【173 頁】
ブランド・マネジメント組織に関する研究の進展と課題
―「創造」と「伝達」を中心に ―
野村 拓也*
1.はじめに
本稿の目的は,ブランド・マネジメント1)の実行主体である組織に着目した先行研究を,ブランド価値の「創造」と「伝達」を主軸に整理し,今後の課題を検討することである。AMA(American Marketing Association)によると,ブランドとは「個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ,競合他社の商品やサービスから差別化するための名称,言葉,記号,シンボル,デザイン,あるいはそれらを組み合わせたもの」と定義されている。この定義を文字通りにとらえると,ブランドは,製品の識別および差別化を可能にする視覚的・言語的情報でしかないことになる。しかし我々人間は,名称や記号といった視覚的・言語的情報を起点にあらゆる記憶や感情を呼び起こす。そのためブランドの価値は,名称や記号そのものではなく,それらと紐付いた消費者のブランド知識が源泉であるというのが今日の基本的な理解となっている。企業は,消費者が好ましい反応を示すマーケティング刺戟とブランドを結びつけ,豊かなブランド知識を育み,維持してゆくことが求められるのである。
ブランドに関する研究は,無形資産としてブランド・エクイティを測定する財務ベースと,顧客のブランド知識の形成に対するマーケティング刺戟の効果を測定する顧客ベース,そして,ブランド・マネジメントを実行する企業ないし組織の行動や特性を分析対象とするブランド・マネジメント組織研究の3つの研究群が存在する。
【174 頁】
ブランド・マネジメント組織研究は,方法論を問わず未だ知見の蓄積は不十分であるが,近年ようやく理論の体系が整いはじめてきた。そこで,研究の全体像を整理し,現状と今後進むべき方向性を展望したい。
本稿の流れは以下のとおりである (図表1を参照)。まず,ブランド・エクイティやブランド・アイデンティティといった中心的な概念が体系化してきた流れを振り返りつつ,ブランド・マネジメント組織研究がブランド論全体の中でどのような位置付けにあるのかをあらためて確認する。つぎに,ブランド・マネジメントにおける基本的な論点を4つ(主体性,継続性,一貫性,曖昧性)に分類したうえで,組織の観点からそれぞれの研究課題を明らかにする。そして,それらの研究課題を分析するための理論や枠組みを紹介する。具体的には,「ブランド志向」と,「統合マーケティング・コミュニケーション」を概説し,両者の関係性と包括的な概念モデルを示す。最後に,マーケティング一般における組織研究の進展を参考に,今後の課題を提示する。
2.ブランド・マネジメント組織研究の位置付け: 財務/ 顧客アプローチとの関係
ブランド研究は,基本的に,財務ベースと顧客ベースが中心的なテーマとされてきた。ブランド・マネジメント組織研究は,上記の2つに次ぐ第3のアプローチとして位置づけられる(図表2を参照)。小林・高嶋(2005)は,ブランドを長期的な無形資産(ブランド・エクイティ)として測定することを目的とする「財務ベースのブランド・エクイティ・アプローチ(Finance-based Brand Equity Approach)」と,ブランド・エクイティが顧客の知識の中で形成されることに注目し,対顧客の施策を最適化させることを目的とする「顧客ベースのブランド・エクイティ・アプローチ (Customer-based Brand Equity Approach)」に加え,ブランド・マネジメントの実行主体である組織を分析対象とする「資源ベース理論アプローチ (Resource-Based View Approach)」の必要性を主張した。阿久津・野中 (2001)も,ブランド研究が消費者行動研究を中心に発展してきたことを受け,ブランドを構築するための組織的な能力の包括的かつ体系的な解明が必要となることを指摘している。
【175 頁】
他にも,同様の問題提起がなされており (e.g. Madhavaram and Hunt 2008; Santos-Vijande,Río-Lanza,Suarez-Alvarez,and Díaz-Martín 2013),ブランド・マネジメント組織研究は,財務ベース,顧客ベースのアプローチと並ぶ独自の領域としての立場を確立してきている。では,ブランド・マネジメント組織研究はどのような理論的背景の中で成立してきたのであろうか。
そもそもブランド研究は,ブランド・ロイヤルティやブランド認知といった個々の概念がAaker (1991)によって統合され「ブランド・エクイティ」という無形資産の総体として体系化されたことを契機に急速に発展した(青木 2000a)。そして,財務ベースやロイヤルティ研究の成果によって,ブランドの無形資産としての理解が醸成されてゆくとともに,その価値の構築や維持への関心が高まっていった。こうした要請を受けて, 顧客ベースの理論的な土台となっている「顧客ベースのブランド・エクイティ (Customer-based brand equity:CBBE)」の概念が登場した(Keller 1993)。ブランド・エクイティの源泉を,ブランド認知とブランド・イメージから構成される顧客のブランド知識に見出すCBBE の考え方は, ブランド知識を標的としたマーケティング・コミュニケーションをブランド・マネジメントの基本的な活動として位置づけた。これにより,ブランド構築や維持に関する議論は,コミュニケーションの問題とする見方を中心に展開されるようになった。
CBBEに呼応する形で,ブランド・アイデンティティ(Aaker 1996)が登場した。ブランド・アイデンティティは「ブランド戦略策定者が創造したり維持したいと思うブランド連想のユニークな集合」と定義される (Aaker 1996,p. 68)。企業は, 消費者のブランド・イメージがより濃く,鮮明になるように働きかけようとする。その際に,ブランド・アイデンティティを基に広告やパッケージ・デザインといったコミュニケーションの機能を担うすべてのアウトプットを統合することが重要視されるようになったのである。
