【47頁】
電力会社の小売市場戦略(2)
——現状と展望——
巽 直樹
1. はじめに
2. マーケティング視点からの考察
2.1 マーケティング定義の変遷
2.2 マーケティングとセールス
2.3 電力マーケティングのビッグピクチャー
3. 小売市場戦略の現状
3.1 自由化の現状と市場構造
3.2 自由化市場の状況
3.3 オール電化戦略(以上,前号)
前章において国内の小売電力市場の状況を断片的に観察してきたが,このように本邦電力会社のマーケティングは途についたばかりである。つまり,統合的なマーケティングが行なわれているというような段階にはなく,部分的に試行錯誤を繰り返しているといって良い状態にある。
そこで本章では海外電力会社におけるマーケティング戦略の事例を取り上げる。海外の小売市場はもともと卸市場とのリンクが強い市場もあり,そのような市場環境では必然的にバリューチェーン上の下流である小売市場の洗練度は増しているはずである。しかしながら,電力市場のようなローカルマーケットには,金融のようにワールドワードにシームレスな市場構造を構築することは不可能であり,地域ごとの電源構成や地理的条件などによって,特色ある市場を構成する。よって,普遍的な問題として扱うには課題も多いことから,電力市場のグローバル・スタンダー【47頁】ドというものはなかなか成立しない。つまり,ある地域の成功事例を取り出してきて,諸条件の異なる日本の市場のありようを批評することには最初から限界があるのである。
このようなことを前提としつつも,小売電力市場においてはマーケティングやサービス・マネジメントの課題など,基本的な部分では共通点も多く,また卸電力市場をバックにしたデリバティブ商品販売といった先進的な部分でも,参考となる点があるのは事実である。よって,今後の電力市場の変革次第では,海外の小売電力市場のケースを研究しておくことは,国内の小売市場戦略を検討する上でも,十分な意義が見出せると考えられる。
ここではフィンランドのフォータムとフランスのEDFのケースを取り扱う。理由としては前者が北欧のノルドプールという,世界の中でももっとも電力改革が成功しているといわれる地域市場の,特徴ある電力会社だからである。後者については,EU内でも電力自由化に保守的なフランスは完全自由化自体が2007年であるが,最大の電気事業者であるEDFは2004年11月,それまでの電力公社から株式会社化され,さらに翌2005年11月に一部の株式を上場することで部分民営化された電力会社である。
日本では欧州のような電力市場の実現性について,今後の制度改革の方向性が不透明であることから断定ができないのが現実であるが,少なくとも電力会社の小売戦略のさまざまなオプションを検討する際には,これらの国々の事例は参考になるのではなかろうか。
フィンランドは世界的な成功を収めたノキアやリナックスなどの先端企業が有名であるが,これらを輩出した背景には,政府が規制改革を上手く成し遂げ,イノベーティブな情報社会と安定した福祉国家の両立を実現し,独自のフィンランド・モデル構築を果たした経済環境にあるといわれている。その規制改革はインフラストラクチャーにもおよび,規制撤廃と公的インフラストラクチャーの供給と促進における効果的な政府の役割との組み合わせがインフラストラクチャーの成長を刺激し,その水準低下を防いだとされる1。
そのフィンランドにおける最大手の電力会社がフォータムFortumである2。同社は英紙フィナンシャル・タイムズによる「欧州企業150社のウェブランキング2005」で堂々の3位となり3,財務の透明性でも資本市場から高い評価を受けるエクセレント・カンパニーである4。
電力市場としての北欧には,ノルドプールNordpool5とういうノルウェーにある電力取引所【49頁】が相対取引併用6の卸電力市場を形成し,スウェーデン,デンマークとともにフィンランドも参加している。そのような中でのフォータムの産業用市場と家庭用市場における顧客戦略を以下に見て行く。
4.1.1 産業用市場(B to B 市場)
フォータムの産業用市場は北欧市場における年間消費電力300MWh以上の顧客を対象としており,私企業と公共セクターの両方が対象となっている。また,11業種の産業セクターごとに,年間消費電力規模により異なる4つの顧客セグメントに分け,合計で44の顧客セグメントに対して,カスタマイズされたサービスを提供している。これらの産業用顧客向けにオファーされている基本的な商品メニューが表−1である7。
ここでは代表的なもののみを取り上げているが,サービス内容を見てもわかるとおり,さながら金融機関における投資アドバイザリー業務のようである。契約についてはこれらのメニューを基本としつつ,顧客ごとのニーズに合わせてサービス内容をカスタマイズしているとのことである。具体的には,料金設定の内容等が顧客ごとに異なるのは当然のこと,リスク分析やポートフォリオ・マネジメント,市場情報・分析,教育訓練などのサービス内容についても顧客の要望に柔軟に応えている8。
また,フォータムでは自社の収益にもっとも貢献する大口顧客に対するロイヤルティ・プログラムとして「フォータム・ビジネスクラブ」という顧客グループを組織している9。これら【50頁】の顧客には,電力市場の動向などを掲載した特別なレポートを定期的に送付するなど,さまざまな特典を用意している10。
図−1はフォータムにとっての顧客との関係性価値(縦軸)と,フォータムに何を求めているかの要望タイプ(横軸)によって区分された各顧客ゾーンに対し,どの領域にフォータムが集中しているかを表したイメージ図である。これを見てもわかるとおり,キー顧客層などの収益性の高い顧客には何を求められてもケアすることになっているが,右下のゾーンについては将来のケア対象としており,通常顧客層についてはサイレントな顧客ほど歓迎されることが見て取れる。もちろん,このような対応は競争市場のいずれの業界でも常識的な問題であろうが,電力会社のような公益事業においてもこのような現象が見られることは,自由化のなせる業といわざるを得ない。
