2.2 DVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコアリングの2004年版
2005年7月〜8月に行われた,NPOフェアレーティングの調査旅行で,旧フランクフルト証券取引所内の事務所において,DVFA関係者にインタビューを行うことができた。この時の資料と,その後の調査により,DVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコアリングの最新版に関する情報を得ることができた。
それによると,まずDVFAは現在,最新版のコーポレート・ガバナンス・スコアリング・シ【302頁】ステムを公表しており,その開発チームの主査の役割は,アレクサンダー・バッセン教授(ハンブルグ大学)が務めている。初版の開発にあたった前述のヴォルフガング・ベルンハルト教授(ライプツィヒ大学)らは,すでにメンバーからは完全に抜けており,現在の担当者・開発チームとはすでに交流もないという8。この点については別に,他の方法で補填する必要があるが,DVFA最新版コーポレート・ガバナンス・スコアリングに関しては,2006年10月より,ハンブルグ大学において,次段階の研究をバッセン&小山が行うことになっている。
次ページのスコアカードはDVFAコーポレート・ガバナンス・スコアリング2002年版のものだが,その末尾の ‘Scorecard for
German Corporate Governance’ のスコアリング・フローチャートは現在も利用される共通の概念である。巻末資料2のスコアリング・カード(2004年版)と同一であり,この考察がDVFAコーポレート・ガバナンス・スコアリングの全貌を明らかにしてくれる。その計算の手続きは8つの段階にわたる。
@株主と株主総会(ウェイト 12%)
インターネットを利用した株主総会への参加が可能か,株主総会に関する情報がアクセス可能か,増資など重要な意思決定にあたり既存株主は優先権を与えられているか,などが高いウェイトが与えられている。
A透明性(ウェイト 20%)
株主,一般投資家,ファイナンシャルアナリストは,インターネットを経由して平等かつ十分な情報を,また英語で獲得できるか,などが高いウェイトが与えられている。
B会計状況と決算監査(ウェイト 18%)
監査機関の選択にあたり,独立性の基準は重視されているか,監督役会は会計監査にあたって監査機関への報酬を十分な額に設定しているか,などが高いウェイトが与えられている。
Cコーポレート・ガバナンスへのコミットメント(ウェイト 10%)
当該企業はドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードに基づき,独自のコーポレート・ガバナンス原則を持っているか,コーポレート・ガバナンスを担当する役員は十分に中立で,その報告書が監督役会で定期的に議論されているか,などが高いウェイトが与えられている。
D執行役会と監督役会との協働状況(ウェイト 15%)
買収がかけられたとき,株主総会は招集されるか,共同決定企業の監督役会での株主代表と従業員代表は,監督役会開催前にその準備のために別個ミーティングを持っているか,などが高いウェイトが与えられている。
E執行役会(ウェイト 10%)
執行役会が自らの活動が依って立つために特にビジネス原則,会社の政策ガイドラインや行動規範を出しているか,執行役会の報酬は変動部分,固定部分について個別かつ独立に公表されているか,などが高いウェイトが与えられている。
F監督役会(ウェイト 15%)
監督役会メンバーの能力を保証するための基準ははっきり定義されているか,監督役会が複雑な問題を処理できるように十分な数の委員会を持っているか,会計監査委員会はあるか,などが高いウェイトが与えられている。
【303頁】Gトータル・スコア
以上の7つの項目について採点ののち,次ページの最終フローチャート(Scorecard for
German Corporate Governance, Ergebnisübersicht und Gesamtscore, ドイツ・コーポレート・ガバナンス・スコアカード,結果の全体像と総得点)にしたがってトータル・スコアが計算される。このスコアリング・システムはEXCELを利用したものであり,前記7項目について,採点者がスコアを入力すると,個別得点表の数値が,各セルに連動して次のシートに作ってあるトータル・スコア表の必要部分に,ハイパーリンクで即座にインプットされることになっている。そして,その結果は次のように判定される。
<コーポレート・ガバナンス・スコアの判定>
非常に良い(90−100%) 当該企業はドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードに良くしたがい,国際的なベスト・プラクティスの標準を遵守している
良い(80−89%) 当該企業はドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードにしたがい,良いガバナンスへのコミットメントを示している