【176
頁】
以上振り返ってきたとおり,ブランド研究は,ブランド・エクイティという無形の「資産」としての枠組みを得たのち,その資産の所在を顧客のブランド知識に見出した。その後,ブランド・エクイティの構築・維持に対する関心が高まってゆく中で,その起点 (「資源」)となるブランド・アイデンティティという概念を獲得した。こうして,3つの鍵概念 (ブランド・アイデンティティとコミュニケーション,顧客ベースのブランド・エクイティ)の関係性が整理されたことにより「ブランド・コミュニケーション」の構図が成立したのである。
このブランド・コミュニケーション,すなわち「ブランド・アイデンティティにもとづく一貫したマーケティング・コミュニケーションの展開」という企業の活動に対して専ら研究されてきたのは,コミュニケーションの受け手である消費者の反応に着目した消費者行動研究であった。CBBE やコミュニケーションといった発想は消費者行動研究の理論を基盤としているため,あくまで顧客ベースの領域内で深化してきたという背景が窺える。そして,顧客ベースの研究は,今なおブランド研究の主流として多大なる知見の蓄積をもたらしている。
これに対して,ブランド・マネジメント組織研究は,ブランド・アイデンティティという資源を,ブランド・エクイティに結びつけてゆくための組織デザインや「ケイパビリティ」に着目する研究領域である。顧客ベースのアプローチのみでは,効果的なブランド戦略を示唆する一方で,策定された戦略を組織が適切に実行できるか否かについては十分に考慮していない。すなわち,ある企業のブランド戦略が失敗したときに,顧客ベースのアプローチでは,その原因を戦略そのものの問題にしか求めることができないのである。しかし,仮にブランド・マネジャーが適切な戦略を策定したとしても,それがそのまま実行されるとは限らない。ブランド・マネジメントを実行する過程では,策定された戦略が無力化されたり,歪められたりする危険性を伴う (小林・高嶋 2005)。そのため,ブランド戦略目標の未達の原因には,ブランド戦略そのものの問題に加え,戦略不全をもたらす組織的な要因を考慮する必要がある (森永 2007)。
また,ブランド・アイデンティティそのものをいかに生み出し,管理してゆくのかという問題にも,顧客ベースの視点のみでは十分に迫ることができない。消費者がどのような価値を望むのかという視点だけでなく,組織がブランド・アイデンティティとしていかに生み出し,メンバー間で共有し, 長期的に管理してゆくのかという,ブランド・アイデンティティ自体をマネジメント対象とした議論も求められる。
以上のような問題意識に動機づけられるブランド・マネジメント組織研究は「ブランド・アイデンティティにもとづく一貫したマーケティング・コミュニケーションの展開」を取り巻く基本的な組織のメカニズムの理解と,実行阻害要因およびそれらを打開するためのケイパビリティや組織デザインの解明,そして組織への実装を研究目的とする。
3.基本的な論点: 主体性・継続性・一貫性・曖昧性
具体的な理論や実証研究を体系的に整理してゆくために,ここではブランド・マネジメントにおける基本的な論点を整理し,組織研究としての研究課題を明確にする。「ブランド・アイデンティティにもとづく一貫したマーケティング・コミュニケーションの展開」は,それぞれ固有の問題が潜む活動単位として,ブランド価値の創造に関わる@ブランド・アイデンティ
【177
頁】
ティそのもののマネジメントと,ブランド・アイデンティティの伝達,すなわちAブランド・コミュニケーションのマネジメントに分けて考えることができる。そして,ブランド・アイデンティティのマネジメントでは「主体性」と「継続性」が,ブランド・コミュニケーションのマネジメントでは「一貫性」と「曖昧性」が議論されてきた。以降,これら4点を概説し,組織研究の課題へと読み換えてゆく。
主体性(identity)と組織文化:ブランド・アイデンティティは,当該ブランドのあり方を示し,組織のマーケティング活動を方向付ける。企業の行動を規定する要因には,さまざまな外部環境と内部資源が存在するが,我々がブランド・アイデンティティに対して特に期待するのは,内部資源として主体性の発揮に資することである。競争戦略論においては,競争優位の源泉を戦略的ポジショニングに求める伝統的なポジショニング・アプローチ (Porter 1980)と,内部資源の役割を重視するRBV (resource-based view)アプローチ (Barney 2001)という2つのアプローチが存在する(青島・加藤 2003)。ブランド戦略は,相反する両者の弁証法的綜合によって策定されるものとして位置づけられる(阿久津 2002; 青木 2011)。
マーケティング活動を方向付ける起点とされるブランド・アイデンティティの概念は,RBVアプローチと符合するが,ブランド論がマーケティング論一般とあくまでも区別される理由のひとつはここにある。すなわち,市場適合を最優先課題とする現代のマーケティングがポジショニング・アプローチを強調するのに対して,ブランド論では,ブランド・アイデンティティに基づき当該ブランドがとるべき行動を主体的に判断することも重視されるのである2)。ブランド・アイデンティティが組織行動に主体性を与えることで,組織は求められる市場適合に対してとろうとする対応が,当該ブランドがとる行動としてふさわしいかどうかを問うことができるようになる。このように,主体性が発揮されることによって,同じ市場に対するマーケティング活動は他社の活動と異なるものとなり,個性としてブランドを差別化する。
ブランド・アイデンティティが主体性を発揮し,独自のブランド価値を創造してゆくためには,顧客を第一に考える組織文化に加え,企業内部の主体性を重んじる組織文化が求められる。そのため,顧客中心の論理の正当性が主体性を覆い隠すことなく共存できるよう管理してゆく必要がある。
継続性 (continuity)と組織慣性:主体性が示唆した問題意識が企業内部の価値観を重んじる
