学会講演の訂正

2005 年 3 月 24 日の物理学会年会における一般講演
24pYC4
非平衡定常測度における弱カノニカル性
田崎晴明,佐々真一
の内容の一部が誤りであったことが明らかになったので、報告します。 なお、同講演の予稿(pdf file)には、この誤った内容は含まれておりません。

講演のなかで、「弱カノニカル性が厳密に成り立つ例」として Langevin 多体系(OHP の例1、例2)を挙げましたが、これは誤りでした。 どのような Langevin 多体系においても、弱カノニカル性が正確に成立することはあり得ないことがわかりました。 何らかの近似的な意味で弱カノニカル性が成り立つ可能性もありますが、今のところ、われわれはその可能性には懐疑的です。

講演の他の部分に(われわれが知る限り)誤りはなく、弱カノニカル性があれば、第二法則とゆらぎの関係が導出できるという一般的な主張は正しく、また、残りの二つの例(OHP の例3、例4)では弱カノニカル性が厳密に成立します。 ただし、これら(ASEP と弱接触 DLG)は、かなり特殊な格子モデルであり、Langevin 多体系の例が誤りだったことにより、講演全体の物理的意義はかなり小さくなったと考えています。

田崎晴明、佐々真一


田崎晴明
学習院大学理学部物理学教室
田崎晴明ホームページ

hal.tasaki@gakushuin.ac.jp