まずます(70−79%) 当該企業はドイツ・コーポレート・ガバナンス・コードから乖離しており,活発なガバナンスへのコミットメントを示していない
【304頁】
【308頁】
以下,続く
2.2.3 DVFAによるコーポレート・ガバナンス・スコアリングの2005年版(最新版)
《参考文献》
Bassen, A., Kleinschmidt, M., Prigge, S. &
Zöllner, C., Corporate Governance und Unternehmenserfolg --- Empirische Befunde
zur Wirkung des Deutschen Corporate Governance Kodex, Working Paper Finance,
Universität Hamburg 2005
Bassen, A., Pupke, D., & Zöllner, C., Corporate
Governance Rating auf Basis der DVFA-Scorecard, Working Paper Finance,
Universität Hamburg 2006
Bernhardt, W., Qualitätsmessung von Aufsichtsräten,
in:Tagungsbeitrag der Jahrestagung 2000, Verband der Hochschullehrer für
Betriebswirtschaft, Humbolt Universität zu
DVFA, Rating Standards, 2004
小山明宏・篠崎 隆,意思決定構造と企業パフォーマンス,日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム,パフォーマンス研究会編,『コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス---変わりつつある日本企業のガバナンス』pp.39-89. 所収 白桃書房 2001.6
Koyama, A., Corporate Governance der japanischen
Unternehmen im großen Wandel-----Eine theoretische und empirische Analyse des
Zusammenhangs zwischen Governancestil und Unternehmensperformance-----,
Manuskript zur Jahrestagung des Verbandes der Hochschullehrer für
Betriebswirtschaft, Universität Zürich Juni 2003.
松田健「ドイツにおけるコーポレート・ガバナンス改革」,日本経営学会第76回大会(2002. 9.6)発表資料
日本コーポレート・ガバナンス・フォーラム,パフォーマンス研究会編,『コーポレート・ガバナンスと企業パフォーマンス---変わりつつある日本企業のガバナンス』白桃書房 2001.6
NPOフェアレーティング,ホームページ http://WWW.fair-rating.jp
Witt, P., Corporate Governance im Wandel,
in:Zeitschrift, Führung und Organisation, Heft 3. 2002
☆本号は,2006年3月に逝去された,田島義博先生の追悼号である。田島先生は筆者(小山)にとっては一橋大学の先輩であられ,筆者がドイツ企業の研究を主テーマとするにあたって,お世話になった方である。筆者は1989年3月から1991年3月までドイツでの初の長期滞在をしたが,その前段階では,田島先生のご紹介で,先生が以前1年間滞在されたザールランド大学(ザールランド州,ザールブリュッケン)の旧友,ブルーノ・ティーツ教授(マーケティング)と交流を持った。結果として筆者はザールランド大学ではなく,ザールブリュッケンから電車で30分の,すぐ隣の州,ラインランド・プァルツ州トリアー市のトリアー大学に客員教授として滞在することとなったが,ドイツでの研究にあたり,田島先生には,最初の情報を得るチャンスを与えていただいたことに,心から感謝している。ティーツ教授はその後,自家用機を操縦中に事故死されたが,その著作である
,Binnenmarktmarketing’ ほかは今も現役である。2度目のドイツ長期滞在となった1995年のバイロイト大学経営経済学部教授としての筆者の勤務時には,田島先生は7月に当地のバイロイト音楽祭鑑賞に日本からいらして,ワーグナーの祝祭劇場でニーベルングの指輪全曲・4夜を観劇された。当時家族とミュンヘンに住んでいた筆【309頁】者は御一緒に観劇することはできなかったが,田島先生はドイツとは縁の深かった先生であることを記し,心からご冥福をお祈りするものである。
【310頁】
巻末資料1
DVFAドイツ・コーポレート・ガバナンス・スコアカード(初版,2000年)
【314頁】
巻末資料2
DVFAドイツ・コーポレート・ガバナンス・スコアカード(2004年版)