一方,商品開発戦略においては,@競争力ある差別化,A健全なビジネス,B電力産業への信用,といった諸要因を重視し,商品特性に反映させているとしている。また,「われわれは,コモディティには成し得ない真の顧客価値と顧客ロイヤルティを創造するソリューション・オリエンテッドな価値を提供している」と強調し,その証左として,顧客インサイトに基づき価値を検討していることや,環境配慮の問題についても顧客に魅力ある価値提供を行ない,それらを通して,高い顧客満足と長期間の関係性を重視した付加価値の高いソリューションを提供しているとしている11。
【51頁】
4.1.2 家庭用市場(B to C 市場)
家庭用市場をみると,ここでもフォータムはすでに北欧各国に進出し,さまざまな料金メニューを展開している。表−2はフォータムが2004年に家庭用顧客向けに再編した料金メニューである12。たとえば,スウェーデンではノルドプールでの価格変動に関わらず,固定した料率で料金請求がなされる固定料金を充実させ,ノルウェーでは家庭用顧客向けにポートフォリオ・マネジメント・サービスを導入するなど,国ごとに商品設計を変えるきめ細かい対応を行なっている。
フィンランドでは1997年1月に電力市場における全面自由化が開始されたが,本格的な競争開始は,1998年11月に供給事業者を変更する際に課される1時間メーターの設置義務が撤廃されてからである。そして,競争市場開始から8年が経過し,顧客側も自由化市場におけるさまざまな経験や学習を蓄積していることから,電力会社に対して多くの要望を持っている。また,基本的には既存事業者に対してロイヤルな顧客が多い中,潜在的にはスイッチング願望も併せ持っているといわれている。
2004年のメニュー再編後,フォータムは自国内での商品メニューについても充実を図っており,2006年3月時点では表−3にある3つのメニューが家庭用市場では基本となっている。2004年にノルウェー・スウェーデン市場では既に導入済みであるが,ここではノルドプールでのスポット価格連動料金メニューにポートフォリオ・マネージャーのアドバイスを受けるこ【52頁】とが可能なサービスを組み合わせたFortum Tarkkaが新たに加わっている。
いままで見て来た通り,従来からの燃料費等の変動費部分の上下により変動する以外は,基本的には固定レートが当たり前であった家庭用電気料金メニューにまで,金融商品のような派生的料金メニューを設計することが可能となったのである。これにはやはり,背後に控えるノルドプールという卸電力市場の存在が大きな意味を持っていると考えられる13。
4.1.3 さまざまなマーケティング戦略
フォータムではこれまで見て来たような電気料金関連サービスに向けたマーケティング戦略以外にも,さまざまなマーケティングの手法を用いて顧客サービスを充実させている。また,「新規顧客獲得」と「既存顧客維持」に対してバランス良く取り組み,低コストで効果の高いマーケティング手法が取られている14。具体的には表−4の通りであるが,「新規顧客獲得」に向けてはテレ・マーケティングが中心となっている。また,「既存顧客維持」に関しては,郵送物を差別することなどを見てもあきらかなように,セグメント別に異なる顧客対応を行なっている15。
【53頁】
また,フォータムでは顧客からの信頼を得るという視点からPRについても戦略的に取り扱う対象とみなしている。さらに,これらすべてのマーケティング戦略と効果的に組み合わせることにより,顧客の維持・獲得という1つの大きな目的のために,統合型のマーケティング戦略を採っている16。
4.1.4 顧客へのコミット
これまで見て来た通り,フォータムが産業用市場,家庭用市場のいずれにおいても,顧客との関係性を重要視していることはあきらかである。この点においては,より明確な事例として,フォータムが顧客からの信頼を獲得するという目的のため,顧客へのコミットメントをあきらかにしていることが挙げられる17。
たとえば,サービス・マネジメントの一環として2004年末に開始した「顧客保証制度」は,検針,請求,停電等の対応の際に,同社が設定した期限までに顧客対応が完了されない場合に,金銭的補償を行なうものであり,この種のサービスの中では北欧において他社に先駆けた取り組みとなっている。
また,北欧の電力会社の間ではポピュラーとなっている顧客オンブズマンであるが18,2004年にスウェーデン市場の電力会社で導入が開始された際,フォータムはその年初に自国フィンランドに最初の顧客オンブズマンを早々と任命している。現在でも,フィンランドの電力業界【54頁】で顧客オンブズマンを設置しているのはフォータムのみである。
スウェーデンのバッテンファルは顧客オンブズマンを社外から任命しているが,フォータムでは顧客オンブズマンを社内から採用しており,本来業務を兼務している。これは社員のほうが業務に精通している点で強みと考えられているからだ。また,役割としては「顧客サービスに関する活動を監視するとともに,顧客の利益を代表し,顧客の手助けになるように行動する」19職務と位置づけられている。実際に,自由な立場で仕事ができ上に,経営層にも直接進言することにより,顧客サービスや商品改善に貢献できるとしている。
4.1.5 北欧市場のインプリケーション
北欧の電力会社は,ノルドプールにおけるマーケット・メカニズムが比較的有効に機能していることから,小売段階で提供するさまざまな商品メニューにおいても金融商品的な発想で開発した商品を豊富に揃えていることがわかった。また,このノルドプールを中心とした洗練されたマーケットが北欧全域に控えていることから,各電力会社のマーケティング戦略についても顧客にさまざまなオプションを提示することが可能となっている。
北欧の電力会社におけるその他の特徴としては,ブランド構築なども長期にわたり戦略的に取り組んでいる点が挙げられる20。さらにCSR活動も熱心で21,非価格面での戦略も重視している22。このような状況は競争を通じて相互に影響を与えながら,各電力会社の戦略そのものを洗練化させたと考えられる。
