
3年生の後期に、仲間と熱力学の自主ゼミをはじめ、講義で学んだ内容とは違う視点から熱力学を学んだことが良い刺激になりました。はじめは10人ぐらいでスタートしたものが最終回は4人しか残りませんでしたが、内容の濃い議論ができ、とても良い思い出になりました。ちなみにその4人は全員、いま私と同じ理論研に居ます。
また、物理学科や化学科では、毎年12月になると「闇の研究室紹介(通称:闇研)」というイベントが開かれます。これは教員立ち入り禁止のもとで4年生が研究室の実情を下級生にプレゼンする伝統的なイベントです。各研究室のいい情報だけではなく、闇、すなわち辛いこと、苦しいこともあけっぴろげに教えてもらえるのです。3年生は来年度に所属する研究室を決めなければならないのですが、この「闇研」が大いに参考になっており、こういうことがイベントとして行われるのが学習院独自の良さだと思っています。
3年生の夏休みには、私を含めた山岳部員3人とインド・ヒマラヤの未踏峰(6070m)に世界初登頂も果たし、その山に「ギャルモ・カンリ」という名前をつけました。勉強だけでなく幅広い充実した活動ができるのも、学習院の魅力だと感じています。
修士2年になり、専門の方が集まる学会で発表する機会も増えました。自分の成果を多くの方々に披露できる瞬間は、非常にやりがいを感じる瞬間です。最先端の研究をしている方が私の成果に興味を持ってくださり、「それはすごい!」と驚かれるのも嬉しいですし、そこで見つけた新しい課題を次の研究に生かすこともとても重要だと感じています。
学会で発表するようになり、平野先生(研究室の教授)の研究室メンバーだというと他大学の先生や学生さんから「あぁ、平野先生のところの学生さんなんですね」という反応や「学習院といえば田崎教授が有名ですね」という反応をいただくので、アカデミックの世界では、本当に有名な先生が多いのだと改めて知らされました。そんな有名な先生方も実は気さくで親しみやすく、研究についてだけでなく音楽などの他愛もない話ができるくらい距離が近いです。
私は、大学に入るまで自分に自信がもてなかったのですが、いま研究室で最先端の研究をし、多くの活躍の場を与えていただいたことで自信もつきました。大学選びで必要なことはレベルや知名度ではなく、大学の雰囲気や自分が頑張れる環境があるかどうかではないかと思っています。
学問の知識だけでなく、問題に立ち向かう姿勢やプレゼンテーションの準備などについても、少人数教育のなかで丁寧に(時には厳しく)指導してもらったことを覚えています。社会に出てから、そういう教育の重要性をますます痛感しています。今は後輩たちに「流体力学」を講義していますが、「考える大切さ」を感じてもらうよう心がけています。