組織文化の重要性を主張するものであったのに対して,ここでは外部環境への適合が焦点とな
る。
ブランド・マネジメントは,市場導入を終着点としない。市場導入後も,ブランド・アイデンティティの伝達に努めるブランド構築の段階を経て,形成されたブランド・イメージの維持を図るブランド育成の段階をとる(青木 2000b)。ブランド育成の段階では,当該ブランドが築き上げたイメージを損なわぬよう,コア・アイデンティティには継続性が求められる。ところが,市場環境の変化や陳腐化の危機にさらされ続ける中で,コア・アイデンティティ自体が時
【178
頁】
代にそぐわなくなってきたり,顧客に飽きられてきたりするときがいずれ訪れる。その際には,ブランド・アイデンティティを環境変化に応じて刷新してゆかなければ,当該ブランドは時代に取り残され,市場から姿を消すことになる。ブランドの長期的管理には,継続性と市場変化への適合という二律背反を克服することが求められるのである。
石井 (1999)は,以上のようなブランド・アイデンティティの長期的な管理の中で,環境変化を受けてコア・アイデンティティのメタ化を繰り返すことによって,ブランド・アイデンティティが「絶対的な本質的価値」へと近づくと述べている。大竹 (2017)も,こうしたプロセスを「創造的原点回帰」を呼び,コア・アイデンティティのダイナミクスをとらえている。
このようなコア・アイデンティティの変革には,相応の組織慣性を伴うことを考える必要がある。多大な投資と試行錯誤を経てブランドの構築に成功し,一度市場成果をもたらしたブランド・アイデンティティは強い正統性を獲得する。そして,正統性のもとに組織の行動は一層統制され,強固なルーチンを形成する。その結果として,継続性が強化されブランドの維持に貢献するという好ましい側面もある。一方で,劇的な環境の変化に直面したときに,硬直化したルーチンが逆機能をもたらす恐れがある。継続性が生み出す慣性が,変革の必要性の認知や遂行を妨げるのである。企業は,ブランド・アイデンティティをダイナミックにとらえ,資源として必要に応じて再構築してゆく必要があるとともに,それに応じて生じる組織慣性も対応してゆく必要がある。
一貫性 (consistency)と職能横断的統合:ブランドを媒介としたコミュニケーションの展開において,一貫性は近年特に重視される要件である。組織がブランドの世界観を作り上げるためには,個々のコミュニケーション・アウトプットが策定されたブランド・アイデンティティに対して辻褄が合っているだけでなく,複数のコミュニケーション・アウトプット同士の整合性や相補性も必要となる。新倉 (2007)は,コミュニケーションの過程で,一貫性を欠くコミュニケーション・アウトプットがノイズとなり,ブランド・アイデンティティの伝達を阻害するとして,継ぎ接ぎのコミュニケーション施策を戒めている。田中 (2000)は,広告部門におけるコミュニケーション戦略の中で最も重要な課題はブランド・コミュニケーションの一貫性管理であるとし,一貫性とは,広告表現・プランの中に常にブランドのコア・アイデンティティが貫かれていることであるとしている3)。さらに,青木・岸・角・乳井(2000)による日本の主要広告主に対するアンケート調査では,83.9%の企業が広告表現のトーン&マナーを統一することや,67.8%がマス広告とセールス・プロモーションの連携を保ち,コミュニケーションの一貫性を保つと解答したことが報告されている。
ブランドが一貫性を確保するためには,プロダクト・デザイン部門やコミュニケーション部門といった専門化された複数の職能が足並みを揃えながら,それぞれのコミュニケーション・アウトプットをすり合わせてゆかなければならない。そのためは,職能横断的な連携を支援する組織デザインが必要となる。
【179
頁】
曖昧性 (ambiguity)と正当化プロセス:ブランド・アイデンティティという企業の暗黙知を,コミュニケーション・アウトプットとしてコード化するという行為は,世間的に「センス」や「アーティスティック」などと言い表されがちな要素が求められる,きわめて創造的な営みとしてとらえられるが,その主因は曖昧性にある。
ブランド・アイデンティティは,ブランドが消費者にもたらす価値を司るが,ブランドの価値は無形 (無形性),かつ複数の価値次元からなり (多層性),ブランドそのものではない社会的記号として機能するなんらかのものと結びつきながら (間接性),消費者やブランドを取り巻く社会全体との長期的な相互作用を経て (関係性)形成される (阿久津・石田 2002)。阿久津・石田 (2002)が示したように,ブランドの価値には,機能的な価値だけでなく,意味的価値や情緒的価値といわれる高次な価値が含まれている(延岡 2006; 2008; 和田 2002)。高次の価値は,持続的競争優位の源泉である差別化を実現するうえで,近年特に重要とされる価値次元である。
価値創造を主導する企業の立場から見た場合,高次の価値の創造を試みる際には,以下のような特徴を考慮する必要がある。まず,機能的・便宜的価値に含まれる性能や品質などのような一義的解釈や測定が可能なものよりも,言い得ぬ世界観や人的な魅力などのように,多義的で曖昧な性格が強いことがあげられる。また,既存の社会的記号との結びつきや,社会との相互作用を生み出すためのコンテクストも,一義的な良し悪しの判断や市場導入前の評価が困難である場合が多い。
デザイナーやクリエイターと呼ばれる人々は,こうした一言ではとらえ難く,予測困難な性質をもつ高次の価値やコンテクストを,コミュニケーション・アウトプットへとコード化しようとする。そのため,彼らが創造する価値やコンテクストが持つ曖昧性に対して,組織として適切な正当化プロセスを踏むための場を担保することが求められる。アウトプットに込められたブランド・アイデンティティやコンテクストを適切に評価できなければ,断片的な選好調査などを拠り所とした判断に偏ってしまい,ブランド・アイデンティティを体現しているとは言えない,無味乾燥なコモディティへと成り果ててしまう恐れがある。