もちろん,ノルドプールという稀有な市場の存在に依存しているため,他の地域や国がこのシステムを理想とし,市場設計を外形だけ模倣しようとしても,それだけで規制改革の成果が上がるほど問題は容易ではない。特に,商品設計を単純に模倣して小売市場で販売することは,現状ではリスクマネジメント上の問題が大きい。つまり,顧客に提供するリスクヘッジ関連の商品を販売する場合,電力会社が自らのリスクを柔軟にパススルーできる卸市場の存在が不可欠だからである。このような環境にない市場においては,条件が同じになることを待つか,他【55頁】のサービスにおいて優劣を競うしかないであろう。もっとも,後者の点でも北欧市場において参考になる部分が非常に多いことに変わりはない。
1996年に制定されたEU電力指令に従い2000年から部分自由化を進めてきたフランスは日本と同様に70%程度の市場開放率となっている。2003年の改正EU電力指令では2007年7月までに家庭用を含めた全面自由化を実施せねばならず,フランスもこれに従って全面自由化を予定している23。しかしながら,これまでのフランスの電力改革は,周辺の欧州各国と比較すると,かなりのスロー・ペースで進められている。また,自国内の市場は制限したままEDFを完全民営化せず,さらにその国有企業であるEDFが1990年代から他国の民営電力会社を次々と買収するなどして自由化市場に参入するという事態に,反発や批判も多くなされた。
欧州内でのEDFを取り巻く環境はこのような状態であるが,全面自由化される国内市場に対して,EDFの基本的な考え方は以下の通りである。まず,マーケティングの問題は多くの技術的問題を伴う自由化そのものの話とは異なり,自由化後の市場においていかに顧客に選んでもらえるかという問題であると認識している。さらに,フランスでは顧客の省エネ義務が電気事業者に課されているという事情もあり,顧客サービスにおいてはこのような点を考慮した商品開発が進められている。このような特殊な点も含め,マーケティングにおける重要なポイントとして,価格競争以外の顧客サービスで勝負したいと考えているようだ。
4.2.1 業務用市場
フランス国内の小売市場の部分自由化は,2004年7月に家庭用以外のすべての顧客セグメントまで進められ,EDFの顧客離脱率も軒数ベースで3.4%,消費電力量で15%にまで進んでいる。業務用市場での最大のライバル企業はGDF24であり,GDF以外の電源を持たない新規参入者も含め,これらとの競争によりEDFも顧客を失ったが,EDF側では電気とガスの一括供給が可能となっていることから,ガス会社から顧客を獲得しているという。
EDFはエネルギー販売と関連するサービス分野において,顧客にとっての基準(モデル)となる存在になり,顧客の要望に対し,常に身近で経験豊かなアドバイザーが応えるという約束により顧客にアプローチしたいと考えている。そのために開発されたEDF Pro25という業務用顧客向けブランドには,「身近さ」,「経験豊富さ」,「プロフェッショナル性」,「柔軟性」といった価値を顧客に認めて欲しいというEDFの想いも込められている。
なお,業務用顧客のセグメンテーションについては,消費電力量の規模等で5段階に分けられており,主にサービス・マネジエントの視点から提供されるサービスが異なる。さらに,EDFにとっての顧客の価値26という視点から3段階に分け,顧客対応の優先順位や囲い込みに【56頁】対するアプローチを差別化している。さらに,これらの2軸によるマトリクス上で十数種類のセグメントに分け総合的な判断がなされており,ここでコア・ターゲットとなる顧客を選別している。
また,顧客との関係性の視点から,関係(契約)の締結,関係の構築,関係の発達,離脱といった各ステージにおいて,顧客との関係ベース27,サービス28,関係性マーケティング,コミュニケーション,多様なチャネル,の各アプローチ別に,組織がどのように適応して行くかも決めている。そして,これらすべてを通して,顧客にとってEDFに留まることは良い選択であるということを証明し,コア・ターゲットにある価値の高い顧客にコミットするとしている29。
これまで採られてきた以上のような業務用顧客向マーケティング戦略の成果についての評価は,現時点では時期尚早としており,今後もさらに戦略を進化させて行きたいと考えているようである。
4.2.2 家庭用市場
2007年7月の全面自由化により新たに自由化される家庭用市場に向けて,EDFは顧客戦略の策定を進めているところである。ここでは提供される予定の商品とサービスの内容を中心に見て行く。
EDFでは15年ほど前から,顧客の設備におけるエネルギー・マネジメントに積極的に取り組んできたことから,これに関するノウハウや経験が蓄積されており,これが自社の「強み」であると認識している。また,フランスでは2006年に省エネルギー証書制度導入が予定されており,EDFでも顧客がエネルギー消費量を節約する義務を,供給事業者として課されることになる。こうした状況から,EDFはまず,顧客にとってEDFが「電化による暮らしの快適さの基準」となるよう努力し,「快適さと省エネのバランス」のためのソリューションを顧客に提供したいと考えている。
こうした基本的な考え方のもとに,顧客戦略の目的はコアとなるターゲットを設定し,この顧客セグメントを囲い込むことで収益を確保することにある。EDFが家庭用市場でコア・ターゲットになると考えている顧客は,簡単に言うと,消費電力量の多い顧客と,改装や屋内省エネ工事などを自社にオーダーしてくれる顧客である。ここに上述の「強み」が発揮される。また,引越しを行なう顧客は年間300万軒(家庭用市場の10%以上)にも上り,これらの顧客は引越し先において供給事業者をスイッチする機会を持つわけであるが,これはEDFにとって危機と同時にチャンスでもあると捉え,重点的な対応を行なうとしている。このようなサービスを通して,「快適さ」と「省エネ」に関して,顧客がEDFに何でも相談したいと考えてくれるように仕向けるというものである。
