東北大学での講演とセミナーのお知らせ / Lecture and seminar at Tohoku University

公開: 2017年11月9日

下記のように東北大学で講演会セミナーを行ないます。ご興味のある方においでいただければ幸いです。なお講演会ではスライドも講演も日本語、セミナーではスライドも講演も英語を使います。

I will be gving a lecture entitled "Haldane phenomena and beyond" and a seminar on the second law of thermodynamics at Tohoku university. The lecture will be in Japanese (slides are also in Japanese), but the seminar will be in English.

一般講演会:Haldane 現象と「その先」

田崎晴明(学習院大学)
日時:12 月 4 日 17:30 〜 19:00
会場:東北大学理学部物理講義棟 3F 第 2 講義室
Haldane が 1983 年に提唱した「反強磁性 Heisenberg スピン鎖の低エネルギーの性質はスピン量子数 S が半奇数か整数かによって定性的に異なる」とする理論は昨年のノーベル賞の対象になった。しかし、Haldane のこの結論は、当時の量子多体系の常識とは全く反しており、多くの専門家から懐疑的に受け取られた。その後、Haldane の結論、特に整数スピン鎖における「乱れた基底状態」を理解するための様々な試みの中で、単に Haldane の結論が正しかっただけでなく、この基底状態には「隠れた反強磁性秩序」や「端状態」などの予期しなかった性質が潜んでいることが明らかになった。この「Haldane 相」の研究は「隠れた対称性の破れ」の描像を経て、現代的な「対称性に保護されたトポロジカル相 (symmetry protected topological phase)」の概念へとつながっていく。さらに、Haldane 現象を理解するために考案された VBS 状態からは、行列積状態 (MPS) やテンソルネットワーク状態など、現代の量子多体問題や量子情報で必須の概念も生まれた。

この講演では、Haldane の 1983 年の結論と、それを理解するための理論的なアプローチを紹介する。結果を網羅するのではなく、重要なアイディアに絞って解説することで、量子スピン鎖についての予備知識のない人にも楽しんでもらえる講演にしたいと思っている。ただし、量子力学、スピン、角運動量の合成についての知識があった方が楽しく聴けるだろう(知識がなくても部分的には面白いと思うが)。

量子スピン鎖は磁性のモデルだが、それを超えて、量子多体系の典型的なモデルとして物理学に関連する様々な分野と広く関わっている。この講演からそのような広がりも感じてもらえればと願っている。

Seminar: On the Second Law of Thermodynamics: From the View Points of Thermodynamics, Statistical Mechanics, and Quantum Mechanics, with Some Flavor of Information Theory

Hal Tasaki (Gakushuin University)
December 5th, 12:30 - 13:30
Particle Theory and Cosmology Group Seminar Room (10F, Faculty of Science Buliding B, Tohoku University)
12 月 5 日 12:30 〜 13:30
東北大学理学部合同 B 棟 10 階 素粒子宇宙理論研究室セミナー室
We shall give a brief overview of the basic ways of thinking and mutual relations between thermodynamics, statistical mechanics, and quantum mechanics (for macroscopic systems), placing emphasis on information theoretic point of view. We in particular focus on the second law of thermodynamics, which is among the most fundamental and fascinating laws in nature, and see how it is formulated (and derived) in each framework.

言うまでもないことかもしれませんが、私の書いたページの内容に興味を持って下さった方がご自分のページから私のページのいずれかへリンクして下さる際には、特に私にお断りいただく必要はありません。
田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

hal.tasaki@gakushuin.ac.jp