4.理論と全体像:ブランド志向と統合マーケティング・コミュニケーション
ここからは,上記の4つの論点から示唆された問題に対して,どのような理論的枠組みが与えられ,研究がおこなわれてきたかについて紹介したい。具体的には,ブランド・アイデンティティのマネジメントに関する理論である「ブランド志向」と,マーケティング・コミュニケ―ションのマネジメントの枠組である「統合マーケティング・コミュニケーション」を概説し,両者を体系化した包括的概念モデルを提示した研究と,この概念モデルに立脚した研究を整理する。
ブランド志向:ブランド・アイデンティティのマネジメントに関する議論では,市場迎合に対する批判的観点から主体性が,長期的管理の中では継続性の必要性が指摘されるが,この議論は市場志向 (market orientation)に対するアンチテーゼとして登場したブランド志向 (brand orientation)という理論の中で展開されてきた。
【180
頁】
市場志向とは「買い手に優れた価値を創造しようとする従業員の行動を促し,ひいては継続的に優れたパフォーマンスを効果的かつ効率的に作り出す組織文化」である(Narver and Slater1990; 石田・石井・恩藏 2012)。市場志向は,Narver and Slater(1990)やKohli and Jaworski(1990)によって構成要素の検討や尺度開発がおこなわれて以降,市場成果との因果関係を探る研究が数多くおこなわれている (石田 2015; 川上 2005)。また市場志向は,顧客志向,競争志向,職能横断的統合の3次元によって構成され,顕在化したニーズを追う反応型 (reactive)と,潜在ニーズを重視する先行型(proactive)に分類される。
一方,ブランド志向とは「持続的競争優位を達成するために,ターゲット顧客との継続的な相互作用に関する組織のプロセスを,ブランド・アイデンティティの創造,開発,保護を中心に展開するアプローチ(Urde 1999,p. 117)」であり,そのための組織文化である。反応型・先行型のいずれにおいても,市場志向は企業外部の環境要因に適合するための情報生成や収集を促進させる。 しかし,市場のトレンドや顧客のニーズのすべてが必ずしも当該ブランドにとって正しい戦略を示すとは限らない(Urde 1994; 1999)。ブランドは,長期的な関係性の中で競合他社と同じ市場環境に対して異なる行動をとることよって差別性を生み出し,それが個性として受容される。ブランド・アイデンティティを無視した市場適合は,当該ブランドの個性を埋没させ,ブランドをコモディティへと突き落とす危険性がある。ブランド志向は,こうした市場志向の限界を補完する目的で生まれた理論である。なお,基本的には,市場志向に対してブランド志向が優位となることは想定されず,ブランド志向は,外部環境を重視するマーケティングの延長線上に位置づけられるものとしてとらえられている(Urde 1999)。
Urde (1994)による概念の提唱を契機に,ブランド志向に関する研究は,市場志向と同様に構成概念の整理や尺度開発などがおこなわれてきた。実証研究では,ブランド志向がマーケティング戦略の実行や市場成果などに対しておよぼす影響が分析されている (e.g. Baumgarth 2009; 2010; Brïdson and Evans 2004; Gromark and Melin 2011; Napoli 2006; Wong and Merrilees 2007; 2008)。これらの先行研究の課題としては,調査対象が中小企業を主としているため,大企業のターゲット市場にとってブランド志向が有効かについては十分に検討できていないことがあげられる。また,市場志向を扱う多くの実証研究と同様に,大半が独立変数・従属変数ともに企業のトップや事業責任者による自己評価に基づいて測定している。当然,コモン・メソッド・バイアスの懸念を受けてHarman の単一因子テスト (Podsakoff and Organ 1986)などの検定はおこなわれているものの,主観回答の問題 (Homburg,Klarmann,Reimann,and Schilke 2012)を完全には排除できていない。そのため,客観的尺度を用いた調査が求められる。
ブランド志向と市場志向との代替的な関係により関心を寄せた研究も関心が高まっている。理論上,ブランド志向は市場志向を補完するものとして概ね位置づけられるが,両者の適切な支援関係を構築することは困難とされる。市場適合の論理が支配的な組織においては,喚起されたニーズや来るニーズに適合することに対して合理性を見出すために,当該ブランドがとってきたふるまいとの整合性が軽んじられ,ブランド・アイデンティティの希薄化を招くおそれがある。一方で,高級アパレルをはじめとする一部のブランドにおいては,市場適合以上にブランド・アイデンティティが重んじられる場合もある。そのような組織は,不可欠な変革に対して無自覚となる危険性がある。このように,市場志向との相補的な関係が望まれるブランド志向は,代替的な組織文化として市場志向に圧迫されたり,逆に市場志向を食い潰したりすることが往々にしてある。
【181
頁】
2つの志向性の代替的な性質を受け,これまで両者の共存を実現するための方策をめぐる研究もおこなわれてきた (e.g. Urde,Baumgarth,and Merrilees 2013; M’zungu,Merrilees,andMiller 2017)。しかし,実証研究には至っていない。一方,ブランド・アイデンティティの継続性追求の過程で生じる組織慣性の発生要因や緩和のプロセスを報告する事例研究は見られる(e.g. 大竹 2017; 原田 2018)。これらの知見をブランド志向と市場志向の議論へと発展させてゆく必要がある。