このように設定されたコア・ターゲットの顧客を固定客とすることが基本的な顧客戦略であるが,このようなコア顧客を他社に奪われた場合には反撃を行なうこと,ノン・コアの顧客へ【57頁】の対応コストを絞ること,ただし公共サービス30は維持することにより,レピュテーション・リスクを回避し,公益的なブランド価値の維持に努めるということにも言及している。
EDFの具体的なサービスの例は表−5の通りである。たとえば,上述の引越しを行なう顧客に対しては,離脱防止を目的として,転居に伴って発生する他の諸手続きを一括で行なうサービスを提供することや,新たな転居先の家屋診断サポートを行なうことが考えられるとしている(表−5中のB)。他には,電力とガスの同時供給サービス31,顧客の事故や病気等の不意の災害に対して電気料金を負担する保険サービス,週末に料金を割り引くウィークエンド割引,顧客の省エネ工事の際に施工会社などのパートナー企業を紹介するサービスなどが予定されている。
家庭用市場では業務用などの市場に比べてスイッチング比率が低いことは,他の自由化先進地域でも見られる共通現象ではあるが,そのような状況においても,積極的なマーケティング戦略を策定している背景には,コア顧客の囲い込みによる収益の安定化と,収益性の拡大とい【58頁】う狙いがあることが見て取れる。もっとも,他の産業と比較した場合,極めて初歩的なレベルでのサービス・マネジメントである現状では,新規参入者から容易に模倣されるのではないかとの懸念もある。これについては,ある程度の模倣は防ぎようがないとした上で,これまでの経験と実績に基づいたサービスの質や,顧客との関係性強化で差別化を図ることは可能と考えているようである。
なお,EDFのサービス開発においては,ISO14001と9001を導入しているが,サービスのプロセス・マネジメントが行なえるようなものへの応用には活用されていないようである。プロセス・マネジメントを営業のオペレーションに落とし込むには,大規模な組織改革が必要となり,現行の公社時代の体制を引きずったEDFでは組織の再編成が必要となるとのことであった。
また,デリバティブ等を活用した新たな商品開発については,そもそものエネルギー市場の不完全さや,再生可能エネルギー等の政策コストの正確な反映がなされていない現状では否定的な見方を持っている。この点においても,価格競争よりも非価格競争面,つまりこれまで見て来たようなサービスを中心とした競争を中心に据えてゆく強い意志がEDFには感じられる。
ここまで見て来たとおり,同じ欧州の電力会社でも自由化のプロセスや現状が異なるとはいえ,少なくともマーケティング面では確実に歩を進めているといって良い。ここでは先進的な例としてフィンランドのフォータムのケースも取り上げたが,その北欧では2006年に入って電力価格が高騰していることから,電力価格に対して何らかの再規制を求める声も強まっている32。
日本の電力会社にとってのインプリケーションを考えた場合,自由化がもっとも成功した場合には北欧水準のマーケティングが必要となるかもしれない。しかしながら,卸市場の競争機能向上が実現しない場合でも,小売市場の競争においてEDFのようなサービスを中心としたマーケティング戦略は欠かせないであろう。これは,ローカルには地域や歴史により市場構造が大きく影響を受ける電力市場といえども,グローバルには共通のテーマとみなすことが可能であるからだ。卸市場と切り離して考えることはありえないが,小売市場だけが焦点となった場合は,他の産業との大きな相違がなくなるからでもある。
一方で,自由化下のマーケティング戦略といえども,顧客対応に差別化を取り込むことが,公益的課題とは必ずしも折り合わないという矛盾もある。しかし,EDFのように最低限の公共サービス維持といったコミットメントの下では,公益的課題と相反する可能性も低いのではないだろうか。これらについては,マーケティング戦略の一環としても,CSR活動においても,顧客に正確なメッセージを着実に伝えてゆく努力が必要となるであろう。
これまで日本国内での電力会社の小売市場の状況と,海外の電力会社のマーケティング戦略を見てきたが,ここまでの内容を踏まえて,日本の電力会社のマーケティング戦略には,どのような可能性があるのかについて議論する。
まず,EDFの取り組みをみてもあきらかなように,サービス・マネジメントは基本的な問題【59頁】であり,その目的は顧客の囲い込みということになろうが,顧客にロイヤルになってもらうには,顧客との関係性についての十分な考察と,それに基づいた実行プラットフォームの構築が必要となろう。しかしながら,これだけでは他社との差別化はいずれ困難となる。つまり,フォータムのような顧客経験に配慮した,より進化したマーケティングも必要となろう。また,公益事業者としての社会性に配慮したマーケティングという視点も必要になる。本章ではこれらをまとめて議論する。
市場メカニズムというドライビング・フォースは,確かに競争を促進し,それらを通してサービス水準の向上をもたらす。日本でも卸市場が十分に機能せずとも,小売市場のみの競争はあり得るだろう。もちろん,新規参入がなかなか増えない現状で,欧州のような電力市場の実現可能性は現時点では不明であるが,日本の電力市場の制度設計がどのような方向に進もうとも,少なくともガスなどの隣接市場との競争はすでに存在しており,これからも継続する。新規に獲得できる,あるいは既存の奪われる需要がある限りは,顧客指向というドライビング・フォースにより,電力会社が主体的に取り組むことができるマーケティングの形があるはずである。
競争の次元を価格ではなくて非価格面に持ち込みたいのは,電力会社に限らず,いずれの業界においても共通のテーマであると考えられる。そのために,企業は製品やサービス33の品質向上を目指すわけである。
そもそも,公益事業は生活不可欠な用役(サービス)を提供する事業という側面を持つ。電力産業の場合,製造業の側面とサービス業の側面の両方を持ちつつも,マーケティングという視点からは,やはり後者がメインとならざるを得ない。