統合マーケティング・コミュニケーション:次に,ブランド・コミュニケーションのマネジメントの枠組みとして,統合マーケティング・コミュニケーション(以下,IMC)に関する研究に着目する。Duncan (2002)はIMC を「ブランド価値を駆動する顧客関係性をマネジメントする過程である。具体的には,顧客および他のステークホルダーとの有益な関係性を形成・育成するために,これらの集団に送られるすべてのメッセージを戦略的にコントロールしたり,影響を及ぼしたり,データに基づいて,彼らとの意図的な対話を促進する職能横断的なプロセスである」と定義している。また,Schultz and Schultz (2003)は「消費者と顧客,見込み顧客やその他の社内外関係者を対象に,整合的で測定可能な長期間にわたる説得的ブランド・コミュニケーション計画を,企画,開発,実施,評価するために用いられる戦略的ビジネス・プロセスである」としている(竹内 2006)。
この概念が注目されるようになった背景には,インターネットやスマートフォンの普及に伴い,チャネルや顧客とのタッチポイントが大幅に増加したことによって,消費者の情報収集のあり方が多様化したことがあげられる。このような環境変化の中で,消費者へのメッセージの伝達をより効率化するために,複数のコミュニケーション・アウトプットをそれぞれ独立にとらえるのではなく,ひとつのコンセプトのもとに統合する一貫性の管理がより強く求められるようになったのである。
IMC が登場した初期においては,コミュニケーション政策におけるひとつの流行としての認識が相対的に強く,局所的かつ戦術的な視点でとらえられる傾向にあった (Madhavaram, Badrinarayanan,and McDonald 2005)。しかし,Duncan(2002)やSchultz and Schultz(2003)による定義に記されているように,現在IMC は,関係性や広義のステークホルダー・マネジメント,データ・ドリブン,そして職能横断的統合の概念が包含されている(岸 2016)。IMC に対する理解が深まり,重要性が認識されてゆくとともに,より全社的・戦略的な規模感へと概念が見直されてきたことがわかる(図表3を参照)。
【182 頁】
また,IMC の概念が戦略的な性格を帯びると同時に,ブランド論との関係も強く意識されるようになる。IMC は,マーケティング・コミュニケーションの統合と,そのための職能横断的統合を目指すものであるが,このような問題意識はブランド・マネジメントの文脈でも語られており,ブランド・コミュニケーションの構図が形成される初期のころから,すべてのマーケティング・コミュニケーションを統合する必要性が頻繁に指摘されていた (e.g. Keller 1993; Aaker 1996)。IMC は,こうしたブランド論の発展とほぼ同じ時期に注目を集め,概念の範囲が見直されてゆくなかで,ブランド・コミュニケーションの一環としての位置づけが意識的におこなわれるようになったのである(e.g. Schultz and Schultz 2003)。
包括的概念モデル:そして,Reid,Luxton,and Mavondo(2005)とMadhavaram,Badrinarayanan,and McDonald(2005)によって,ブランド志向との関係性が考察され,IMC がブランド・コミュニケーションの中に明確に組み込まれたことを機に,ブランド・マネジメント組織研究の全体像と命題がより鮮明なものとなった。彼らはそれぞれ,ブランド志向とIMC をブランド・コミュニケーションのプロセスに当てはめ,ブランド・エクイティをもたらすに至るまでの基本的な概念モデルを提示している。
図表4は,両者の特徴を踏まえたうえで,ブランド・マネジメント組織研究の包括的かつ基本的な概念モデルを示したものである。ブランド志向とIMC との関係性については,2つの論文が提示したモデルの基本的なとらえ方は同じである。一方で,Reid,Luxton,and Mavondo (2005)の概念モデルは,ブランド志向と市場志向との兼ね合いが組み込まれていることが特徴的であるのに対し,Madhavaram,Badrinarayanan,and McDonald(2005)のモデルは,よりIMC を中心的にとらえている。すなわち,ブランド志向を組織文化としてIMC の先行要因の一部とし,上位マネジャーの姿勢といったその他の先行要因も取り入れ,IMC をプロセスと成果に分けることによって,職能横断的統合や正当化の問題を包含したモデルとなっている。
このようにして,ブランド・マネジメント組織研究は,ブランド志向とIMC を中心としたブランド・コミュニケーションの実行主体を分析するための枠組みを得たのである。そして,
【183 頁】
ブランド志向と市場志向との関係性の中で「主体性」と「継続性」が,IMC のプロセスと成果および先行要因の関係から「一貫性」と「曖昧性」が指し示す問題がそれぞれ描かれている。この一連の整理は,単にブランド志向とIMC の2つの理論を関連付けただけでなく,ブランド・マネジメントにおける価値の「創造」と「伝達」を理論的に結びつけたことに大きな貢献があるといえる。
以上のような理論の整理に基づいておこなわれた実証研究としては,Luxton,Reid,and Mavondo (2015)による,豪州企業におけるIMC ケイパビリティがブランド・エクイティに貢献していたことを報告したものがある。また,Luxton,Reid,and Mavondo (2017)によって,ブランド志向や市場志向のIMC への影響やブランド・エクイティへの媒介効果も検証されている。さらに,IMC により焦点を当てたモデルの作成もおこなわれている (e.g. Tafesse and Kitchen 2017)。しかし,ブランド志向とIMC との関係や,IMC と市場成果との関係といった,大局的な因果モデルの検証はおこなわれているものの,IMC の実行プロセスや成果に影響を及ぼすブランド志向以外の先行要因に関する考察が少なく,IMC を促進するための具体的な取り組みや,組織デザインが明らかにされていないことが課題としてあげられる。
5.今後の課題
ここまで,ブランド・マネジメント組織研究の進展を振り返り,包括的概念モデルを整理した。最後に,本研究領域における今後の課題を検討する。
【184
頁】
前節で紹介したとおり,包括的概念モデルの提示以降は,主にブランド志向とIMC それぞれの市場成果に対する影響の確認と,全体的なモデルの妥当性の検証がおこなわれてきた。このような近年の研究の潮流からは,概念モデルの検証を最優先課題としてきたことが窺える。こうした取り組みは,ブランド志向とIMC を軸とした枠組みが本研究領域における理論基盤たることを支持すると同時に,残された課題も明示している。すなわち,ブランド志向とIMC それぞれの個別の促進/ 阻害要因の発見と検証である。
ブランド志向においては,すでに言及したように,市場志向との関係性が焦点となる。すなわち,両志向性の補完的な側面だけでなく,代替的な側面により着目した研究が強く求められる。特に,これまでに開発されてきたブランド志向の測定尺度は,市場志向との支援的な関係が前提とされているため,代替的側面も想定した尺度を開発し,検証をおこなう必要がある。そのために,現段階では,質問項目を再検討するためのさらなる事例研究や精緻な理論的考察が必要となる。
IMC においては,実行プロセスを分析するための詳細な枠組みが乏しく,IMC の遂行を支援する組織デザインを考察するための手がかりが不足している。例えば,Kitchen and Schutz (2001)が提示したIMC の発展段階4)は,活動規模の拡大を段階的に示しているものの, 一貫性統合の対象となる各コミュニケーション・アウトプットの正当化と資源動員が所与のものとされており,適切なIMC の実行に至るまでの困難を分析するための枠組みではない。IMC の正当化プロセスの組織論的分析に適した枠組みの開発が求められる。IMC の実行阻害要因については,Ots and Nyilasy (2015)が複数部門間のメンタルモデルの相違がIMC に対する認識の齟齬や局所最適化を招き, 相互不信やミスコミュニケーションなどを生じさせることを参与観察の結果から報告している。今後は,このような実行阻害要因に対して,企業がどのような対応をとっているのかを把握し,IMC を支援する具体的な組織デザインを明らかにしてゆくための調査が急務となる。
ここまであげてきた課題に対しては,マーケティング一般における組織研究の展開が参考になる。Moorman and Day(2016)は,ケイパビリティ,組織文化,組織コンフィギュレーション,人的資源を「マーケティング組織の4要素 (MARKORG)」としてまとめ,マーケティング組織に関する先行研究を整理している。この観点から見ると,組織文化に関する理論としてブランド志向が概念モデルに組み込まれてはいるものの,人的資源,組織コンフィギュレーション,ケイパビリティとの関係性の整理が不十分となっている。IMC の実行を支援する組織デザインの分析軸としてこれらに着目することが,今後の組織研究に大きな発展をもたらすことが期待できる。
組織コンフィギュレーションに関する知見としては,ブランド・マネジャー制があげられる(e.g. Low and Fullerton 1994; 乳井・青木 2006)。人的資源では,「ブランド・チャンピオン5)」の存在が指摘され,研究が行われている(e.g. Aaker 2014; Ind 2007; Vallaster and de Chernatony
【185
頁】
2006)。 ケイパビリティに関しては,阿久津・野中(2001)が,知識創造の観点から「ブランディング・ケイパビリティ」の構築の必要性を主張している。本稿で整理した枠組みとこれらの知見を統合的に考察することによって, 新たな仮説や議論を生み出してゆく必要がある。
参考文献
・Aaker,D. A(. 1991),Managing Brand Equity,New York: Free Press.
・Aaker,D. A(. 1996),Building Strong Brands,New York: Free Press.
・ Aaker,D. A. (2014),Aaker on Branding: 20 Principles that Drive Success,New York, Morgan James Publishing (阿久津聡訳『ブランド論:無形の差別化をつくる20の基本原則』 ダイヤモンド社,2014年).
・ Barney,J. B.(2001),“Is the resource─based ‘view’ a useful perspective for strategic management research? ‘Yes’”,Academic of Management Review,2(1),pp. 41─56.
・ Baumgarth,C. (2009),“Brand Orientation of Museums: Model and Empirical Results”, International Journal of Arts Management,11(3),pp. 30─45.
・ Baumgarth,C. (2010),“Living the brand”: brand orientation in the business─to─ business sector”,European Journal of Marketing,44(5),pp. 653─671.
・ Brïdson,K. and J. Evans (2004),“The secret to a fashion advantage is brand orientation,” International Journal of Retail & Distribution Management,32(8),pp. 403─411.
・ Duncan,T. R. (2002),IMC: Using Advertising and Promotion to Build Brands, Boston: McGraw─Hill.