また,「電気の財の特性」の1つとして「サービス製品」が挙げられるが,電気的な性質における製品の特性としては,これに由来するサービス・クォリティの問題は供給信頼度の問題とほぼイコールである34。よって,製品としての電気の質がサービス・クォリティに影響を及ぼすことは当然ながらも,供給信頼度が十分に高いことを前提として,本稿では顧客へのコンタクト・ポイント(タッチ・ポイント)におけるサービス・クォリティの問題を議論のおもな【60頁】対象としている35。この問題は「真実の瞬間」36というメタファーで説明されることが多いが,「顧客が企業のある部分に触れ,そのサービス・クォリティについて何らかの印象を持つような出来事」のことであり,「真実の瞬間」が管理されないまま放置されると,サービス・クォリティは「ありきたり」なものに陥る37。
電気の供給までのプロセスをハード面のサービスと考えると,営業や配電担当による顧客へのコンタクト時のサービスはソフト面のサービスと考えられる。電力会社の公益的課題においては,従来からのハード面でのサービスが重要視されていたと考えられ,安定供給という使命が達成されれば,これのみにて後は何もしなくても良い,と考えるのは供給側の論理でしかないだろう。これまでの規制下では,前者がおろそかになると当然に規制当局からの介入が入ることから,最優先される課題となっていたことは当然であるが,後者については,そもそもインセンティブ自体がなかったのである。これらは自由化によって発現する競争圧力により,その水準向上が期待されているものでもある。
確かに,供給信頼度維持の問題は重要であるが,現代はいずれの業界においても,基本的なオペレーションに問題がないことは当然視され38,むしろこのレベルで問題が発生すると,社会問題にまで発展しかねない。要するに,基本的なオペレーションが実現されているだけという状態は,統合的なサービス・マネジメントに向けては不十分であるということを意味する39。
さらに言うならば,供給信頼度維持の問題から基本的なオペレーションを遂行することまでにおいては,他社との差別化は実質的に困難である40。電気の場合,ここまでのサービス・クォリティに決定的な差異が生じにくいことから,コンタクト・ポイントとそれ以降の種々のサービス・プロセスにより提供される価値が差別化の源泉となる。本稿で議論しているサービス・マネジメントの問題もこの部分を対象としている41。
【61頁】
よって,問題はむしろ,このようなサービス・マネジメント戦略を採るにあたって,十分な競争圧力にさらされない場合でも,組織がモチベーションを持ち続けるための自律性確保のしくみが必要となることである。特に,顧客へのサービスにおけるインセンティブを欠く場合に,サービス・クォリティが向上するのかという素朴な疑問に対しては,人間の自主性や善意に期待することは限度があることから,組織内に何らかの特別なしくみが必要になると考えられる。たとえば,米国アリゾナ州最大の公益企業であるソルトリバー・プロジェクト42は,概して低い公益事業者の顧客満足度のなかで,際立って高い顧客満足(CS)を実現している43。アリゾナ州の場合,顧客が満足していなくても他へスイッチする状況にはないが,最高の顧客満足を提供することにより,顧客との問題解決における金銭的,人的な種々のコスト効率が改善され,最終的には財務的観点からもソルトリバー・プロジェクトのパフォーマンスに好影響を与えているという44。
さらに,高い顧客満足度は厳しい規制の下に置かれている同社と規制機関との関係をもスムーズにしているという45。余談ではあるが,この規制当局との良好なリレーションシップという問題は,たとえば,米大手電力会社であるアトランタ州のサザン・カンパニー46の「サザンスタイル」47と称するビジネスモデルにも顕著に現れている。このように,規制当局とのリレーションという視点での企業活動が重要視されてきていることは,米国における電力自由化の潮流の中でも注目される点である。
これまで見て来たとおり,顧客満足という財務諸表にない項目のスペックを改善することの便益を理解している企業にとっては,競争圧力などが不十分な場合でも,自律的にサービス・マネジメント等に優れた企業となる可能性があるとういうことである。このようなパフォーマンスが発揮されるしくみを,組織内に確立することを目標とすることは,サービス・マネジメント取り組みの1つのヒントといえるかもしれない。
ここでは,本稿でこれまで検討してきた内容を踏まえて,電力マーケティングが今後どのよ【62頁】うな展望を持ちうるのかについて試論を提示する。
5.2.1 マーケティングの進化と可視化
図−2はもともと,顧客のロイヤルティと離脱という脆弱性の分類軸(横軸)と,収益性の多寡で顧客の価値を評価する分類軸(縦軸)とのマトリクスであったが(Roberts [2005]),電力会社での対応の方向性を検討するべくモディファイしてみた。
ここでは縦軸をRobertsの「儲かる顧客」と「儲からない顧客」という分類をベースにはしているが,現状の電力会社に一律にはフィットしないであろうという考えから,マーケティングのアプローチにより分類することに代替させた。つまり,基本的には収益性の高い顧客にはより進化したマーケティングで対応し(ここでは以降「進化形マーケティング」と呼ぶ),収益性の低い顧客には個別よりもマス・マーケティングで対応し,低コストで可視化したマーケティング(ここでは以降「可視化マーケティング」と呼ぶ)で対応するというものである。「可視化マーケティング」は「進化形マーケティング」で対応する顧客にも,当然ながら基本的な対応としてベースに置かれる問題である。この2つの考え方に明確な定義付けを行なうことは現状では難しいが48,以下での論考を通じてこれらのそれぞれの方向性を浮き彫りにして行く。