・ Gromark,G. and F. Melin (2011),“The underlying dimensions of brand orientation and its impact on financial performance”,Journal of Brand Management,18(6),pp. 394─410.
・ Homburg,C.,M. Klarmann,M. Reimann,and O. Schilke,(2012),“What Drives Key Informant Accuracy? ”,Journal of Marketing Research,49(4),pp. 594─608.
・ Ind,N.(2007),Living the Brand: How to Transform Every Member of Your Organization into a Brand Champion,London,Kogan Page.
・ Keller,K. L.(1993) “Conceptualizing Measuring and Managing Customer Based Brand Equity”, Journal of Marketing,57,pp.1─22.
・ Kitchen,P. J.,J. Brignell,T. Li,and G. S. Jones (2004),“The Emergence of IMC: A Theoretical Perspective”,Journal of Advertising Research,44(1),pp. 19─30.
・ Kitchen,P. J. and D. E. Schultz eds. (2001),Raising the Corporate Umbrella: Corporate Communication in the 21st Century,Palgrave.
・ Kitchen,P. J. and D. E. Schultz (2003),“Integrated Corporate and Product Brand Communication”,Advances in Competitiveness Research,11(1),pp. 66─86.
・ Kohli,A. K. and B. J. Jaworski,(1990),“Market Orientation: The Construct,Research Proposition,and Managerial Implications”,Journal of Marketing,54(2),pp. 1─18.
・ Low,G. S. and R. A. Fullerton(1994),“Brands,Brand Management,and the Brand Manager System: A Critical-Historical Evaluation”,Journal of Marketing Research,31(2),pp. 173─ 190.
【186 頁】
・ Luxton,S.,M. Reid,and F. Mavondo(2015),“Integrated marketing communication capability and brand performance”,Journal of Advertising,44(1),pp. 37─46.
・ Luxton,S.,M. Reid,and F. Mavondo (2017),“IMC capability: antecedents and implications for brand performance”,European Journal of Marketing,51(3),pp. 421─444.
・ Madhavaram,S.,V. Badrinarayanan,and R. E. McDonald (2005),“Integrated marketing communication (IMC) and brand identity as critical components of brand equity strategy: a conceptual framework and research propositions”,Journal of Advertising,34(4),pp. 69─80.
・ Madhavaram,S. and S. D. Hunt (2008),“The Service─Dominant Logic and a Hierarchy of Operant Resources: Developing Masterful Operant Resources and Implications for Marketing Strategy”,Journal of Academy of Marketing Science,36(1),pp. 67─82.
・ McArthur,D. N. and T. Griffin(1997),“A Marketing Management View of Integrated Marketing Communications”,Journal of Advertising Research,37,pp. 19─26.
・ Moorman,C and G. S. Day (2016),“Organizing for Marketing Excellence”,Journal of Marketing,80(6),pp. 6─35.
・ M’zungu,S.,B. Merrilees,and D. Miller (2017) “Strategic hybrid orientation between market orientation and brand orientation: guiding principles”,Journal of Strategic Marketing,25(4), pp. 275─288.
・ Napoli,J.(2006) “The Impact of Nonprofit Brand Orientation on Organisational Performance”, Journal of Marketing Management,22(7─8),pp. 673─694.
・ Narver,J. C. and S. F. Slater (1990),“The Effect of a Market Orientation on Business Profitability”,Journal of Marketing,54(4),pp.20─35.
・ Ots,M and Nyilasy,G.(2015),“Integrated Marketing Communications(IMC): Why Does It Fail? ”,Journal of Advertising Research,55(2),pp.132─145.
・Porter,M. E.(1980),Competitive Strategy,New York: Free Press.
・ Podsakoff,P. M. and D. W. Organ (1986),“Self─Reports in Organizational Research: Problems and Prospects”,Journal of Management,12(4),pp. 531─544.
・ Reid,M.,S. Luxton,and F. Mavondo (2005),“The relationship between integrated marketing communication,market orientation,and brand orientation”,Journal of Advertising,34(4), pp. 11─23.
・ Santos─Vijande,M. L.,A. B. del Río─Lanza,L. Suárez─Álvarez,and A. Díaz─Martín(2013), “The brand management system and service firm competitiveness”,Journal of Business Research, 66(2),pp. 148─157.
・ Schultz,D. E(. 2004),“IMC Receives More Appropriate Definition”,Marketing News,38(15), pp. 8─9.
・ Schultz,D. E. and P. J. Kitchen (1997),“Integrated Marketing Communications in U.S. Advertising Agencies: An Exploratory Study”,Journal of Advertising Research,37(5),pp. 7─18.
・ Schultz,D. E. and P. J. Kitchen (2000),“A Response to ‘Theoretical Concept or Management Fashion?’ ”,Journal of Advertising Research,40(5),pp. 17─21. ブランド・マネジメント組織に関する研究の進展と課題 ―「創造」と「伝達」を中心に ―
【187 頁】
・ Schultz,D. E. and H. F. Schultz(2003),IMC ─ The Next Generation: Five Steps for Delivering Value and Measuring Returns Using Marketing Communication,McGraw─Hill Companies.
・ Swain,W. N(. 2004),“Perceptions of IMC After a Decade of Development: Who’s at the Wheel, and How Can We Measure Success? ”,Journal of Advertising Research,44(1),pp. 46─65.
・ Tafesse,W. and P. J. Kitchen,(2017),“IMC: an integrative review”,International Journal of Advertising,36(2),pp. 210─226.
・ Urde,M.(1994),“Brand orientation: A strategy for survival”,Journal of Consumer Marketing, 11(3),pp. 18─32.
・ Urde,M. (1999),“Brand orientation: A mindset for building brands into strategic resources”, Journal of Marketing Management,15(1─3),pp. 117─133.
・ Urde,M.,C. Baumgarth,and B. Merrilees(2013),“Brand orientation and market orientation─ From alternatives to synergy”,Journal of Business Research,66(1),pp. 13─20.
・ Vallaster,C. and L. de Chernatony (2006) “Internal Brand Building and Structuration: The Role of Leadership”,European Journal of Marketing,40(7),pp.761─784.
・ Wong,H. Y. and B. Merrilees (2007),“Multiple roles for branding in international Marketing”, International Marketing Review,24(4),pp. 384─408.
・ Wong,H. Y. and B. Merrilees (2008),“The performance benefits of being brand Orientated”, Journal of Product & Brand Management,17(6),pp. 372─383.
・ 青木幸弘 (2000a)「ブランド研究の系譜:その過去,現在,未来」 青木幸弘・岸志津江・ 田中洋編著『 ブランド構築と広告戦略』 日経広告研究所,19─52頁。
・ 青木幸弘(2000b)「ブランド構築における基本問題: その視点,枠組み,課題」 青木幸弘・ 岸志津江・田中洋編著『 ブランド構築と広告戦略』 日経広告研究所,53─107頁。
・ 青木幸弘 (2011) 「ブランド研究における近年の展開:価値と関係性の問題を中心に」『商 学論究(関西学院大学商学研究会)』 第58巻,第4号,43─68頁。
・ 青木幸弘・岸志津江・角忠・乳井瑞代(2000)『 ブランド構築における広告表現の一貫性に 関する研究』 平成11年度 第33次 助成研究報告。
・青島矢一・加藤俊彦(2003)『 競争戦略論』 東洋経済新報社。
・ 阿久津聡 (2002) 「経営戦略論におけるブランド戦略研究の位置づけ:「外から内」と「内 から外」の弁証法的綜合に向けて」『 組織科学』 第36巻,第1号,14─29頁。
・ 阿久津聡・石田茂(2002)『 ブランド戦略シナリオ : コンテクスト・ブランディング』 ダイ ヤモンド社。
・ 阿久津聡・野中郁次郎 (2001) 「ブランド知識創造のケイパビリティ: ソニーのブランド経 営に見る 」『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』 8月号,173─186頁。
・石井淳蔵(1999)『 ブランド : 価値の創造』 岩波書店。
・ 石田大典(2015)「 先行型市場志向と反応型市場志向がパフォーマンスへ及ぼす影響: メタ アナリシスによる研究成果の統合」『 流通研究』 第17巻,第3号,14─37頁。
・ 石田大典・石井裕明・恩藏直人 (2012) 「市場志向が創造的ビジネス行動とパフォーマン スに及ぼす影響 : 小売バイヤーを対象とした実証研究」『 早稲田商學』 第433巻,73−100頁。
【188 頁】
・ 大竹光寿(2017)「 ブランドマネジメントに関する慣性の強化と緩和: 創造的原点回帰によ るブランドのあるべき姿の再構築 」『 マーケティング・ジャーナル』 第37巻,第2号,96─ 111頁。
・ 川上智子(2005)『 顧客志向の新製品開発 : マーケティングと技術のインタフェイス』 有斐 閣。
・ 岸志津江 (2016) 「IMC 概念を再考する: 進化と課題」『ジャーナル・マーケティング』 第 36巻, 第3号,6─22頁。
・ 小林哲・高嶋克義(2005)「 組織行動がブランド・マネジメントに与える影響 : 資源ベース 理論の適用可能性に関する考察」『 マーケティング・ジャーナル』 第25巻,第2号,20─37頁。
・ 竹内淑恵(2006)「 統合マーケティング・コミュニケーション戦略」『 消費者・コミュニケー ション戦略』 155─178頁。
・田中洋(1999)「 『主体性確立』としてのブランド構築」『 流通情報』 第361巻,24─31頁。
・ 田中洋(2000)「 ブランド・コミュニケーションのマネジメント : ブランド価値を高める広 告活動」 岸志津江・田中洋・嶋村和恵著『 現代広告論』 有斐閣アルマ,300─316頁。
・ 新倉貴士(2007)「 3Cバイアス : ブランド・アイデンティティに与える影響要因」『 消費者 の認知世界: ブランドマーケティング・パースペクティブ』,千倉書房,第10章,172─188 頁。
・ 乳井瑞代・青木幸弘(2006)「 日本企業におけるブランド・マネジメント組織の現状と課題」 『組織化学』 第39巻,第3号,40─50頁。
・ 延岡健太郎(2006)「 意味的価値の創造: コモディティ化を回避するものづくり」『 国民経済 雑誌』 第194巻,第6号,1─14頁。
・ 延岡健太郎(2008)「 価値づくりの技術経営 : 意味的価値の創造とマネジメント」 一橋大学 イノベーション研究センター ワーキングペーパー。
・ 原田将 (2018) 「グローバル・ブランド管理変革における優先市場の問題: レクサスのグ ローバル・ブランド管理変革」『経営論集(明治大学経営学研究所)』 第65巻,第2・3・ 4合併号,89─119頁。
・ 森永泰史(2007)「 ブランド戦略の実行阻害要因とその解決策に関する研究(1)」『 北海学 園大学経営論集』 第5巻,第1号,15─35頁。
・和田充夫(2002)『 ブランド価値共創』同文館出版。