「可視化マーケティング」は,EDFのレピュテーション・リスク回避や,ソルトリバー・プロジェクトのサービス・マネジメントで見られた取り組みにヒントを得ているが,従来からの【63頁】原子力や環境問題のPRに加え,電力自由化時代により即した電力会社の事情や,電力産業特有の問題を広く顧客に理解を求めるべく,電力会社のマーケティング・ビッグピクチャーのベース・プロモーションとして捉えるべき課題である。
また,日本の電力の場合,電気の品質が高すぎることがあだになりかねない49。停電報道の電力会社への厳しい批判を見てもわかるとおり,消費者に電気の価値を理解してもらえる絶好のチャンスに,いくら努力していてもアイシン精機のような賞賛50が電力会社には与えられないのである51。このような点からも,PRを戦略的に行なう必要がもとからあったのであるが,今後,燃料電池などが実用化されてくると,顧客側に自己責任能力を高める努力を求めて行くという局面がないともいえない。つまり,電力会社の高い供給信頼度実現による高料金か,顧客の自己防衛とセットの安い電力料金かという議論を顧客に理解してもらうには,電力会社が今から十分に顧客を啓蒙しておく必要があるだろう。
このように「可視化マーケティング」は戦略的PR52やCSRの一部として捉えることも可能であろうが,マーケティングの視点からは,ソーシャル・マーケティングとの関係も検討せねばならない。ソーシャル・マーケティングは従来,企業メセナやフィランソロピー,近年のCSRにつながるコンテクストの中で捉えるべき問題であるが,全社戦略との整合性にもっとも注意を払うべき問題である。つまり,思いつきの寄付行為や形だけのCSRでは経営戦略上,ナンセンスであるからだ。
ソーシャル・マーケティングの研究には基本的に2つの大きな潮流がある。ひとつはマネジリアル・マーケティング体系を政府・地方公共団体などの非営利組織の効率向上を目的として適用するもので,いまひとつは4Pを中核とするマネジリアル・マーケティングに欠けていた企業のマーケティング行動を,社会責任,社会倫理や社会貢献といった社会的視座から問い直すものである53。前者の代表的論者がKotlerであり「非営利組織のマーケティング」として知られている54。それに対し,後者の代表的論者はLazerであるが55,前者に対してこちらは「社会志向のマーケティング」と呼ばれる56。
【64頁】
後者のうち,社会責任の部分の今日的流れがCSR活動などに合流していることはあきらかであるが,CSRはマーケティングだけを対象とするものではないことから,より包括的な概念であり,企業によってはリスクマネジメントすらCSRの構成要素とされる場合もある。よって,「社会志向のマーケティング」をCSRの構成要素の1つとして捉えつつも,マーケティングにおいても1つのツールとしてソーシャル・マーケティング戦略を明確にする必要があるだろう57。
以上見て来たような,可視化すべき種々の問題はビッグピクチャーで示した本質サービスに寄与する部分でもあるが,それに対して表層マーケティングはサービス・マネジメントについてみたとおり,顧客満足の向上やさらなる付加価値を顧客に提供するべき領域である。これらに対応するべき「進化形マーケティング」は表層的であるがゆえに,非本質的かもしれないが,本業を補完する新たなマーケティング,つまり,新たな価値の創造へとつながる活動となる。次項では,このような新しい領域のマーケティングに関する諸概念を整理して議論する。
5.2.2 サステンションとイノベーション
電力が安定供給されていれば,現代の生活の質も安定させることができる。すでに高度成長期の最終段階でマーケティングの質が問題とされ,How muchの時代から How well の時代への転換を図るべく,企業のマーケティングにおいても生活者の「ライフ・クォリティ」向上に貢献する,質の高いマーケティングが要求されていた58。
電力ビジネスにおいては,現代の生活の質を支える(sustain)基本的な部分と,電化生活を通じた生活改革(innovate)の提案を行なわねばならない。このような問題に取り組むためには,新しいマーケティングの視角が必要となろう。ここでは,現時点で日本の電力会社が関係性マーケティングや経験マーケティングといった,他業界の先端的取り組みに追いつくような考え方を展望したい。
近年,顧客のエクスペリエンス59に注目するマーケティングとして,経験マーケティングというアプローチ手法が良く議論される。初期の頃の経験マーケティングは,どちらかというと劇場やホテルでの非日常的な経験など,派手なサービスに焦点が当てられていた。しかし,経験マーケティングの本質は,伝統的なマーケティング手法に対するアンチテーゼであった60。【65頁】そして,本来は何の変哲もないコモディティ61でも,顧客へのサービスや経験といった価値提供の次元にまで引き上げられる,というマーケティング・アプローチの進化形である62。
恩蔵[2006]は新製品の市場参入戦略として,「既存製品のカテゴリーの違い」と顧客の「知覚差異」の大小により,4つの戦略を提案しているが,このいずれの分析軸においても相違が小さい新製品こそ,経験価値戦略を採用することが適していると指摘している(表−6)。このことからもわかるように,コモディティこそが経験価値を重視するべきなのである63。
電力会社における,経験マーケティングにつながると考えられる取り組みを、多少,強引に考えてみると,たとえばオール電化住宅の宿泊体験の実施が挙げられる64,もっとも「電化」というエクスペリエンスはオール電化に始まったわけではなく,これまでの家電製品の歴史を振り返れば,それらの製品が電気の補完財として,新たなエクスペリエンスを顧客に提供してきたことが良くわかる65。
電気という財ができる潜在能力には,これらの補完財と結びついた価値,さらにそれらにより顧客と価値創出が共有されるようなモデルを生み出す可能性を秘めているということだ。よって,サブカテゴリーを上手く創り出せば,カテゴリー価値戦略を取れる可能性もあるだろうし,高速電力線通信66の普及により,品質価値戦略を採用することも可能であるかもしれない。また,このようなサービスの提供は「共同生産者としての顧客」67の存在があって,初めて【66頁】「共創価値」68が実現される。顧客とのコンタクト・ポイントを上手くマネジメントし,新たな価値を創り出す可能性は十分にあると考えられる。
図−3はこれまでの議論を踏まえて,PineUand Gilmore [1999] が提示した「経済価値の進展の最終形態」に,電力ビジネスの持つ特性を加筆したものである。
電力会社が追求するべきマーケティングにおける鍵概念を,サステンションSustentionとイノベーションInnovationの2つに分けて考えると,サステンションの範囲では「公益的課題を自由化下で最大限果たす」ということ,イノベーションの範囲では「公益的であれ,非公益的であれ,新たな価値の提供に挑戦し続ける」という構図になる。
また,サステンションはコモディティ化に抵抗するために「可視化マーケティング」が主たるマーケティング戦略となる。そもそも電力は現状ではコモディティではないという見方もできるが,自由市場が機能すればその限りではない。よって,たとえば基本となるサービス・マネジメントなどは常に進化させる必要があり,これは後者のイノベーションにつながる流れでもある。つまり,サステンションにより左下へ下降する作用を打ち消し,イノベーションにより右上に上昇する作用を創り出すわけである。
【67頁】
かつてサービス・コストは人手がかかり,生産性向上が見込めないという理由で「ボーモルの病」69と揶揄された。サービスは「規模の不経済」があるということが根拠であるが,近年のITの進歩で必ずしもそのような状態にあるわけではない。大半の顧客が電力会社とコンタクトを常時持つわけではないない現実を考えると,インターフェースにおけるシステム化を中心としたイノベーションも不可欠であろう70。
また,そもそものサービス・マネジメントにしても,Thomke [2003] が指摘するようなR&D に基づいた,でたらめでないサービス・マネジメントのプロセスを構築することも必要であろう71。サービスを科学するというテーマに取り組む企業はまだ少ないが,イノベーションという視点からは検討に値する。
公益事業のマーケティングとは何かを突き詰めると,結局,マネジリアル・マーケティングとは少なくとも異なる,といった単純な問題に帰着するだけかもしれない。本稿の帰着点も,ひと言でいえばこれと同じになってしまう。種々の公益事業が規制改革というプロセスを経て,消費者に対してさまざまな価値を提供し始めていることは周知であるが,規制改革により自由に活動できる範囲が増えていることから,マーケティングにおいても選択できるアプローチが増えていることはあきらかだ。これが漠然としており,体系的に捉える手段もこれまでのところは見当たらない。ただし,検討するべきテーマは広範囲に及び,そしてそれが同時に押し寄せている姿は少なくともわかったと思う。
公益事業によっては,電気通信事業などのように過去の公益性の一部を捨て去っても構わないような産業もあり,公益事業全体として体系付けることも困難を伴う。よって,電力産業独自のマーケティング・スタイルは,今後も検討され続けなければならない。
仮に競争の焦点が価格競争になった場合,各事業者の投資意欲が減退することにより,中長期的に供給信頼度を脅かすということは現実の問題であるが,それゆえに非価格面での競争優位性が,より意味を持つのである。よって,非価格面での競争を重視することは,電力会社の「競争圧力からの逃避戦略」では決してなく,主体的かつ長期的な視点により,自社の持続的【68頁】競争優位を確立するための合理的な戦略として選択されなければならないのである。
【謝辞】
本稿作成にあたっては大滝精一先生(東北大学大学院経済学研究科教授)から貴重なコメントをいただきました。また,欧州での調査等は社団法人海外電力調査会欧州事務所(当時)の阿部純氏と共同で行ったものであり,本稿では阿部氏作成の資料も参考にさせていただいています。これらすべてに対し,ここに記して感謝申し上げる次第です。もちろん,本文中に残された誤謬はすべて筆者のものです。
【参考文献】
Albrecht,
K., and R. Zemke [2002], Service Economy
in the New Economy, McGraw-Hill.(和田正春訳[2003],『サービス・マネジメント』,ダイヤモンド社。)
Andreasen,
A. R., and P. Kotler [2002], Strategic
Marketing for Nonprofit Organizations, 6th Edition, Prentice Hall.(井関利明監訳,新日本監査法人公会計本部訳[2005],『非営利組織のマーケティング戦略 第6版』,第一法規。)
Baumol,
W.J. [1967], “Macroeconomics of Unbalanced Growth: The Anatomy of Urban
Crisis,” The American Economic Review,
57-3, pp.415-426.
Carlzon,
Jan [1987], Moments of Truth,
Ballinger Publishing.(堤猶二訳[1990],『真実の瞬間』,ダイヤモンド社。)
Castells,
M., and P. Himanen [2002], The
Information Society and Welfare State: The Finland Model, Oxford University
Press.(高橋睦子訳[2005],『情報社会と福祉国家 フィンランド・モデル』,ミネルヴァ書房。)
Denove,
C., and J. D. Power W [2006],
Satisfaction: How Ever Great Company
Listens to the Voice of the Customer, Portfolio.(蓮見南海男訳[2006],『J.D.パワー顧客満足のすべて 信頼と品質は顧客が決める』,ダイヤモンド社。)
Fisk, R.
P., S. J. Grove, and J. John [2004], Interactive
Service Marketing 2nd Edition, Houghton Mifflin Company.(小川孔輔,戸谷圭子監訳[2005],『サービス・マーケティング入門』,法政大学出版局。)
Jones,
T. O., and W. Earl Sasser, Jr. [1995], “Why Satisfied Customers Defect,” Harvard Business Review,
November-December 1995, pp.88-99.(「ロイヤリティの収益化を図る“完全”な顧客満足」,『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』,1996年2-3月号。)
LaSalle,
D., and T. A. Britton [2003], Priceless:
Turning Ordinary Products into Extraordinary Experiences, Harvard Business
School Press.(小A尚子訳[2004],『バナナがバナナじゃなくなるとき ありふれたモノから特別な価値を生み出すマーケティング戦略』,ダイヤモンド社。)
Lazer,
W., and E. J. Kelley [1973], Social
Marketing: Perspectives and Viewpoints, Richard D. Irwin, Inc.
Lovelock,
C., and L. Wright [1999], Principles of
Service Marketing and Management, Prentice Hall, Inc.(小宮路雅博監訳,高畑泰,藤井大拙訳[2002],『サービス・マーケティング原理』,白【69頁】桃書房。)
Moore,
G. A. [2005], Dealing with Darwin: How
Great Companies Innovate at Every Phase of Their Evolution, Portfolio.(栗原潔訳[2006],『ライフサイクルイノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く14のイノベーション』,翔泳社。)
Morgan,
R., and S. D. Hunt [1994], “The Commitment-Trust: Theory of Relationship
Marketing,” Journal of Marketing, 58,
pp20-38.
Nishiguchi,
T., and A. Beaudet [1998], “The Toyota Group and the Aishin Fire,” MIT Sloan Management Review, 40-1,
pp49-59.
Normann,
R. [1978], Development Strategies for
Swedish Service Knowledge, Scandinavian Institutes for Administrative
Research.
Normann,
R. [1993], Service Management: Strategy
and Leadership in Service Business, John Wiley & Sons.(近藤隆雄訳[1993],『サービス・マネジメント』,NTT出版。)
PineU, B. J., and J. H. Gilmore [1998],
“Welcome to the Experience Economy,” Harvard
Business Review, July-August 1998, pp.97-105.(「経験価値の創造をビジネスにする法」,『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』1999年12-1月号。)
PineU, B. J., and J. H. Gilmore [1999], The Experience Economy: Work is Theatre &
Every Business a Stage, Harvard Business School Press.(岡本慶一,小A尚子訳[2005],『[新訳]経験経済 脱コモディティ化のマーケティング戦略』,ダイヤモンド社。)
Prahalad,
C. K., and V. Ramaswamy [2004], The
Future of Competition,
Rayport,
J. F., and B. Jaworski [2005], Best Face
Forward: Why Companies Must Improve Their Service Interfaces with Customers,
Roberts,
J. H. [2005], “Defensive Marketing: How a Strong Incumbent Can Protect its
Position,” Harvard Business Review,
November 2005, pp.150-157.(「市場防衛のマーケティング」,『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』2006年8月号。)
Schmitt,
B. H. [1999], Experiental Marketing: How
to Get Customers to Sense, Feel, Think, Act, and Relate to Your Company and
Brands, The Free Press.(嶋村和恵,広瀬盛一訳[2000],『経験価値マーケティング 消費者が「何か」を感じるプラスαの魅力』,ダイヤモンド社。)
Thomke,
H. S. [2003], “R&D Comes to Services: Bank of America's Pathbreaking
Experiments,” Harvard Business Review,
April 2003, pp.70-79.(「バンク・オブ・アメリカ:サービスのR&D活動」,『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』2003年7月号。)
青木幸弘,西村陽[2003],『電力のマーケティングとブランド戦略』,社団法人電気協会新聞部。
阿部純[2004a],「持続的競争優位性確保に向けたブランド構築戦略 スウェーデン電気事業者の事例」,『海外電力』2004年5月号,pp.18-24,海外電力調査会。
阿部純[2004b],「競争力の強化に向けた『企業の社会的責任(CSR)』への取り組み スウェーデン・バッテンファル社の事例より」,『海外電力』2004年12月号,pp.4-13,海外電力調査会。
蟻生俊夫,後藤久典[2006],「国内需要家の満足度と電力供給選択,ロイヤルティに関する研【70頁】究 一般家庭および事業所調査に基づく」,電力中央研究所報告,Y05017。
奥田葉子,阿部純,森田雅紀[2005],「顧客価値の実現に向けた非価格戦略の展開 スウェーデン電気事業者の事例より」,『海外電力』2005年11月号,pp.19-35,海外電力調査会。
小田晴夫[2006],「サザン・カンパニーの経営戦略動向について」,『海外電力』2006年10月号,pp.89-91,海外電力調査会。
恩蔵直人[2006],「コモディティ化市場における市場参入戦略の枠組み」,『組織科学』39-3,pp.19-26。
栗村卓也[2006],「電力価格の再規制を求める需要家の声」,『海外電力』2006年6月号,pp.91-92,海外電力調査会。
河野三郎[1984],「ソーシャル・マーケティング論」,田村正紀,石原武政編『日本流通研究の展望』,千倉書房。
小山周三[2005],『サービス経営戦略 モノづくりからサービスづくりへ』,NTT出版。
末永國紀[2004],『近江商人学入門 CSRの源流「三方よし」』,サンライズ出版。
橋爪紳也,西村陽編[2005],『にっぽん電化史』,社団法人電気協会新聞部。
三浦俊彦[1996],「ソーシャル・マーケティング」,和田充夫,恩蔵直人,三浦俊彦『マーケティング戦略』,有斐閣。
三上富三郎[1982],『ソーシャル・マーケティング 21世紀に向けての新しいマーケティング』,同文舘。
森田雅紀[2006],「全面自由化を控えたフランス電力市場の動向」,『海外電力』2006年11月号,pp.34-42,海外電力調査会。
矢島尚[2006],『PR会社の時代 メディア活用のプロフェッショナル』,東洋経済新報社。